こんなところで本格アジア料理!?永ちゃんを愛する男がつくる異国の味とは?|アジアン麺


今年4月、『株式会社茂呂製作所』の工場の敷地内に、『アジアン麺』というお店がオープンした。

タイやベトナムを旅したこともあり、アジア料理が大好きな私は、「お昼ごはんにアジア料理が食べられるお店が韮崎にほしい」とずっと思っていたので、このお店ができたという噂を聞いたときはすごくうれしかった。

現時点では、オープンしているのは、火曜日と木曜日の昼のみ

お店が「工場の敷地内」ということもあり、迷いやすく、事務所にも見える外観は「一般客が入っていいものか…」と、ためらう人も少なくないだろう。

しかし、どんな料理が食べられるの?なぜ、工場の敷地内に?と、気になるのは私だけではないはず。

そこで、今回は『アジアン麺』によりみちして、店主の村田進二さんに話を聞いてきた。

もう迷わない!アジアン麺へのアクセス方法

お店までの道のりは、小さな冒険気分!

国道141号線を北杜市方面に進み、「絵見堂」の信号を右に曲がり真っ直ぐ向かうと、穂坂に続く坂道が見えてくる。
その手前を左に曲がり、民家の前の細い道を進んで行く。


「こっちで合ってるのかな?」と少し不安になるけれど、ラーメン幟と看板が見えると一安心。
左手にアジアン麺のある『茂呂製作所』の建物が見えてくる。

右手に広い駐車場があるので、ここに車を止めて、いざ出発。

外観車を降り建物の右側を通過し、裏手に回ると奥にA看板が立っているのが見える。

ここまで無事にたどり着ければ、あと一息。アジアン麺へと続く階段は、すぐそこだ。

お店へと続く階段ここまでの道中、社員の方とすれ違うこともあり、「無断で侵入して大丈夫なのかな」と不安になるが、社員のみなさんにはお客さんだと察してもらえるので心配ご無用。
私が「こんにちは」と挨拶すると、にこやかに返事をしてくれたので、ほっとした。

社員食堂に潜入した気分も味わえちゃう

食堂の館内青い階段を上り、扉を開けた先には、4人がけのテーブル席が5つある、開放的な空間が広がっている

私が訪問したのは火曜日の12時半頃。平日なので空いてると思いきや、テーブルはほぼ満席。茂呂製作所の従業員と思われる、作業着姿の人もいれば、一般のお客さんらしきグループもちらほら。

席に置いてあるメニュー表を見て、どれを注文しようかと考える。メニュー表にある写真がどれもおいしそうで、「どんな味なんだろう?」と期待に胸が膨らむ。

気になるメニューを大公開!アジアン麺の正体とは...!?

基本メニューは、アジア4カ国の麺料理!

メニュー一覧メニューは、インドネシア・ベトナム・タイ・日本と、アジア4カ国の麺料理
それに加えて、チャーシューがゴロっと入った“チャーゴロ丼”や“グリーンカレーライス”などの日替わりのご飯ものや、期間限定メニューも用意されている。

アジア料理好きにはたまらないラインナップに、思わず笑みがこぼれる。

麺の量を少額で、1.5倍、3倍、5倍と変更できるのもうれしいポイント。
量が多くなるほどお得だが、それにしても5倍が用意されているなんて...。
(どうやら、ペロリと食べちゃう人もいるらしい)

日本の麺はスタンダードな醤油ラーメンのようで、もちろんそれもおいしそうだったが、今回の目的は残念ながら、それ以外の国の味。気になるアジア3カ国の麺料理を、友人と一緒に堪能してきた。

