韮崎市が、令和3年度の地域おこし協力隊を募集しています。
一言に「地域おこし協力隊」と言っても、働き方や職場の雰囲気はミッションや職場によってかなり違っているようです。
この記事では、韮崎市の協力隊の雰囲気や、韮崎市内の状況について、2019年6月から地域おこし協力隊として働く僕自身の視点で紹介していきたいと思います。
ライター。2019年6月加入。韮崎で働く人や会社を紹介するコーナー『ニラサキのシゴト』を主に担当。地元ではない韮崎に移り住んできた立場だからこそ見える『移住者視点』を率直に伝えることを大切にしている。1990年生まれ。妻と2歳児の息子を持つ。とても親ばか。
また、仲間でもある他の3名の現役協力隊に加え、すでに卒業している協力隊OG2名にもお話をお聞きしました。
実際の隊員の活動内容や任期を終えた後どのような活動をしているかを知ることで、韮崎市の協力隊として働くことが将来どのような活躍につながっていくかを具体的にイメージするヒントにしてもらえればと思います。
(先に募集内容を知りたいという方は、下の目次をクリックしてください!)
目次
そもそも韮崎市ってどんなところ?
鳳凰三山や八ヶ岳をはじめ、四方を雄大な自然に囲まれながらも、東京(新宿)から約90分とアクセスしやすい韮崎の地は、
「地方移住に興味はあるけれど、いきなり都会を離れるのは不安…」「田舎にも都会にも良いところがあって、なかなか移住に踏み切れない…」
と、これまで移住経験がなく、移住に不安に感じている人には特におすすめです。
日常の生活はのんびりとした緑の中で、用事があるときには電車や高速で気軽に都心部へ。
と、地方と都会のどちらの暮らしも両立させられる点が、韮崎の大きな特徴の一つだと感じています。
僕自身、日ごろ家族(妻と3歳の子がいます)と過ごすときは、市内の山でハイキングをしてみたり、裸足で川に入って子供と冷たい水を掛け合ったりと自然を楽しんだり癒やされたりしながら過ごすことが多いですが、
2ヶ月に1回程度は高速バスに乗って東京へ行き、セミナーに参加したり先進的な会社や施設を見学したり新しい人に会ってみたりと、都市部ならではの刺激的な体験にも触れるようにしています。(今はコロナがあって難しいですが・・・)
「ほどよく田舎、ほどよく便利」であるところが、僕にとってはとてもバランスの良い場所だなと感じています。
協力隊の働き方は?どんな協力隊仲間がいる?
現在は、僕含め4名の協力隊が活動しています。3名の協力隊の方に協力いただき、
- 活動内容
- 韮崎市の住みごこちは?
- 協力隊の働く環境や職場の雰囲気は?
- 協力隊として達成できたことや身についたこと、現在挑戦していること
の話題を中心に、協力隊の様子を紹介してもらいました。
須川りょうさん(おりょうさん)
経歴:2019年4月~/総合政策課/京都から
主な活動分野:中高生サポーター、Webメディアの広報、星空イベントの実施、移住相談イベント
▷にらレバに登場した記事
①活動内容について教えてください
NPO法人 河原部社が運営する、青少年育成プラザMiacis(ミアキス)での企画やイベント運営を通じて、中高生の「やってみたい」のサポートや、中高生同士の交流を生みだすきっかけづくりを行っています。
また、同じく河原部社が運営しているwebメディアでは地域内での広報を担当しています。
②韮崎市の住みごこちは?
都会よりゆっくり時間が流れているなと感じます。
四季が感じられる程よい田舎ですが、生活に必要なものは揃うので不便に思ったことはないです。車は必須アイテム◎
③協力隊の働く環境や職場の雰囲気は?
職場の人も地域の人も自分のやりたいことを、サポートしてくれます。
時には背中を押してくれたり、一緒に手を差し伸べてくれたり、自分の事のように喜んでくれます。
④協力隊として達成できたことや身についたこと、現在挑戦していること
地域おこし協力隊は、中高生と関わる以外にも地域の人とも関わり、いろんな仕事をさせて頂くので、『自分でなんとかする力』を身につけることができていると感じます。もちろん、なんとかする為にはいろんな体験、経験、自分で学べる環境があったから。
任期終了までに、いろんな経験と知識の引き出しを増やすために、デザイン、カメラ、お金、文章スキルなどいろんな分野に挑戦中~。
沢木真衣さん(さわきまる)
①活動内容
河原部社の『シラカンパ事業』を担当し、市内の中学生の対象にした職場体験やキャリア教育イベント『韮崎しごと展』の企画・運営を行っています。
また、Miacis外の教育プログラムの企画・運営も担当しています。
②韮崎市の住みごこちは?
