韮崎「旅館 清水屋」|江戸時代から続く、お客さんとまちを繋ぐ拠点。老舗旅館の若女将に想いを聞く

韮崎のお店

旅先でどこに泊まるかは、その旅の満足度を大きく左右します。

宿でまちの情報を知ったり、人のあたたかみに触れたりすることが、そのまちを深く知るきっかけになるということは多々あることでしょう。

「旅館 清水屋」は、そんな韮崎のまちの入口にぴったりな宿。

江戸時代に開業し、174年に渡る歴史を持つこちらの宿では、お客さんに韮崎で過ごす時間を楽しんでもらうためにさまざまな工夫をしています。

今回の取材では、旅館 清水屋の若女将・雅美さんに、旅館のことや韮崎のまちに対する想いを聞かせてもらいました。

まずは気になる館内の様子をご案内!

韮崎駅から歩いて約5分、本町通り商店街にある「旅館 清水屋」は、ビジネスホテルとは一風違った、"THE まちの宿”という佇まい。

8代目の清水力徳さんが若旦那として旅館を取りまとめ、奥さんの雅美さんとご両親と一緒に、家族経営で運営をしています。

チェックインに対応する力徳さん

宿泊部屋

部屋数は和室7室・洋室9室の計16室。

一番大きな部屋は20畳で最大6名泊まることができます。

和室
ダブルの洋室
シングルの洋室 (今の時期はリモートワークの方に1時間1000円で貸し出しもしています)

お風呂・洗面

男性用のお風呂
女性用のお風呂 (使用中の札をかければ家族風呂としての利用も可能)
女性用のお風呂はアメニティ類も揃っています(男性風呂には綿棒があります)
共有の洗面スペース。設置されている電子レンジは自由に使うことができます

景色

若女将が感動した韮崎の景色を観てもらえるよう、リニューアル中の屋上

長い歴史を感じさせる雰囲気はあるものの、細かいところまで掃除がきれいに行き届いているので、気持ちよく過ごすことができます。

建物に奥行きがあるため外からの見た目以上に館内は広く、食堂や宴会に使える収容人数約50名の大広間などもあります。一人旅はもちろん、家族や友人とみんなで泊まるのにも非常に便利な宿です。

食事はたくさんの小鉢がついた豪華な定食

清水屋旅館のお客さんは、仕事で韮崎に滞在する男性客が約7割。

それ以外には山登りのお客さんや家族連れのお客さんが多いそうです。

そんなお客さんたちに合わせて、料理はボリュームたっぷり、しっかりと栄養が取れるメニューになっています。旬の野菜や山菜などを使った小鉢の種類の多さがお客さんに喜ばれ、一番の人気メニューは館主さんの揚げる天ぷらだそうです。

ランチは旅館のお客さん以外も食べにいくことができるので、韮崎でお昼ご飯に迷ったらぜひ食べに行ってみてください。

創業174年!江戸時代から続く「清水屋旅館」

清水屋旅館の開業は1846年。

初代・清水代右衛門が江戸時代に設立しました。

当時は、富士川を使った物資・米・塩などの物流が盛んであり、韮崎はそれに携わる人の宿場町として、とても栄えていました。その頃から、清水屋旅館は韮崎を訪れる商人の宿として、まちに無くてはならない存在だったのです。

今もビジネスで利用するお客さんが多いことを考えると、その役割は昔から変わっていません。韮崎のまちに訪れる人を迎え入れる、いわば韮崎の玄関口のような場所として、今も昔もお客さんに心からのおもてなしをしています。

昭和初期に旅館の前で撮影された写真
初代・清水代右衛門の名が書かれた看板
倉庫から発見された当時の岡持ちと雨の日に利用されていた傘

お客さんとまちを繋ぐための工夫

若女将・清水雅美さん

若女将の雅美さんは、韮崎に嫁いで5年。旅館に新しい提案をしたり、まちのさまざまな取り組みに積極的に参加したりと、パワフルに活動されています。

そんな雅美さんに、お客さんと接するときに意識していることを聞いてみました。

「最初に宿で受けた印象によって、韮崎を楽しめる心持ちになるかどうか変わってくると思うんです。ここで良い印象を持てば韮崎の滞在に期待が持てるだろうし、宿の印象が悪いとその後のテンションもいつの間にか下がってしまいますよね。そういう意味ではとても緊張感があります。」

——— お客さんとまちををつなぐために、工夫していることはありますか?

