【編集部のつぶやき】
近頃、ぐっと冷え込むようになり、富士山に八ヶ岳、南アルプスと、周辺の山々が一気に雪化粧となりました。朝方、冷えた手を温めようと吐く息の白さを見て、「もう冬は目の前だな…」と流れる季節の早さに驚いています。
少し前と比べて世の中は少し落ち着いてきたように思えます。しかし、相変わらず先が見えない状況が続き、良くも悪くもたくさんの情報が溢れているため、何が正しいのかわからなくなったり、不安な気持ちが溢れたり…なんだか元気が出てこないと悩んでいる方もいるかもしれません。
寒くなると、よりそういった気持ちが大きくなるように感じます。そんな時は、体をしっかり温め、よく食べ、よく寝て、まずは体の強張りを取ること。体がリラックスしたところで、自分にとって心地いい言葉や考えに触れて、心を動かす。すると、少しずつ前向きな気持ちが育ってきます。
図書館には、心の栄養補給ができる本がたくさん揃っています。ぜひ、心のサプリとなる1冊を借りて、補給してみてはいかがでしょうか。
目次
加藤館長の今月のイチオシ!
美術館と大学と市民がつくるソーシャルデザインプロジェクト
編:とびらプロジェクト 著:稲庭彩和子・伊藤達矢
出版社名:青幻舎
東京都美術館と東京藝術大学と市民の方々の三者が協働して取り組む「とびらプロジェクト」の立ち上げから6年間の活動が多角的にまとめられています。この、他に例を見ないとてもユニークなプロジェクトは、三者がフラットな関係を持ち、「とびラー」と呼ばれる年齢や職業の異なった多様な人々が自分たちの活動を主体的に立ち上げることを目的としています。
冒頭には、このプロジェクトの定義づけや意義が丁寧に説明されており、その具体例となる「とびラー」の皆さんの取り組みには、試行錯誤の過程もしっかりと記録され、更にプロジェクトから離れた後の人々の社会との関係性などにも触れられています。新しい公共的空間と人々の関わり方を考える際の一助としても、とても有効な本だと言えるでしょう。
館長が語る「ここがすごい!」
東京都美術館はよく行く場所で、とびらプロジェクトの存在を知ったのは、友人が第1期に参加しているのを何かで眼にしたことからでした。ユニークな取り組みが印象に残ったものの、現在は物理的な距離もあり、実現は難しいのですが、可能であれば是非「とびラー」になってみたいですね。
この活動は、美術館を図書館に置き換えてもよいのではないかと感じています。当館でも様々な展示やイベントを実施し、ボランティアさんの力もお借りしていますが、前々から、それとは違う形で地元の方が関わるような仕組みができれば、と考えていました。そういう点では、『にらレバ』を運営されている河原部社さんの「ミアキス」での色々な活動がこれに近いかもしれません。
図書館は、幅広い世代の方が利用される施設です。様々な年代の人々が集まって発展的な取り組みができたら…というのが、私が抱いている夢の一つなのです。
この本は、2012年から活動を開始した時期の事柄が中心ですが、その後10年が経過しています。プロジェクトのサイト(https://tobira-project.info/)では、本書刊行以後の取り組みが紹介されているので、是非ご参照ください。
場所 | 背ラベル |
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一般 棚5 | 704イ |
※ 上記のエリアもしくは、「みんなの本棚」特別ブースに展示されています。
親子で読みたい絵本
もふっ
作/絵:ふじいともみ
出版社名:アリス館
ふわふわな動物の親子が、くっついて…もふっ。かわいいもふもふがいっぱい! 読めば思わず笑顔になる、あかちゃん絵本です。
望月さんが語る「ここがすごい!」
絵のタッチからも、”もふもふ”とした気持ち良い感じが伝わってきます。色鉛筆で描かれており、とても優しい絵です。 今までありそうでなかった、もふもふという擬音で大人も子どもも楽しませてくれます。
場所 | 背ラベル |
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読聞かせコーナー | Eフ |
※ 上記のエリアもしくは、「みんなの本棚」特別ブースに展示されています。
10代で出会いたい本
「戦争」は許されるのか?
