こんにちは!学生編集部の幡野富山水(ふほう)です。
韮崎から離れた地で活躍する同世代を学生編集部が取材しお届けしていこうと10月にスタートしたこの企画『にらヤンステーション!』。
記念すべき第10回目は、加賀美里奈さんを取材しました!
【加賀美里奈(かがみりな)】
山梨市出身。小学生のとき韮崎市に移り住む。韮崎高校卒業後、山梨県立大学国際政策学部に進学。高校時代は吹奏楽部に所属していて、吹奏楽コンクール西関東大会で銀賞を受賞。大学2年の時にフィリピンのセブ島に留学。学生編集部と同級生の21歳。
今回の取材では、今年の4月までセブ島へ留学していた里奈さんに、向こうでの生活の様子や、留学を決意した理由などをお聞きしました。留学前も留学後も、人一倍努力をしてきた彼女が、様々な経験を通して考えたこととは?
高校で培ったもの ~吹奏楽部での3年間~
富山水:今日はよろしくね!留学するのってすごく勇気がいることだよね。里奈はどうやって決意したの?
里奈:よろしくね!そうだな…留学を決意できたのは、高校の吹奏楽部での経験が大きく影響してると思うんだよね。
富山水:そうだったんだ。どうして?
里奈:3年生のときに定期演奏会の定演長をさせてもらったんだ。演奏会の構成やスケジュール管理、会場の人と照明や音響の打ち合わせまで、たくさんのことを任せてもらっていたんだよね。初めての役職で、先が分からなくて不安だったけど、好きなことだからやり遂げることが出来たよ。演奏会が成功して、やったことのない取り組みをやる勇気を培えた。だからきっと留学も大丈夫と自信を持てたんだ。
富山水:高校の時の経験って本当に今に活きているよね。
留学のきっかけと準備 ~悔しさをバネに~
富山水:大学では国際学部に進んだんだよね?国際系を選んだきっかけは何だったの?
里奈:1番最初のきっかけは韮崎高校時代、オーストラリアとの交換留学があって、留学生が私のクラスに入って一緒に授業を受けたの。そのときたまたま留学生の女の子と隣の席になって、日本にすごく興味がある子で、フルートという楽器をやっている共通点もあったんだよね。だけど、話したいのに全く英語が話せなくて、悔しかった。だから英語を本気で勉強したいと思ったよ。
富山水:そんなことがあったんだ。それがきっかけで国際学部に入ったあと、留学にはどんな風に興味を持つようになったの?
里奈:海外に行ったことがなかったから、海外に実際に行って英語を学んでみたいと思ったの。あと、語学を学ぶだけではなくて、実際に海外でインターンをして、海外で働いてみたいと思ったんだよね。
富山水:そうだったんだ。留学に行くことに迷いはなかったの?
里奈:休学をして留学に行くという決断をするのには、勇気が必要だったかな。みんなと一緒に卒業できないし、帰ってきてからも同級生と一緒に授業を受けられないと分かっていたけど、留学したい気持ちの方が大きかったな。
富山水:実際に留学に行くとなって、どんな制度やプログラムを使って準備を進めていったの?
里奈:大学内に留学プログラムがあって、アメリカやイギリスに交換留学できて、単位も取れて休学もしないで済むんだけど、費用が高くて無理だったの。短期3週間で60万くらいかかるんだよね。
富山水:た、高い…
里奈:でしょ。しかもどうせ行くなら1年間留学したいとも思っていたから、個人でエージェントを通して予約して、一から全部自分で準備したの。1年分の費用を用意するのが難しくて、大村智先生がやっている「山梨県大村智人材育成基金事業」に申し込んだよ。山梨県の海外に留学したい人を支援する給与型奨学金で、最大100万円支援してくれるんだ。
富山水:そんな制度があるんだね。
里奈:そう。でも語学留学目的だけでは応募できなくて、海外で何かをして、それを山梨にもって帰ってくることが条件だったの。だから海外での職業インターンを目的に応募したんだ。小論文や英語で行われる面接での選考に向けて必死に勉強して、合格することができたよ。
富山水:どうして留学の地にセブ島を選んだの?