具材が豪華!一番人気の「インドネシア麺」

インドネシア麺「インドネシア麺」は、牛と鳥をベースにしたスープに、ちぢれ麺とさまざまな具材が合わさったヌードル。

レモングラスが香るさっぱりとした味わいだが、薬味のサンバルを入れると、酸味が追加されて、よりアジア料理らしい味になる。

カレー風味の鶏肉と肉団子、揚げワンタンなどがのっていて、満足度の高い一品だった。

さっぱりしたいときにおすすめの「ベトナム麺」

ベトナム麺「ベトナム麺」は、「フォー」という平たい麺のライスヌードル。

牛と豚の骨で出汁をとったスープに、もちもちツルツルな麺がよくマッチする。具材は、柔らかい鶏肉と大根に刻みねぎ。

3種類の中では一番さっぱりとしているが、辛い薬味を入れることもできるので、お好みの味に調整できる。

個人的に、「こういうの、二日酔いのときに食べたい...」と感じる、荒れた胃にも優しそうな味だった。(笑)

グリーンカレーと麺!?意外な組み合わせがおいしい「タイ麺」

タイ麺「タイ麺」は、スパイシーなグリーンカレー味のスープに、ちぢれ麺を合わせたヌードル。

カレーといえば日本ではライスが定番だが、タイでは『カレー×ラーメン』の組み合わせも珍しくないそうで、カレー味のスープと麺が想像以上によく合っていておいしかった。

鶏肉、かまぼこ、たけのこが入っていて、ボリュームもたっぷり。スープは辛めなのでじんわりと汗をかき、身体の内側からパワーが湧いてくるのを感じた。

どの麺も、「アジア料理ならでは」の少し癖のある調味料の味と香りがするけれど、そこまで強烈ではないので、アジア料理に馴染みがないという人も、食べやすいと思う。

どれもおいしかったので、一度と言わず何度でも味わってみてもらいたい。

なぜ工場の敷地内に「本格アジア料理」のお店が?

店主と社長は幼馴染!海外で和食のお店を出すという夢

茂呂製作所は、金属部品の設計製造から工場内の機械修理・メンテナンスまで、さまざまなお客さんの困りごとを解決する会社だ。

私は、ニラサキオープンファクトリー2020のときに、茂呂製作所の見学をしたことがあり、大型の機械を動かす様子に興奮した記憶があったので、飲食店を始めるというのは予想外の展開だった。

店主の村田さん

一見コワモテな印象だが、話すと優しく親しみやすい店主の村田進二さんは、茂呂製作所の社長の茂呂哲也さんと幼稚園の頃からの幼馴染なのだそう。

そしてなんと、茂呂さんから「海外で和食のお店を出したい」という相談を受けたことが、今回のお店ができたきっかけだったというから驚きだ。

村田さん:「僕らは昔から、『しんちゃん』『てっちゃん』と呼び合っていて、何でも相談し合う仲なんです。
僕は、親父が勤めていた魚市場で20年間働いたり、自分で居酒屋を経営したりしていた経験があって。
それを知っていた社長から、あるとき、『海外に和食のお店を出すのが夢だから、しんちゃんにぜひ協力してほしい』という相談を受けたんですよね」

窪田:「茂呂さんは、なぜ海外で和食のお店をやりたいと思ったのでしょうか?」

村田さん:「茂呂製作所は、タイに子会社、ベトナムに兄弟会社を持っていて、インドネシアの会社とも提携を結んでいたり、上海でも機械の販売をしていたりと、積極的にアジア進出をしているんです。
社長は食べることも好きだから、仕事でアジア各国に通っている間に『こういうところで和食のお店をやってみたい』と思うようになったそうですよ」

コロナに負けない。できることから始めて誕生した「アジアン麺」

村田さん:「コロナで世の中がこんな風になる前は、茂呂製作所の次の進出先として考えているミャンマーに、お店を出そうと話していました。だけど、海外に行くのがむずかしい状況になっちゃって...。
社長と相談して、『まずは従業員向けにやってみよう』ということになり、使っていなかったこの食堂スペースで、アジアン麺の提供を始めました。
やってみたら好評だったので、社外の方にも食べてもらえるようにと一般開放したのが、このお店の始まりだったんです」