著者:稲葉義泰 出版社名:イカロス出版
判型:四六判、定価:1,870円(税込)
突如としてはじまったロシアによるウクライナ侵攻により、国際社会は冷戦期以降最大の緊張感に包まれています。 しかし、ロシアの行動はなぜこれほどまでに非難されているのでしょうか。それを読み解くカギは「国際法」にあります。
本書では、とくに軍事力の行使に関する国際法を、イラストを交えながら分かりやすく解説しつつ、現在の国際社会の中で「許される」軍事力行使と「許されない」軍事力行使の境界を探ります。著者はSNSなどで人気の国際法・防衛法制の研究者・稲葉義泰氏です。
笹島さんが語る「ここがすごい!」
私は、初めてこのタイトルを目にしたとき「戦争が許されるわけがないじゃない!」と心がざわつきました。最近は、日々流れてくるウクライナの情勢のニュースに慣れてきてしまっていたり、もう暗いニュースからは遠ざかりたいと思ってしまったりする自分がいます。
しかし、本当にそれでいいのでしょうか。 年が明けた2022年のお正月には、まさか翌月にウクライナとロシアで戦争が始まるなんて思ってもみませんでした。日本で平和が続いているのは、ここ78年ほどの期間であり、私はこれが永遠に続くと思っていたのです。というか、続いてほしいという気持ちでいました。
でも、現実は不安定な世界情勢になっています。このところシェルターの準備が…といった報道もされています。ウクライナで起こっていることを自分事として考えておかないと…。 この本のタイトルからは固い内容が思い浮かびますが、イラストが多くわかりやすく書かれています。
大人の方はもちろんのこと、若い方々にもぜひおすすめしたいです。この本で、国際法とは何なのかを知りましょう。そして、自分の頭でよく考え、「戦争を起こさない、戦争に巻き込まれない」ような国にしていきたいですね。
場所 | 背ラベル |
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一般 棚26 | 329イ |
※ 上記のエリアもしくは、「みんなの本棚」特別ブースに展示されています。
大人が読みたい本
「若者」をやめて、「大人」を始める
著者:熊代亨 出版社名:イースト・プレス
世間で「大人」と言われる年齢になったみなさん、立派な「大人」になれた実感はありますか?人生の選択肢が多様に広がったからこそ、生き方が定まりにくいこの現代。
「成熟のロールモデル」が見えなくなった社会において、「若者」の立場を卒業し、「大人」を実践するとはどういうことか?異なる世代との付き合い方、恋愛・結婚観、趣味とともに生きていくことについてなど、リアリティと現実のギャップに戸惑う人びとに向けた、新たな指針を示す人生論です。
松原さんが語る「ここがすごい!」
大人が読みたい本の紹介を担当している私ですが、ちらりと頭をよぎることがあります。いつまでも若者気分が抜けない私が「大人」向けの本を紹介……恐れ多いなあ、と。
今回紹介するこちらは、「大人」の定義から時代背景、「大人」になるとはどういうことかが書かれており、執筆当時に40代だった著者が先輩として、これから「大人」になろうとしている読者に少し先の未来を教えてくれます。
以前は「何十年にわたってメディア上で「若者」が理想のロールモデルであり続けてきた事実」があったと著者。「”大人”について考える人が減ってもおかしくない」といいます。
また、「大人」になろうにも現在では「大人」を実践する立場が争奪戦になっており、経済的・時間的・精神的にゆとりがある人など、特定のポジションにいる人しか「大人」になりにくい社会構造があるそうです。
では、具体的に「大人になる」ってどういうことをいうの?とお思いの方は、ぜひ本書を読んでみてください。
今現在も自分自身の成長を求めている私はまだまだ「大人」になれないなと思いつつ、知識を持っているのといないのでは大違い。近い将来のために備えておきたい1冊です。
場所 | 背ラベル |
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一般 棚22 | 159ク |
※ 上記のエリアもしくは、「みんなの本棚」特別ブースに展示されています。
11月の季節展示から厳選!
サッカーことばランド 世界で拾い集めたへんてこワード97
著者:金井真紀、熊崎敬 出版社名:ころから
マレーシアで、抜け目のないストライカーは「ニワトリどろぼう」と呼ばれ、ブラジルでへたくそなゴールキーパーは「レタスの手」とからかわれる…そんな、世界のサッカー場に息づく97の「サッカーことば」を拾い集めた前例のない絵本。
この本を読んでも、サッカーがうまくなることはありません。外国語がペラペラになることもないでしょう。でも世界がちょっとだけ広がるかも…。
坂本さんが語る「ここがすごい!」
この本には様々な国のユニークなサッカーことばがたくさんでてきます。私がこの本を読んでいる間は「なんでやねん!」とページをめくってはツッコミを入れ、そのまた次のページをめくってはツッコミを入れる…その繰り返しでした。
内容は、ことばだけでもかなり面白いのですが、そのサッカーことばを表現した挿絵によって面白さが倍増します。
また解説のところでは、各国の文化についての文章があり、思わず「へー!」となること間違いなしです。
本書は児童書ですが、大人の方も楽しめる内容となっています。ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。
皆さんが待ちに待ったサッカーワールドカップが11月にいよいよ開催されます。それに伴い、サッカーに関する資料や日本と予選で対戦する国、歴代優勝国のそれぞれの文化などに関する資料を展示します。 本を通じて、サッカーワールドカップを一緒に盛り上げていきましょう!