「お客様に飲食店を聞かれることが多いので、その際は自分で制作した地図をお渡ししています。店舗の紹介文やおすすめのポイントなどを書き込んであるので、『これを見て気になったお店に足を運んでみたよ』とご報告くださる方も多いです。」

「自分自身5年前に韮崎に来て何があるのか全然わからなかったので、この地図は勉強の意味も込めてつくりました。今は紹介したいお店がたくさんあるし、商店街には新しいお店も増えてきているので、そんな場所を訪ねて地図に追加していくのが楽しみなんです。」

———ここをきっかけにお客さんが韮崎のまちに興味を持ってくれたら嬉しいですよね。

「そうですね。他にもお味噌汁が美味しいねと言われたら、すぐ近くの井筒屋醤油さんに売ってるので寄ってみてくださいとお伝えしたり、受付の横に増田珈琲さんのニーラグッズを置いたりしています。一方的に押し付けるのではなく、さりげなくお客様がこのまちでつくられたものに触れられるようにして、声をかけていただいた場合には丁寧にご紹介するようにしています。」

みんなが頑張っている韮崎が好き

「私、嫁ぎ先が韮崎で本当によかったと思っていて。なんだか人に安心するんですよね。まちの方々がいつも私や娘のこと、旅館のことを気にかけてくれて、本当に温かいなって思います。そして誰に会っても『またこの人と話したいな』『もっと知りたいな』と思うくらい、みなさん魅力的で。頑張っている人がたくさんいるので、それを見て自分にもアイデアが湧いてくるんです。」

———たしかに、面倒見が良くて活動的な人が多いような気がします。

「韮崎ってポップコーンみたいだなと思うんです。韮崎という土台の上で、いろいろな取り組みが自然とポンポン湧き上がってくる。誰かが引っ張ったり強制しているわけではなくて、内輪の仲間意識みたいなものもなく、すごく自然にそれが起きているまちだなって思うんです。」

——— それは韮崎の大きな魅力かもしれませんね。

「その感覚をお客さんに伝えるのはむずかしいと思いますが、韮崎に滞在している間に少しでも、人の温かさや面白さに触れて欲しいなと思っています。見どころや寄って欲しい場所もありますが、なによりも『人』が一番の魅力だと思うので。それは実際に来ないと感じられないものなので、少しでも多くの人に韮崎のまちに足を運んで欲しいです。」

コロナを経て、近所の商店とのつながりの大切さを実感

ー旅館業はコロナウイルスの影響をかなり受けているのではないかと思うのですが...実際のところ、いかがですか?

「コロナが流行して、やっぱりお客さんは減りました。旅館の売り上げが落ちているということは、韮崎に滞在する人が減っているということで、どこのお店にも影響が出ているんだろうなって思うと心が痛くなります。

リネン屋さん・酒屋さん・醤油屋さんなど、旅館でもお世話になっているお店がたくさんあるんですけど、コロナ期を経験して、地域でこんなに付き合いがあるお店があるのは恵まれたことだったんだと気づきました。当たり前の繋がりがいかに大切なものなのか実感しましたね。

一緒に頑張る商店のためにも、何がなんでも生き残らねばならないと思っています。この時期だからこそ思い切って切り替えができる部分もありますし、新しいことに挑戦して旅館をアップデートしていきたいと思っています。そしてこれからも韮崎のよさを発信していきたいです。」

ー取材を終えてー 

取材をしてみて、旅館はまちにとって重要な役割を担っている場所なのだと、改めて実感しました。

心から韮崎の良さを感じ、それを伝えていきたいと思っている雅美さんが、その玄関先に立っていてくれることは、お客さんにとってもまちの人にとっても、非常に頼りがいがあります。

コロナ期に市内の店舗とのつながりの大切さを実感したと語っていた雅美さん。コロナの旅館への影響を聞いたときにも、真っ先に他店を気遣う言葉を発していたのが印象的でした。

確かに、お店を続けていくことも、まちの良さを伝えていくことも、単独でできることではありません。みんなで協力し合うからこそ、それぞれの良さが活き、まちの魅力が増していくのでしょう。

174年続く清水屋旅館の歴史がどのように更新されていくのか、これからも楽しみです。みなさんも韮崎に滞在する際には、ぜひ旅館 清水屋に足を運んでみてください。

旅館 清水屋の基本情報

  • 〒407-0024 山梨県韮崎市本町1丁目6−5
  • 問い合わせ:0551-22-0024
  • 旅館 清水屋のHP
    ※宿泊プラン・料金等の詳細はHPをご覧ください