日常生活を送るには、全く不便はありません。コンパクトな街なので、職場、お店、市役所など、1つ1つが近くてとても楽です。
反対に不便だなと感じるところは、コワーキングスペースや作業できるカフェが少ないところや、電車の本数が少なくて、行きたい時に行きたいところに行きにくいところですね。
③協力隊の働く環境や職場の雰囲気は?
まちづくりのために人が動くのではなく、人のために動くことが自然とまちづくりに繋がっているという人や活動が多くて、私にはとても居心地がいいです。
まちづくりへの意識が高くても押し付けになっていないし、年齢に関係なく1人1人の意志を尊重&応援してくれる雰囲気があって、活動しやすいです。
④協力隊として達成できたことや身についたこと、現在挑戦していること
「地域で地域の子どもを育てる」というあり方や、NPOや企業、行政の動きを直で見たり経験したりしてみたかったので、地域の学校、企業、行政、人と関われる業務は日々勉強になっていますね。
現在は、『〜知と人のありか〜たたたきかく』という、25〜35歳を対象に様々な知識と人が集まるコミュニティをつくる、河原部社の事業のお手伝いさせてもらっていることにも新しく挑戦しています。
また、個人としては、協力隊をやり遂げた後のことを考えて、自分や社会がいつどう変化してもストレスなく対応できるよう、お金(FPとマネーライフプランナー)の勉強を始めたり、複数のキャリアプランを地域内外の人に相談したり調べたり、これからのあり方を考え始めたりしていますところです。
向山さん(ジョーさん)
経歴:2019年4月~/産業観光課/茨城から
主な活動分野:登山ツアーの企画・運営
①活動内容
鳳凰三山や甲斐駒ヶ岳など、韮崎市周辺の山で登山ツアーを企画・開催しています。また、山岳の景色を展示した企画展の開催なども行いました。
②韮崎市の住みごこちは?
市内からは、韮崎駅の裏にそびえる巨大な七里岩のほか、登山や観光に人気の山々が四方を囲むように連なる光景を目にすることができます。自然に溢れているところが、韮崎の大きな魅力だと感じています。
③協力隊の働く環境や職場の雰囲気は?
地方ならではの、穏やかで落ち着いた雰囲気があって、自分のやりたい事がしやすい環境だなと思います。
④協力隊として達成できたことや身についたこと、現在挑戦していること
任期後の活動も視野に入れながら、いまは、狩猟に挑戦しているところです。害獣被害に悩む農家さんを助けて、地域に貢献していきたいと思っています。
協力隊のその後の活動は?任期後に向けてどんな支援がある?
