にらレバ学生ライター。2000年生まれ。韮崎高校出身で、筝曲部に所属していた。現在は、山梨県立大学で観光やまちづくりを学んでいる。趣味はカフェ巡り。将来は、人とつながる仕事をしたいと考えている。海外旅行もたくさんして、人生の経験値を増やしていきたい。
韮崎市立韮崎北東小学校沿いの道にあるパン屋「野菜パンの店 ド・ドウ」。
パンの香ばしい匂いが漂う店内には、野菜が練りこまれた色とりどりのパンが並んでいます。ほうれん草やビーツなどの野菜本来の色を生かした野菜パンは、彩りもきれいな上に栄養もたっぷり。
この色鮮やかなパンを作っているのは、お話し好きで、天然なところもある野田敬一さん。そんな敬一さんにツッコミを入れながら、日々の仕事を支えているのは、奥さんのひろみさんです。
2013年に開店してから、夫婦二人三脚でいろいろなことに日々挑戦しながら過ごした7年。
今年は新たに、野菜パン×あそび「あそびパン」を始めたそうです。
そこで今回は、栄養がたっぷり詰まった「野菜パン」や新しく始めた「あそびパン」について、野田さん夫妻にインタビューさせてもらいました。
野菜パンと言えば、ド・ドウ。
見てください、この色鮮やかなパン!
これはド・ドウで販売している、着色料不使用で野菜本来の色を生かした野菜パンです。黄色はかぼちゃ、緑はほうれん草、紫は紫いも。ド・ドウのパンには、韮崎や八ヶ岳で農家さんに大切に育てられた野菜が使われています。
野菜が苦手な方や小さなお子さんが食べやすいように生地やクリームに野菜が練りこまれていて、野菜の味や香りを楽しむことができます。
歴史から読み取れる「ビタミンを摂取する必要性」
お米に白米と玄米の色の違いがあるように、パンで使用される小麦粉にも同様に、白いものと茶色ものがあります。「ふすま」という小麦の外側の皮(表皮と胚芽)の部分がパンに含まれていると、パンは茶色くなります。
着色料不使用の野菜パンを考えると、発色をよくするためには、ふすまを入れない方がいいのでは?と思いませんか。しかし、ふすまを含めたパンにすることで、糖質オフでありながら、ビタミンやミネラルを豊富に摂ることができます。また、パンの香りが良くなり、おいしさがUPするんです。
敬一さんは、ふすまを入れても野菜パンの発色が良くなるように、時期によって色の濃淡が異なる野菜に合わせて、材料の配合を日々研究し続けています。
敬一さんは、パンについてだけでなく、食と健康についての知識も豊富で、「脚気」というビタミン欠乏によって起こる病気について、教えてくれました。
敬一さん「江戸時代は、精米された白いご飯がご馳走となり、玄米を食べていた江戸の庶民まで白米食が広がったんです。でも、白米ばかり食べると、『脚気(かっけ)』というビタミン欠乏の病気になってしまいます。江戸で仕事ができない病人は、田舎に帰ることに…。田舎では、栄養たっぷりの玄米を食べる習慣が残っているため、病人は元気いっぱいになったとか。
日露戦争でも、多くの将兵が上等な白米ばかり食べ、脚気になっていました。当時、作家として知られる森鴎外(本名は、森林太郎)は、陸軍軍総監の軍医を務めていて、脚気の原因を細菌説だとこだわり、脚気の予防に役立つ麦飯の支給を拒み続けたそうです。その結果、日露戦争においては25万人の将兵が脚気を発症し、3万人近い死者が発生しました。一方で、海軍の高木兼寛は、将兵たちに白米ではなく麦飯を摂取させることによって脚気の発生を抑えたんです。」
敬一さんのお話から、ビタミンやミネラルが健康を保つために重要な栄養素だということが分かりますね。
ド・ドウのパンには、ビタミンやミネラルが含まれたふすまも入っているので、野菜と同時に、バラエティに富んだ栄養を摂取できます。
みなさんは、普段から健康を気にしながら食事していますか?
自分の食生活を見直して改善することは、健康な身体づくりの基本ですね!
子供たちにパンを通じて野菜を食べてもらいたい
ひろみさんに野菜パンを始めたきっかけをお聞きしました。
ひろみさん「私が双子を妊娠した時に、入院した部屋に双子を育てているママさんがいました。その時に、ママさんの子供たちに野菜を練りこんだクリームパンを食べてもらったんです。子供たちがぱくぱくとパンを食べる姿を見たママさんが『うちの子、野菜嫌いなのに、嫌いな野菜をパンだと食べられている。嬉しい!』と言ってくれました。この言葉を聞いて、野菜嫌いな子供たちにもパンを通じて野菜を食べられるようになってもらいたいと思って、野菜パンを始めたことがきっかけです。」
野菜パン×あそび「あそびパン」を始めました!
パンを通じて、栄養たっぷりの野菜を食べてもらいたいという想いで、7年前にオープンしたド・ドウ。今年は、パンを「食べる」だけでなく、「作って遊ぶ」工程も楽しめる新しいことを始めたみたいです。それが、野菜パン×遊びを掛け合わせた”あそびパン”です!
