はじめまして。この春から、韮崎市の地域おこし協力隊としてNPO法人河原部社で働いている、沢木真衣です。
河原部社は、以前記事でも紹介されていたように、韮崎市より受託しているComeback支援プロジェクトの一環として、中高生の拠点『Miacis』や、この『にらレバ』を運営しています。
今年度からは、韮崎の新しい教育のしくみづくり事業である『シラカンパ』をスタートさせ、私がそのプロジェクトリーダーとして、取り組むこととなりました。
『シラカンパ 』は、地域全体でこれからの新しい教育のしくみをつくっていく事業であり、本来は、行政・学校関係者・企業・地域の方々・そして当事者である子どもたちが、一緒になって韮崎のこれからの教育について語り合う対話の場をつくる予定でした。
しかし、新型コロナウイルスの影響でそれが難しくなってしまったため、そのようなイベントではなく、代わりにオンライン上でアンケートを実施することにしました。
- 「地域でこんなことを教えたり、協力したりしたい。」
- 「韮崎の子どもたちに、こんな教育を届けたい。」
- 「オンラインの活用など、アフターコロナの教育づくりに携わりたい。」
- 「地域のあの場所を、子どもたちの学びの場として活用したい。」
などなど、皆さんが「地域の子どもを地域で育てるために、必要、あったらいいな、やってみたいな」と思うことを、お寄せいただけたら嬉しいです。(記事の最後にアンケートリンクを貼りました。)
ぜひご協力を、お願いします…!
全国各地で、新時代教育への動きが始まっています。
みなさんは、2020年の教育改革、その中の「社会に開かれた教育課程」をご存知でしょうか。社会に開かれた教育課程とは、「学校教育を通じて、社会と連携しながら変化の著しい時代を生き抜くために必要な資質や能力を育むカリキュラム」とされています。
つまり、「これからの教育は、実社会によりつながる深い学びをしていこう。そのためには、学びの場を学校にとどめず、地域社会全体で連携してやっていこう!」ということだと、私は解釈しています。これまでの教育は、知識や技能を確実に習得できているかが重要視されてきました。しかし、社会が急激に変わり複雑化していく中で、求められる力も変化してきています。
例えば、グローバル化、情報化、少子高齢化、貧困、虐待、不登校、いじめ、地域コミュニティの希薄化による自治力の低下などの社会情勢があり、これらは家庭や学校だけでなく、地域全体で向き合うことが必要だと言われています。
このような状況を受け、これからは、学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性、生きて働く知識・技能、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力を養い、自分で実社会に役立てていく力が求められているそうです。
それらを養う方法として、各学校におけるカリキュラム・マネジメント(質の高い教育課程の編成、実施、評価、改善)の実現や、それをアクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)で実践していくことが勧められています。
現在日本各地で、この新時代教育に向けての動きが続々と始まっています。
しきんとひとの、あるしくみ。
では、韮崎はどうしていくのか。
私たちは、学校関係者、大学、行政、民間団体、中高生など、様々な人たちと話す中で、これからの教育により必要となってくるのは、「しきん」と「ひと」であることが分かってきました。
今回の新事業『シラカンパ』は、教育を地域の力でより良くしていくために、その「しきん」と「ひと」が地域に集まるしくみをつくり、現場となっている学校はもちろん、当事者である子どもたちや、教育に携わる地域の団体や活動をサポートしていこうというものです。
今年度は、以下3つの活動を展開していく予定です。
①「しきん」と「ひと」の集まるしくみづくり
これは、「○○したい」そんな想いを持つ韮崎の10代と、彼らを応援する人や組織(市民団体や学校など)をサポートする「しきん」と「ひと」が集まる自走可能なしくみづくり活動です。
「しきん」は、一般的に使われる「資金」だけでなく、誰かの志をこめた「志金」や、その志を支える「支金」という意味も込めています。
「ひと」は、実行する人や、何かに協力する人を意味します。
