SDG’sやサスティナブルな活動を求められるようになった昨今。日本では、密かに「縄文ブーム」が起こっているらしい。
山梨県・長野県を中心とする中部高地エリアは、縄文遺跡の宝庫と呼ばれており、数え切れないほどの遺跡が点在している韮崎市は、縄文ファンにとって、激アツスポット。
そんなまちにせっかく住んでいるからこそ、知っていただきたい存在がいる。
それは、日本遺産にも登録されている石之坪遺跡(円野町)から発掘された土偶「ミス石之坪(石之坪遺跡の土偶)」だ。
ミス石之坪は、先月30日から開催されている『縄文ドキドキ総選挙2022』にエントリーしており、「今年こそは悲願の1位を…」と熱く燃えている男がいる。
韮崎の歴史といえばこのお方…民俗資料館の閏間俊明さんその人だ。
「教えて!閏間さん」ということで、今回は、ミス石之坪の魅力はもちろん、知られざる縄文土器の世界と楽しみ方について聞いてきた。
目次
先生、無知な私に縄文時代について教えてください!
今回は、どうされましたか?
この際だから、土偶や縄文時代について、根掘り葉掘り聞くぞ!ということで、遊びに来ちゃいました(笑)。
そもそも土偶って、なんですか?
そもそもの話、土偶ってなんのために作られたんですか?
縄文時代って歴史の教科書では、0.5〜1ページ程度で終わったでしょ?
でも、実際は1万何千年も続いている時代なんだよね。
「マンモス狩って、土器作ってました」で、片付けてはいけない歳月じゃないですか。
だから、その長い時間の中で土偶が、ずっと同じ機能や役割で存在していたのか、と聞かれるとハッキリいってわからない。
ま~それでも、1万数千年前の人が土偶を作っていたことだけでも驚きですけどね!
同じ土偶でも、長い時間の中で、作っている縄文人の土偶に対する思いも変わっているかもしれないですよね。
連絡手段には変わりないけれど、使われ方や取り巻く環境が変化している的な。
現に、土偶って名前自体も、現代人が勝手にそう呼んでいるだけですから(笑)。
みえない何かへの想いや願いが込められている?
土偶に限らず、縄文土器も含め、この時代に作られたものは、命を育んでいることを表現しているんだろうな、って感じています。
現代人は、鍋という調理具に対して機能性や使いやすさを求めますよね。
というか、ごちゃごちゃ装飾されてて、どう考えても不便じゃないですか?
実際、土器は「料理しないと人間が食べれないもの」を加工するための道具。要するに食事を生み出してくれる魔法の器なんじゃないかと。
そして、食事をとるという行為は、人間が命を紡ぐために必要なこと。土器を通して「命をいただくこと」に感謝をしている縄文人が見えてきませんか?
縄文人って、感受性や表現力が豊かだったんですね。
土偶や土器の表現が豊かだと「その当時の生活が豊かだった」と受け取ってしまう人がいます。それはあまりにも安直すぎるかと。
土器は華やか!でも、「生活は豊か」とは限らない?
命を育むことにとても困難が伴うからこそであり、必ずしも単純に「豊か」という言葉で片づけちゃいけないんじゃないかなと思っちゃうんですよね。
人智を超えた何かを形にしている可能性があるということでしょうか?
土器や土偶を作り頼らないと生きていけない。
それほど、精神的に追い詰められるような環境だった、と捉えることもできますよね。
縄文時代は「文字に残す」という文化がなかったので、モノからしか語れない。
だから形だけじゃなくて、発見されたときの状況から推測することもある。
だからこそ、奥深い世界なんですね。
閏間さんの推し「ミス石之坪」ってどんな土偶なの?
ミス石之坪の魅力を教えてください!