窪田:「そんな経緯があったとは...!コロナで海外進出ができなかったのは残念ですが、ここにお店ができたことは韮崎市民としてうれしいです。今後の展開も、たのしみですね」

アジアの文化を広げて、研修生との交流を

卓上のメニュー表窪田:「ここでお店を始めるときに、和食ではなく、アジアの麺類を選んだのには、何か理由があったのですか?」

村田さん:「茂呂製作所では、ベトナム、タイ、インドネシアの研修生を受け入れているんです。社長には、研修生たちの国の文化を日本人に広めて、もっと彼らと触れ合ってもらいたいという想いがあったみたいです。
アジア料理をつくるのは初めてでしたが、研修生たちに故郷のレシピを教わって、今は彼らも認める“本場の味”を表現できるようになりました」

「故郷を思い出す」アジアの研修生も認める美味しさ

窪田:「料理を提供してみて、みなさんの反応はいかがですか?」

村田さん:「日本人も研修生たちも、しょっちゅう食べにきてくれますね。研修生は、『懐かしい』 『故郷を思い出す』と言って、嬉しそうにスマホで写真を撮ったりしています。
よろこんでいる姿を見ると、始めてよかったなと思いますね」

窪田:「工場で働いているメンバーと話をする機会も多いんですか?」

村田さん:「僕は日本人も外国人も関係なく、誰とでも話をします。タイの子たちは人懐っこくて、僕のことを“パパ〜”と呼びながら、毎日会いに来てくれます。そうした彼らの、身近な人を大切にする文化は、素敵だなって思います」

窪田:「故郷の料理が味わえる上に、いつも声をかけてくれる大人がいたら、研修生たちもうれしいでしょうね。村田さんは、コロナが落ち着いたら海外に行く予定なのですか?」

村田さん:「新しい店長を雇って、僕は海外に行くつもりです。社長から相談されたときの“どうしてもやりたい”っていう熱意にグッときたから、その夢を一緒に実現したいんです」

矢沢永吉を愛する店主「挑戦しないと始まらない」

窪田:「社長から海外進出の相談を受けたとき、不安や迷いはありませんでしたか?」

村田さん:「話を聞いて、すぐに『やろう』って返事をしました。僕はその頃ちょうど50歳で、人生でもう一回、何か大きな挑戦をしてみてもいいんじゃないかなって思っていたんです。
どうせやるなら0からスタートしたいから、言葉も何もわからない海外でお店をやるなんて、最高だなって思いましたね」

窪田:「チャレンジャーですね。きっと茂呂さんも、村田さんなら力を貸してくれるに違いないと感じて相談したんでしょうね」

村田さん:「僕は、昔から矢沢永吉が大好きなんですよ。永ちゃんみたいに、自分で道を切り開いていく生き方に憧れているから、いいと思ったらすぐに『やってみようよ』ってなるんです。
チャレンジって人生で何回してもいいじゃないですか。年齢だって関係ない。まずは、やってみないと何も始まらないからね

よりみちのかえりみち

男気溢れる村田さんは、「矢沢永吉が好き」と言われると思わず納得してしまうような、熱いエネルギーを感じる人だった。
おそらく茂呂さんも、村田さんに負けないくらい、新しいことへのチャレンジ精神が強い人なのだろう。

2人の想いとさまざまな偶然が重なって、茂呂製作所の敷地内に誕生した「アジアン麺」。

料理に使われている香辛料のせいか、ワクワクするストーリーと村田さんの“矢沢魂”に触れたせいか、帰り道には何だか私の身体にも、熱いパワーがみなぎっていた。

今後の展開にも注目しながら、まずは研修生たちが村田さんに伝授した本場の味を、ぜひみなさんにも味わってみてほしい。

アジアン麺の基本情報

  • 所在地:山梨県韮崎市藤井町駒井3169
  • 営業日:火曜日・木曜日
  • 営業時間:11:00~14:00
  • 電話番号:070-2654-6482

※新型コロナウイルスまん延防止等重点措置のため、9月12日まで臨時休業となります。