[展示期間:10月29日(土)~11月29日(火)まで]
にらレバ編集部のおすすめ
はじめてのサウナ
文:タナカカツキ 絵:ほりゆりこ
出版社名:リトルモア
サウナ=我慢→キレイになるところ!日本では「おじさんのもの」というイメージがつよいサウナの健康、精神面のメリットを、写真やイラストを交えて紹介します。サウナ未体験の人への贈り物にも最適な1冊。
窪田が語る「ここがすごい!」
\みなさん、ととのってますか〜?/
若者たちを中心に空前のサウナブームが巻き起こっている今、その流れについていけずに「サウナって何がいいの?」「熱いだけでしょ?」と思っている方も多いと思います。
そんな方に手に取って欲しいのがこの1冊。サウナとはどういうものなのか、どんな入り方が正しいのか、かわいいイラストたっぷりの絵本を読むような感覚で、サウナの魅力を知ることができちゃいます。
著者はテレビ東京でドラマ化もされた漫画「サ道」を描いたタナカカツキさん。絵はTent Sauna Party所属のほりゆりこさん。サウナオタク2人のコラボレーションが誘う楽しいサウナの世界。
読めばきっと「サウナ試してみようかな?」と思うはず。そうして、サウナ→水風呂→外気浴を繰り返し、“ととのう”ことを覚えたその日から、あなたの人生はますます豊かになるでしょう!
場所 | 背ラベル |
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一般 棚30 | 498.3タ |
※ 上記のエリアもしくは、「みんなの本棚」特別ブースに展示されています。
大村記念図書館からのお知らせ
富士山ボランティアセンター主催で毎年開催している富士山あて年賀状の入選作品200点を館内に展示します。なんと個人的に参加した図書館スタッフも入賞!様々な思いのつまった年賀状をお楽しみください。
【開催期間】11月1日(火)〜11月17日(木)
図書館読聞かせコーナーにて季節の絵本の読み聞かせを行います。
また、おはなし会に参加された方にはおりがみと折り方の解説をプレゼントします。おうちでおりがみを楽しんでください。
【開催期間】11月12日(土)14:00〜14:20
※対象は、対象は、マスクの着用が可能な「2歳~小学校低学年」のお子さん(申込み不要)
ニコリ2階「イベントスペース」にて、山梨英和大学の学生さんによる英語を取り入れたおはなし会を行います。おなじみのお話を英語で聞いてみませんか?楽しい時間をお届けします。
(対象:小学校低学年、またはその前後の年齢の子どもとご家族/定員:15名(先着順))
韮崎市立大村記念図書館カウンターまたは電話(0551-22-4946)にて受付中。
共催・韮崎市子育て支援センター
【開催期間】11月13日(日) 14:00〜14:30
ニコリ3階「多目的ホール」にて、市内3つの朗読ボランティアグループの方々にご出演いただき、成人一般、学生、目の不自由な方などに向けて朗読会を行います。(申込み不要)
【開催期間】11月19日(土)14:00〜15:00
※コロナウイルス感染拡大防止に伴う利用規則として入場者は、氏名・連絡先・住所の記入が必要となります。予めご了承ください。
ニコリ2階「会議室9」にて、三ツ星シネマ上映会を行います。
11月27日(日)①10:00~「悲しみより、もっと悲しい物語(吹替版)」
②14:00~ 「悲しみより、もっと悲しい物語(字幕版)」
・11月19日(土)より、韮崎市立大村記念図書館カウンターにて無料チケットを配布します。(対象中学生以上/各回24席程度)
・詳しくはチラシやホームページをご覧ください。
上記イベントについての詳細は、チラシ、またはホームページをご覧ください。
※新型コロナウイルス感染拡大の影響により内容が変更になる可能性があります。
最新情報は図書館まで、お問い合わせください。(韮崎市立大村記念図書館:0551-22-4946)
大村記念図書館の基本情報
所在地 : 〒407-0015 韮崎市若宮1丁⽬2番50号
営業時間: 平日・土日祝日 10:00~19:00
電話番号: 0551-22-4946 (FAX)0551-22-4950
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