はじめまして、Miacisやこのにらレバの管理運営に加え、韮崎版のキャリア教育や、開かれた教育に取り組んでいるNPO法人河原部社の安里高祐(アサトコウスケ)です。
今日は韮崎で昨年度より新たに始まった、学校や行政、地域の企業とコラボして行っている、「地域の子どもたちに職場体験を通して仕事や生き方を伝え、学びあう」、そんな取り組みについて紹介したいと思います。
※職場体験とは、中学2年生が実際の現場で仕事を体験する、全国どの中学校でも行われている取り組みです。
多様な価値観がつながっていくことで生まれる可能性にワクワクしたい。
私は普段、ニコリ地下にある中高生の拠点「Miacis(ミアキス)」にいます。日々、中高生と関わりあう中で、彼ら、彼女らに感じる魅力があります。まだ、大人の世界を知らない中で、自由な発想で生きていることに羨ましさすら感じます。
変わって大人は、今まで生きる中で得た人生のよもやま話や、たくさんの仲間・コミュニティなど、中高生時代にはまだ持っていなかったものをたくさん持っているのではないかと思います。
ところで、皆さんは普段中高生と関わることはありますか?または、中高生時代に様々な大人と関わりがあったでしょうか?
それぞれ、同じマチで生活していても、世代や価値観が違ってくると、日常的な交流が生まれることは少ないのではないでしょうか?
一人ひとりの個性が尊ばれ、多様な生き方が認められる、そんな世の中になりつつある今。
その中で、中高生も大人も世代も価値観も超え、それぞれ、ごく当たり前に持っていることでも、実は他方からみたらすごく羨ましかったりする。そんな観点やいいところを生かしてつながっていくと、どんな面白いことが起きるのか、私はその可能性にとてもワクワクしますし、みんなでそんな未来にワクワクしたいなと思っています。
職場体験は中高生と大人が交わる貴重な機会
中高生は学校、大人は仕事と、なにかと忙しい毎日を送っていると、日常の中にお互いが交流する機会はそう多くありません。実際に日々中高生と話していると、「親や先生以外の大人と交流する機会はほとんどない。」そういった声が聞こえてきます。
そんな現状だからこそ、職場体験は地域の大人(企業や事業者)と地域のこどもたちが交流する貴重な機会だと思います。
中高生にとっては、仕事を知るのはもちろん、体験を通して、大人との様々なやりとり、自然に交わす会話の中から、多様な生き方や価値観を知る機会であるし、大人にとっては、地域の子どもたちに自分たちの仕事や、働くことの面白さや大変さを伝える機会でもあります。ときには中高生の新鮮な発想やアイディアから学ぶこともあるかもしれません。
そこで、まずは既に動いていて、両方がつながり、交流できる機会でもある「職場体験」というものを、捉えなおし、バージョンアップしていくことで、最初に言ったような「多様な価値観がつながっていくことで生まれる可能性にワクワクできる未来」というものを描いていけるのではないかと考え、昨年度より取り組みを開始しました。
企業の見える化と関係性の構築
まず最初に取り掛かったのは、いままで保護者やその知り合いづてで探すのが一般的だった体験先を、より中学生が主体的に自分の体験先を選べるようにすることでした。
韮崎には約1400もの事業所があります。私たちは地域のNPOという強みを活かし、地域の様々な事業所の協力を得ながら、受け入れ先を募集し、さらにそれらの受け入れ先を分かりやすく紹介する仕組みとして「しごと体験ポケット」というものをひとつひとつ作成しました。
最終的には約70社の協力を得ることができ、中学生もほぼ自分の希望で体験先を選べる状態にすることができました。
さらに、受け入れ先の見える化、マッチングだけでなく、実際に中学生が働いている地域の大人と交流する機会「韮崎しごと展」というイベントを開催しました。
体育館に地域の企業の方と中学生が集い
中学生それぞれが話を聞きたい企業さんを巡っていきます。
どのようにしたら中学生に伝わりやすいか、それぞれの伝え方の工夫が見られます。
話を聞いていく中で中学生は段々と前のめりになっていたし、話す大人も段々と熱を帯びてきて、質問や対話もたくさん生まれていたのが印象的でした。(1日で東西中を回り、何回も話をするという形式だったので、最後の方は各企業さん声が枯れるほど頑張っていただいてしまったので、今年度はよりよい形に改善したいと思います…!)
職場体験を行う前に、実際に働いている人の話を生で聞いたり、交流する機会が持てたことで、少しずつ中学生と大人の間に関係性が生まれて来たのを感じることができました。
多様な体験内容。満足度の高い職場体験当日の二日間!
そして実際の職場体験当日には、
設計会社では、商店街の空きビルの活用方法を考えながら図面を書いてみたり
自動車整備工場ではクルマの整備の体験だけでなく、車検の手続きを実際に体験したり
建設会社では、職人顔負けに現場で測量を体験したり。
今回ご紹介できたのはほんの一部ですが、これだけ見ても大人の私たちもビックリするぐらい、いろんな仕事を、いきいきと体験している姿を見ることができました。
【お知らせ】今年も職場体験を受け入れて頂ける事業所を探しています!
このように昨年は約70の事業所の皆さんにご協力をいただき、いままでは考えられないくらい多様な選択肢の中から中学生が自分の手で職場体験先を選択することができました。
今年も多くの皆さんに協力していただくことによって、職場体験を通じて子どもたちがより多くの仕事や生き方を知り、交流する中で、双方がつながるきっかけが生まれるのではないかと思います。是非、皆様のご協力をお願い致します。
今後の流れ(変更の可能性あり)
6月9日(日) | 職場体験先募集終了 |
6月中旬 | 生徒の職場体験先の決定 |
6月20日(木)午後※予定 | しごと展開催(合同企業説明会のような形で仕事や生き方について生徒と事業所の皆様が対話するイベントを予定しております。)※企業:任意 |
6月27日(木)午後※予定 | 生徒・事業所職場体験事前打ち合わせ(事前に顔を合わせて、職場体験等について打ち合わせを行う予定です。日程等の都合上難しい場合は電話にて行う場合もございます。) |
7月1日(月)・7月2日(火)
概ね9時から15時の時間帯を予定(変動可能) |
韮崎西中学校2学年職場体験実施 |
7月4日(木)・7月5日(金)
概ね9時から15時の時間帯を予定(変動可能) |
韮崎東中学校2学年職場体験実施 |
職場体験受け入れ先への応募はこちらから
2020年。教育の大改革がはじまります。
前代未聞ともいわれている規模の教育改革が、2020年度からの小学校に続き、中学、高校と順次適用されていきます。そこには、「何を学ぶか」「何ができるようになるか」とともに、「どのように学ぶか」という指針が明示されています。
従来までの「知識の習得」から「知識の活用」へと学びのスタイルが変わっていくのです。
それに伴いもちろん入試やセンター試験なども大きく変わるし、学ぶ場所も学校だけでなく、今まで以上に実社会での学び「学校を社会に開く」ということがなされていきます。
今回の職場体験をデザインし直すという取り組みは、教育を社会に開き、地域の子どもたちを地域で育てていこう、という意思表示でもあります。
この職場体験を皮切りに、今まで以上に地域、学校、行政、企業が連携し合い、今まで以上の子どもたちにとってよい学びの機会を創造していけたらなと思います。