韮崎市で協力隊を経験したあと、せっかくならその経験をその後のキャリアや独立につなげていきたいですよね。
自分のやりたいことに向けて挑戦しやすい環境か、周囲が応援してくれる環境かということも、協力隊の活動地を選ぶ上で、とても重要なポイントではないかと思います。
2名のOGの方にも協力いただいて、
- 現在の仕事や活動
- 韮崎市の協力隊を経験することで成長したこと、現在につながっていること
- 任期後に向けてしてもらった、行政や周囲のサポート
のテーマを中心に経験談を話してもらいました。
窪田いくみさん(いくみさん)
経歴:2016年4月~2019年3月/東京から
現在の主な仕事:フリーランス(デザイン・編集)
▷にらレバに登場した記事
①現在の仕事や活動
現在は、フリーランスとしてデザイン・編集の仕事をしています。この『にらレバ』の編集長をはじめ、さまざまな仕事をさせてもらっています。
・ニラサキローカルメディア『にらレバ』編集長
・「やまなしの人や暮らしをつたえる」をテーマにデザイン・編集業をしている『BEEK』土屋さんのアシスタント
・市開催のイベント『オープンファクトリー』実行委員会(デザインも担当)
・その他、個人で受ける撮影やデザインの仕事
②韮崎市の協力隊を経験することで成長したこと、現在につながっていること
協力隊にはミアキスのスタッフとして着任しましたが、ミアキスでの活動から現在につながっているものが多くありますね。
ミアキスの広報を担当したことでデザインを学ぶことができたし、任期中に立ち上げた『にらレバ』には今も編集長として携わることができています。
また、ミアキスで企画した『大人図鑑』というイベントがきっかけで『BEEK』の土屋さんと話せるようになり、制作物のアドバイスをもらったりしているうちには今はアシスタントにまでなったので、それも協力隊の活動からつながっていることだなと思います。
協力隊時代に地域との関係性を築けていたことで、地域の方からも仕事をいただけていますし、困ったときに相談できる方も地域の中にたくさんできました。人口が多い東京にいたときよりも、今の方がずっと出会いが多いくらいです。さまざまな世代の人と話せるので、視野がどんどん広がっている感じがします。
③任期後に向けてしてもらった、行政や周囲のサポート
任期中は、行きたい研修先に行かせてもらえたので積極的に学んだりスキルを身につけたりすることができました。
また、任期後に向けた起業支援金は、カメラやパソコンなどの必要なものを揃えることに使いました。4月からの独立に間に合うように担当課の方が迅速に手続きしてくれたのですごく助かりました。
色々と難しい部分もある協力隊の制度ですが、韮崎市の担当課の方は、私が分からないことを質問しても、都度すぐに調べたり相談したりして答えてくれたのでとても頼もしい存在でしたね。
市役所以外のサポートで言えば、周りに個人事業主が多くて、独立のアドバイスと踏み出す勇気をいただきました。起業時に事業計画書を見てくださった商工会にもお世話になりました。
久保田光貴さん(みっきー)
経歴:2017年4月~2019年3月/東京から
主な活動分野:法人 河原部社社員/施設運営(Miacis施設長)
▷にらレバに登場した記事
①現在の仕事や活動
協力隊時代に支援機関としてサポートしてもらった河原部社の社員として、青少年育成プラザ『Miacis』のスタッフをしています。
そのほか、昨年には仲間と合同会社を立ち上げ、市内で飲食店の経営も行っています。また、個人でデザインの仕事をいただくこともあります。
②韮崎市の協力隊を経験することで成長したこと、現在につながっていること
自分自身の成長という意味で言えば、3年間という協力隊の任期を意識していることで、自然と自分のこの先の人生ややりたいことを見据えて動くようになったかなと思います。
地域で活動する周囲のプレイヤーからも刺激を受けながら、「自分も何かやろう」という気持ちが大きくなっていきました。
また、地域との深いつながりを持てるようになったことも、協力隊での活動が現在につながっている部分かなと思います。
今では商店街を歩くだけでも誰かに出会うくらいに知り合いが増えましたし、何か困ったことがあるときに相談できる人や応援してくれる方もたくさんいます。
あとは、自分が今住んでいるまちのことを知ろうという気持ちにもなりましたね。まちの変化や、地域のために行政が取り組んでいること、まちにどんな人が住んでいるかとか。
行政の取り組みを生かして自分たちが何か活動をやったり、まちの人とまたつながりを増やして新しいことを始めたりすることで、自分たち自身が暮らす環境(=韮崎)がよくなったらいいなあと、地域の良い形を考えるようになりましたね。
③任期後に向けてしてもらった、行政や周囲のサポート
ミアキスに関連した研修(他県の教育施設の視察や活動の参加等)に行かせてもらえたのはもちろん、成人式で新成人に向けた冊子『アダルトニューニラサキ』を配布するなど、新しい取り組みを行う際には、行政の方も一緒になって先行事例の視察に同行してくれました。
また、起業補助などの具体的な話とは違うかもしれませんが、協力隊はじめ支援機関のNPOなど、若い世代に事業の一端を任せてもらえている地域内の環境や雰囲気自体が、頼もしいサポートだなと感じています。
今回の募集は「空き家活用」と「山岳資源の利活用」
最後に、今回の募集内容の紹介です。
現在募集している活動分野は、
- 移住定住支援・空き家対策(総合政策課 人口対策担当)1名
- 山岳資源の活用(産業観光課 商工観光担当)1名
の2分野です。
地域おこし協力隊が地域で活動する上で、行政(市役所)の方との関係性もとても重要です。
活動分野によって顔を合わせる頻度や距離感は異なりますが、みなさんのやりたいことを支援してくれる、困ったときに気軽に相談できる行政の存在は、きっとすごく頼もしい存在になります。
(僕自身、困ったことがあったらすぐに頼らせてもらっています。いつもすみません(笑))
「行政の方が地域にどんな変化を求めているのか」「協力隊にどのようなことを期待しているのか」などを、活動地を決める前に確認しておくことはとても大切だなと僕自身の経験からも感じています。
そこで、市役所の担当課の方にも、
- それぞれの分野でどんなことを求めているか
- どんな方に新しい協力隊として来てもらいたいか
について、それぞれ質問してみました。
みなさんの得意分野や興味のある分野に合っているか、どんな形で活躍できそうかなど、応募をする上での参考にしてみてください!