里奈:セブ島は他の国よりかかる留学費用が圧倒的に安かったのが大きいかな。あと、セブ島には職業インターンができる学校があって、セブ島は観光地だからセブのおもてなしを学びたかった。英語を使った接客を経験して、そのノウハウを持ち帰ってきたいと思ったの。
富山水:そうだったんだね。留学に行く前の英語力はどうだったの?
里奈:全く喋れなかった!(笑)大学で英語の授業はあったけど、授業がゆるくてもっと厳しい環境に身を置きたいと思ったかな。
富山水:勇気と行動力があって本当に尊敬します!(笑)
英語に正面から向き合った日々
富山水:実際に留学ではどんなことをしたの?
里奈:9ヶ月のプログラムで最初の7ヶ月間は、セブ島の語学学校で語学の勉強をしていたよ。先生とマンツーマンの50分授業が1日に6つもあって、とにかく忙しかったな。
富山水:どんな授業をしていたの?
里奈:スピーキングやライティングをしていたよ。特にスピーキングが難しかったな。先生と1対1で会話していくんだけど、「あなたの出身地は?」という簡単な質問もあれば、ことわざが表示されて「これについて思うこと」なんてことも英語で話していたよ。思うように英語を話せなくて辛かった。
富山水:それはすごく難しいね…。友達はどうやってつくっていたの?
里奈:留学に来ている子たちはみんな社交的で、すぐに仲良くなれたんだ。みんなでツアーに申し込んで、海に行ったり観光地を巡ったりしたよ。たくさんのアクティビティにも挑戦して、すごく楽しかった。でもセブ島は短期留学の人が多くて、3週間や1カ月で帰っちゃうから、友達になってもすぐバイバイで、ずっと見送る側で寂しかったな。
富山水:留学中に1番思い出に残っていることはある?
里奈:学校でハロウィンパーティーがあって、そのときに「ミス・コンテスト」に出場して優勝したことかな。(笑)
富山水:え!優勝したの?すごい…。どんなことをしたの?
里奈:英語でスピーチをして、ウォーキングやダンスもしたよ。スピーチは「環境」がテーマで、環境に関することを英語で1、2分話したの。あとは、10個質問が事前に出されていて、答えを考えて話せるようにしておいて、当日くじで引いた質問1つを答えたよ。
富山水:すごいね。大変だったでしょ?
里奈:毎日、学校の課題+スピーチやウォーキング等の練習をしていたから、大変だったよ。ウォーキングなんてやったことがなかったからできるか不安で、「何でこんなことしてるんだろう」って思ったりもした(笑)でも、大勢の人の前で英語でスピーチするのが初めてで、ここで英語に真剣に向き合うことができて、英語力があがった気がするよ!「環境」についても色々考えさせられたな。緊張したし、辛いこともあったけど、すごくいい経験になったよ。
富山水:すごいなぁ。留学中はどんなことを感じていた?
里奈:とにかく寂しかったかな。ずっと実家暮らしだったからいつも家族と一緒だったし、しかも初海外で誰も友達がいないから、寂しかった。向こうで色んな国の友達もできたけど、人間関係が大変だった。あとは日本との生活環境の違いが大きくて辛かったな。フィリピンは発展途上国で日本と比べて清潔さがなくて、車の排気ガスの匂いが強くて大変だったよ。
富山水:そうだったんだ。日本にいると日本が恵まれていることってつい忘れてしまうよね。
たくさんの人に支えられた留学生活
富山水:2月頃になって、新型コロナが流行し始めたよね。そのときはどうしてたの?