現時点では、市民財団の設立をイメージしています。この1年をかけて、韮崎に合う「しくみ」とはどのようなものなのか、地域の方々と勉強会を行ったり、設立準備委員会の設置などを実施し、来年の設立と運営に向けて準備していきます。
②プログラム開発
これは、先に述べた「社会に開かれた教育」を韮崎ではどうしていくべきか、市内中学校・行政・企業・地域の方・中学生が一緒になって対話する場をつくる活動です。それらで出た意見を元に、地域未来創造センター(山梨8大学コンソーシアム)と共同開発をしていく予定です。
現在、新型コロナウイルスによって日常生活が日々変化していますが、「アフターコロナ」の社会にも対応しうる「韮崎の新しい教育」についても、向き合ってプログラムをつくっていきたいと考えています。
③韮崎版職場体験・しごと展の実施
これは、過去2年間実施してきた、中学2年生の職場体験授業プロデュースです。それに伴い、中学生が実際に地域で働いている人と直接話すことのできる1dayイベント「しごと展」の企画運営も行います。
こちらも現時点では新型コロナウイルスの影響で、流動的になっている状況です。代替案など何かできることはあるのか、学校や地域の各事業所のみなさんと、日々話し合いを重ねています。
『シラカンパ』に協力してくださる方や、地域の声を募集しています。
『シラカンパ』という名前は、「パイオニアツリー(先駆性樹種)」とも言われている白樺(シラカンバ)からきています。
白樺は、森の中に真っ先に生えてくる木で、他の植物よりも先に成長します。成長を終えた後は、土に還って土壌を豊かにすることで、他の植物が育つのを助ける役割をしています。
『シラカンパ』も白樺のように、これからの地域を担う子どもたちが育つ土壌づくりをしていきたい。そんな想いでつけました。
また、花言葉が「いつまでもあなたをお待ちします。光と豊富。忍耐強さと柔和。」である白樺を由来にしたのにも、彼らにとって韮崎が、いつでも帰れる豊かで和やかな場所になっていたらいいなとの想いを込めているからです。
以上が、いま私たちが新たにやろうとしていることです。
新年度早々、新型コロナウイルスの影響で事業の進め方も日々変化している状況ですが、withコロナの新しい社会や教育のあり方を考えても、いま、学校、家庭、地域全体で子どもたちの新しい教育のしくみをつくる必要性が一層高まったのではないかと思っています。
これまでは、「学校」という、子どもたちにとってリアルで楽しい活動の場があり、学校生活を通して、社会で生きる力や楽しさも養うことができていました。
しかし、いつ学校が再開するのか、再開してもいつまた長期休校が始まるのか、コロナ前の教育のままでこれからの社会に対応できる力を養うことができるのか、分からない状況にあります。そして、現在子どもにとっては、家庭や地域が重要な学びの場となっています。
with・afterコロナに対応しうる教育のあり方を考えてみても、やはり今、地域で地域の子どもを育む新しい教育のしくみを考えるには、とても良いタイミングではないでしょうか。
これまで韮崎で暮らしてきた皆さんが、自分たち自身、韮崎で育つ子どもたち、さらにはその先の世代にとって、「こんなことがあったら、もっといい教育のしくみになるのでは」と思う声を、アイデアをぜひお聞かせください。
そして、この事業は立ち上げたばかりで、これから財団等の設立メンバーも集めていく予定です。もし、私たちとつくっていくことにも興味を持ってくれる方がいらっしゃましたら、そちらもぜひご連絡くださると嬉しいです…!
下のアンケートリンクに飛んでいただくと、意見を書けるようになっています。それでは、よろしくお願いいたします。なにか分からないことや、もっと詳しく聞きたいというご意見もお待ちしております…!
アンケートはこちらからご回答ください→
『韮崎のこれからの教育に関するアンケート』
《参考資料》
「社会に開かれた教育課程の実現に向けて」(文部科学省 学校と地域でつくる学びの未来)
「2020年 教育改革」(Benesse)
連絡先
- NPO法人河原部社(韮崎市青少年育成プラザMiacis内)
- 担当:沢木 真衣(サワキ マイ)
- メールアドレス:mai.sawaki@kawarabe.com
- 電話:0551-45-9919 FAX:0551-45-9926
※新型コロナウイルス感染予防の開館自粛のため電話に出られない可能性がございます。その際は大変お手数ですが、メールにてご連絡をお願いいたします。