改めて、この子の魅力やチャームポイントを教えてください。
そして、見る角度によって表情がコロコロと変わるところですね。
ミス石之坪は、丁寧に作られているからこそ、その表情の変化を読み取りやすいと思います。
まさに、愛を育む姿をリアルに想像できる、そんな魅力を持った土偶です。
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ミス石之坪しか勝たん!学者の「心」を語りたくなる土偶
初対面した時、何千年の時を土の中で過ごしていて、久方ぶりに見る人間が「私でごめん」って、ちょっと思ったけど…(笑)。
きっと、閏間さんに、見つけてもらえて嬉しかったと思いますよ?(笑)
。これまでたくさんの土偶を発掘してきたけど、この子は出土状況も含めて、やっぱり別格だったからね。
「なにこれ~(ハート)」「嘘でしょ?」って。
どんな、状況で発見されたんですか?
フラスコ型土杭と呼ばれる「貯蔵穴」で、食料を加工するための石器4点と一緒に発見されました。
しかも、ミス石之坪は伏せられていて「大地にキスをしているのかな?」と思うほど、神々しい姿でしたね。
思わず「もう、命の育みセット状態じゃん!」ってツッコミ入れちゃいましたよね。(笑)
考古学って、感情的な解釈が入ってしまうので「心」を語りたがらない学問なんです。
でも、ミス石之坪を発見した時は、「これは語ってもいいんじゃない?」「むしろ、語らせてくれ!」と思えた土偶でもあります。
殿堂入り「縄文のビーナス」って、どんな土偶?
しかも、発掘時は片方の足が取れていましたが「ほとんど完全な形で見つかっている」ところもポイントですね。
ほら、腰からお尻にかけてのビーナスラインが、どっしりとしながらもふくよかで…すごく、いい感じの形をしていますよね。
しかも、キラキラしてるでしょ?これは、わざと粘土に“金色雲母”という砂を混ぜているんですよ。
地元の人からとても愛されているからこそ、あれだけの票が集まったと思います。
何事も、まずは地域の人たちに「地元にこんなにすごいものがあるのか!」と知ってもらうことが大切なんだと思います。
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「興味がない人でも楽しめる!」縄文の世界の歩き方
最後に、私みたいに「知識ゼロ」な人でも縄文時代を楽しむコツや魅力について教えてください!
抽象画を観て「ナニコレ?」って思いますよね、そんな感じです。
そこから、縄文時代の土器や土偶は、すべて手作りで、同じものはこの世に2つとしてない「唯一無二の存在」であることを感じてほしいですね。
すべて手作業で、ここまで精巧な作りってすごいですよね。
むしろ、物事に丁寧に向き合ってるからこその器用さがあります。
惚れ惚れするような、そんな職人技に注目してみてください。
誰かと一緒に訪れて、それぞれが感じた縄文時代について語る時間も楽しそうですね。
編集後記〜縄文ガールへの道〜
土偶に土器に縄文時代…と、かなりお腹いっぱいだが、まだまだ、縄文時代の「じ」の字にも到達できていないんだろうな。
帰り際に、山梨県は縄文王国といわれており、韮崎市は比較的華やかな土偶が発掘される、すごいところだ!と聞いたからだろうか。
それとも、この原稿を書きながら、ミュージシャン池田貴史のソロユニット「レキシ」の『狩りから稲作へ』を、リピート再生していたからだろうか。
「縄文土器」というワードが、頭から離れなくなってしまった。
「縄文時代も私も逃げたりしないので、いつでも遊びに来てくださいね」と話してくださった閏間さん。
彼ら彼女ら(土偶と土器)のことが気になり、閏間さんの元へ足を運んでしまう日が来るのも、そう遠くはないな…と感じた、そんな取材であった。
「ミス石之坪」は、
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韮崎市民俗資料館の基本情報
- 所在地 :韮崎市藤井町南下條786-3
- 開館時間:午前9時~午後4時30分 (午後4時頃までにご入館ください)
- 休館日 :月曜日、木曜日の午前中(※祝日の場合はその翌日が休館日となります)
年末年始(12月29日~1月3日)
※「にらみんのお散歩日記」に最新の休館日が掲載されています。
以前、取材させていただいた「教えて!閏間さんシリーズ」とても好評でしたね。
その節は、ありがとうございました。