(韮崎市役所の組織図と、協力隊の担当課※市HPより)
【総合政策課 人口対策担当】平賀夕子さん
空き家に関して、地域の中にどんな変化を求めていますか?
韮崎市は県内でも空き家率が高いほうなので、景観上もよくないだけではなく、周辺に住む方にとって防犯上や衛生上で深刻な影響を及ぼす可能性があります。
空き家を移住者に提供し、暮らしてもらうことで、その地域が元気になってくれたら良いなぁと思います。
新しい協力隊の方には、どのような活躍を期待していますか?
各町の空き家コーディネーターの活動サポートや、市内不動産事業者と連携を積極的に行っていただき、地域の方とも楽しみながら交流する中で、空き家の解消をしていっていただけたらと思います。
【産業観光課 観光担当】曽雌 隼人(そし はやと)さん
山岳資源の活用に関して、地域の中にどんな変化を求めますか?
山には活用しきれていない資源が沢山あります。動植物もそうですし、景観や地形もその一つです。
一昔前は木などの植物、動物は貴重な地域資源として活用されていました。
甘利山、椹池(さわらいけ)などはスキー場やスケート場として活用され、地域のレジャーの場として親しまれていたと聞いています。
今では昔と同じような利用の仕方はできないかと思いますが、現代の価値観で「山」を捉え直して、 「リフレッシュの場」、「遊びの場」、「学びの場」として山岳を活用していく契機になればと考えています。
新しい協力隊の方には、どのような活躍を期待していますか?
韮崎市には古くから山を守る団体や人がいますし、山を利用した新たなチャレンジをする人もいます。
そのような山岳に関わる様々な人たちと協働をして、「韮崎市の山は面白い!」と多くの方に認知してもらえるような活動を期待しています。
「チャレンジする3年間にしたい!」という方は韮崎市
今回、さまざまな方の視点から、地域おこし協力隊について紹介してきました。
活動する分野や場所が異なるため、「韮崎市の協力隊はこういう仕事!」と一言でまとめることは難しいのですが、それを踏まえた上で、韮崎の特徴を挙げるとすれば、
若い世代や新しく挑戦している人の声を聞き入れて、応援してくれる</
そんな雰囲気が、この地域にはあふれているなと感じます。
「こんなことやろうと思っていて…」と相談に行けば、
「こんな人がいるから紹介してあげるよ!」「うちの場所使って良いよ!」
と自分事のように盛り上がってくれたり、
「若者がチャレンジしているだけで嬉しい!うまくいくかなんて考えずにまずはやってみて!」と背中を押してくれたり。
そういった雰囲気に、僕自身何度も勇気をもらっています。
今回の記事を読んでくださっている方は、きっと、他のいくつかの地域とも見比べているところかと思います。
最長3年間という限られた任期を価値あるものにするためにも、事前に色々な情報を見比べることはすごく大切ですし、みなさんが一番活躍できる地域に出会えることを心より願っています。
さまざまな地域と見比べる際はぜひ、
「新しいことにチャレンジしていきたいなら韮崎市」
をキーワードにしながら、韮崎市への応募を検討してもらえると嬉しいです。
僕含め今いる協力隊は来年度も活動しておりますので、新しく仲間になれることを楽しみにしています!
↓下のソーシャルボタンから、興味のありそうな方にもシェアしてください♪↓