里奈:その頃は日本の方がコロナが流行っていて、むしろ「日本大丈夫かな?」と思っていたけれど、フィリピンにも感染者が出たの。そして、フィリピンの空港でインターンをしてていた友達が“空港が閉鎖されるらしい”と教えてくれたんだ。それで日本に帰ることに決めて、飛行機の便を予約したよ。名古屋経由の便が一席だけ空いていて、無事日本に帰ってくることができたよ。
富山水:そうだったんだ。怖かったよね。
里奈:“明日の自分が何をしているか分からない”という状態が怖くて、不安でたくさん泣いたな。本当は7ヶ月の語学研修のあとに、フィリピンの国際空港と5つ星のホテルでインターンをする予定だったんだけど、1番の目的だったインターンができなくなってしまったの。本当に悔しかった。
富山水:それは悔しいよね。日本に帰ってきた後は、どうしていたの?
里奈:帰ってきてすぐは、もう1度セブ島に行ってやり残したインターンをやりたいと思っていたよ。「観光地であるセブのおもてなしを学ぶ」というのが留学の1番の目的だったからね。でも、実生活を通じて、フィリピンの人たちとはやはり感覚が違って、おもてなしは日本の方が丁寧なことを実感していたから、今は別のことに挑戦しようと思うようになったよ。
富山水:留学の経験を通して学んだことはある?
里奈:1番は人の大切さかな。留学してみて、自分が人に支えられていると実感できたんだ。空港が閉鎖されるときも友達がいなかったら日本に帰れていなかったし、異国で無事に過ごすことができたのは現地でできた友達や先生のおかげ。でもやはり、辛いときや悩んでいるときにいつも応援してくれた家族や日本の友達の存在が一番支えになっていたな。
富山水:人の温かみをたくさん感じることができたんだね。
里奈:そうだね。あとは家族に「意外と行動力あるね」と言われたことが印象に残っているな。やればできるんだと実感できたし、行動力も身についたよ。留学に行って本当に良かった。
富山水:留学を途中で断念するのは悔しいよね。でもそうやって多くの大切なことに気付くことができて、里奈にとって留学はとても良い経験だったんだね。
人と向き合って一緒に作っていく仕事に
富山水:将来の夢ややりたいことは何かある?
里奈:留学前はウエディングプランナーに憧れていたんだけど「今は結婚式を挙げる人も減っているから」と少し迷っていたの。だけど、最近就職を意識し始めて、やはりウエディングの仕事に強く惹かれているかな。お客さんの相談にのって、長い時間をかけて一緒に何かを作っていく仕事がしたいと思っているよ。あとは旅行会社などでツアーパッケージをつくる仕事にも興味があるかな。語学を生かすなら観光業やホテル業かな。たくさん迷ってる(笑)
富山水:里奈は相談しやすいし、世話好きなイメージがあるよ!
里奈:ほんとに?(笑)人の話を聞いてアドバイスすることが自分に向いているなと感じているから、それを活かせればいいな。
富山水:英語を使った仕事を選択肢の一つにできるのも強みだね。
里奈:そうだね。でも「留学に行ったから絶対に英語を使う仕事に就く」というのには縛られないで、将来を決めていきたいと思っているよ。
富山水:山梨で就職する?
里奈: まだ決めてはいないけど、山梨県で働けたらいいなと思っているよ。山梨は人がとにかく温かくて優しいし、目標もって努力しているひとが周りに多くていつも刺激をもらえるから、働く環境として恵まれているなと感じる。
富山水:山梨は本当に良いところだよね。里奈の活躍楽しみにしてます!
取材を終えて
今回の記事では里奈さんの想いや経験してきたことについて知ることが出来ました。
今回お話を聞いて、絶えず努力し続ける姿や積極的な行動力に私自身たくさん刺激を受けました。私も負けないように、もっと色々なことにチャレンジしていきたいと思います。
読んでくださったみなさんも刺激を受けたのではないでしょうか。里奈さんの活躍が楽しみですね!
これから何かにチャレンジしたい学生の方がいらっしゃいましたら、ぜひ一緒に活動してみませんか?にらヤンでは経験や得意なスキルを活かして活動してみたい人、韮崎への想いがある人、執筆活動に興味がある人、「学生としてこういう企画をやってみたい」という構想がある人…、どんな風にでもいいので、この企画に関心を持ってくださった方は、ぜひお気軽にご連絡ください。カメラマンおよびライターも随時募集しています!「にらヤンステーション!」をみんなで作っていきましょう!