あそびパンとは、冷凍されている野菜パンの生地を解凍し、粘土のように自分の好きな形に形成してオーブンやトースターで焼くだけで、 あっという間にオリジナル野菜パンが完成する、野菜パンづくりのキットです。
実際に「あそびパン」してみました!
みなさんにあそびパンのイメージを持ってもらいたいと思い、今回特別に、敬一さんとひろみさんのご協力のもと、パンが大好きな学生を集めて「あそびパン」を体験しました。みなさんに、その様子をお伝えしたいと思います。 (2021年から、対面式のレッスン開始の予定です。)
①あそぶ準備は、3時間程室温で放置し一次発酵を終えたあそびパンの生地とまな板だけでOK!
②丸め方・伸ばし方・ねじり方を教えて頂きながら、生地を自分の好きなように形成します。
③200℃のオーブンで6分程度焼き上げます。(オーブンの機能によって、温度や時間に違いがあります。)
④完成!いただきます。
参加者からは、「パンの発色が良くてかわいい。」「自分の好きな形ができて嬉しい。」「野菜の味がしておいしかった。」などの感想があり、みなさんあそびパンに大満足だったようです。
どうして、あそびパンの取り組みを始めたの?
ひろみさん:新型コロナウイルスの影響で、世間は自粛ムードになりました。自宅で楽しく過ごしてもらえる方法は何かないかなと考え、お店に来てくれたお客さんで自宅待機中のお子さんがいるご家庭に、無料であそびパンのキットを渡したんです。そしたら、みなさんが自宅で楽しくパンを作り、その写真を見せてくれたんです。野菜パンの発信方法で、“体験”ということもあるんだなと感じました。それがあそびパンの取り組みを始めたきっかけです。
お子さんだけでなく、誰でも気軽にあそびパンを楽しんでもらいたいです。さまざまな発想力が込められたあそびパンをたくさん見たいですね。
あそびパンは、ド・ドウHPにて通販で販売しています。あそびパンの生地だけのご購入はもちろん、どうやって作ったらいいのか分からない人向けに、zoomオンライン教室や2021年から始まる対面式のレッスンで基本的な作り方や楽しみ方を伝授してくれます!(聞けば、クロワッサンの作り方を教えてくれるかも?笑)
創意工夫を凝らしたあそびパンをSNSに投稿して、いいね!たくさんゲットしちゃいましょう!
詳しくはこちら→ド・ドウ「あそびパンについて」https://www.dodou-pan.com/?mode=f6
あそびパンのアイデアの参考に→ https://www.instagram.com/asobipan/
これからの目標は、野菜パンを日常の一部にしてもらうこと
以前、グルメについて記事を書いている編集者の方がド・ドウに訪れたことがあり、その方の個人のInstagramで、ド・ドウの野菜パンの写真と「ハロー・べジブレッド(初めまして、野菜パン。)」というフレーズが添えられた投稿を野田さんは発見しました。(そこから、野田さんは、”ハロー・ベジブレッド”という言葉がお気に入りです。笑)
2013年に開店してから7年、野田さんたちは野菜パンの存在を多くの方が知っていると思っていましたが、食に詳しい人でも知らないという現状を感じました。そのため、たくさんの人に野菜パンを知ってもらい、「ハロー・ベジブレッド」から「オーディナリー(日常の)・ベジブレッド」にすることが目標だそうです。
「今日は、パンの色何色だった?」「今日はね、黄色だった!」
このような会話が日常生活の中で行われることが夢だと野田さんは語ります。
パン屋の枠を超えて、新しいことに挑戦し続けるド・ドウ
野菜パンが日常生活の一部になるように、店頭販売だけでなく、誰でも気軽に遊べる「あそびパン」を始めたり、日本中に届ける通販をしていたり。また、お客さんからの実際に野菜作りを見たいというご希望に応じて、韮崎や八ヶ岳の農家さんにご案内して、野菜について教えることもあるのだそう。
ド・ドウは、一般的にイメージするパン屋さんと比べて、活動的で新しいことに挑戦しているように思えますね。私たちの身体を整える大切な栄養素たっぷりの野菜を多くの人に味わってもらうためのド・ドウの取り組みは、これからもどんどん発展を遂げていくでしょう。
この記事を読んで、少しでも多くの方がご自身の食生活について考えるきっかけになれたら嬉しいです。是非、ド・ドウの野菜パンを購入したり、あそびパンにチャレンジしたりして、野菜パンを日常に取り入れてみてください。
お店に足を運べば、親切で明るい野田さん夫妻が野菜パンのことはもちろん、いろいろなたのしいお話を聞かせてくれますよ。
野菜パンの店 ド・ドウの基本情報
・所在地:公園とパンに移転
〒407-0003 山梨県韮崎市藤井町北下條2105-2
・HP:https://www.dodou-pan.com/
・Instagram :https://www.instagram.com/dodou_vegepan/
・Facebook:https://ja-jp.facebook.com/pandodou/