韮崎市は外からどう見える?中国からの留学生視点で韮崎市の特色を考えてみた【SNS読者アンケートも】

韮崎の特色発見アイキャッチ


みなさん、こんにちは!中国から留学で来ている山梨県立大学2年のジェ シャンシンです。にらレバでは、インターン生として昨年の8月から学生ライターをしています。

今回の記事では、『韮崎の特色大発見!』と題し、「韮崎の外から見える韮崎の特徴」をテーマにお話ししていきたいと思います!

慣れ親しんだ地域だからこそ特色を知らない?

本題に入る前に、どうして外から見える地域の特色を紹介していこうと思ったか、私の思いを説明させてください。

私の出身地は中国の江西省南昌市です。

中国の都会と言えば、多くの方は、北京や上海といった大都市を思い浮かべると思います。「南昌市」という名前を聞いたことがある方は、きっと多くはないでしょう。

南昌市は、中国の南東に位置しています。自然が豊かで多くの山々に囲まれている、韮崎市と似ている地域です。

南昌市の地図

私は、南昌市に住んでいたころ、大都市に憧れていました。南昌市は「何もないところだ」とも感じていました。

そう思いながら日本に留学に来て、今年で4年目を迎えます。生まれ育った南昌市を遠く離れ他国で生活する中で、逆に南昌市にあった特徴に気が付く場面も経験しました。

南昌市では当たり前に食べていた食事や料理を日本で見かけないことや、法律や文化が違っていることで日常の光景が大きく異なっていることに驚いたこともありました。

蓮の花の実のスープの写真

南昌市ではよく食べていた蓮の花の実。天日干ししたものを戻して甘い冷製スープに入れます。夏の暑さ対策として、南昌市の多くの家庭では冷蔵庫に入れられています。日本では見かけないため、中国の実家から送ってもらっています。

大量のバイクが道を走る様子

また、南昌市では電動バイクが日本よりもはるかに普及しており、写真のような光景が多く見られます。というのも、日本と違って南昌市では、電動バイクに乗るのに年齢的な制限や免許は必要ありません。(※現在は法律が変わっていますが)購入さえすれば乗れる電動バイクは、移動手段としてとても人気があります。

「当たり前」と感じていた地元の見慣れていた光景も、法律や文化が違えば大きく異なるのだと、日本へ来て実感しました。

にらレバのインターン生になってから、半年間が経ちました。その間に、韮崎に住む方と実際にコミュニケーションを取ったり、韮崎市についていろいろ話したりしました。

その中で、

「韮崎市に誇りを持っている市民もいる一方、地元の魅力を知らない、魅力だと気が付いていない人もいる」

という話を耳にしました。かつて私が地元 南昌市に抱いていた感覚と同じだと思いました。

韮崎市での暮らしが日常生活であり、当たり前のものとして慣れてしまっていると、韮崎にしかない特色や魅力に気が付くのはなかなか難しいことなのかもしれません。

みなさん、こちらの写真を見たことはありますか?

わに塚の桜

韮崎の方にとっては、もちろんよく知っている風景でしょう。毎年春には多くの花見客が見に訪れる一本桜、『わに塚の桜』です。実は、わに塚の桜を写したこの写真が中国のインターネット上でもよく見られていることをご存知でしょうか?

美しい桜樹は中国でも人気で、多くの中国人がわに塚の桜を見に行きたいと思っています。桜の木自体が美しいことはもちろん、東南方には富士山を、西北方には八ヶ岳を背景にした絶景を見ることができます。その素敵な写真を撮るためだけに、中国からカメラマンが足を運んでくることもあるそうです。

地元の方にとっては「あることが当たり前」の風景であっても、外からは違った見られ方をしていることがあるようです。また、その見られ方を知ることで、地元の人自身が地元を見る目も変わってくるかもしれません

外から見ることで見えてくる地域の特色

私は留学で出身地を離れたことで、出身地の特色を感じるようになりました。韮崎市から離れたことがある人の中にも、「離れて外から見てみたことで初めて韮崎の豊かさや魅力に気付けた」という経験をした人は多いのではないかと思います。

この記事では、そのような「外から見ることで気付いた韮崎の特色」を発見していくことを目指そうと思います。

  1. 食文化や生活習慣などをテーマに南昌市と韮崎市を比較
  2. 「あなたの知ってる韮崎の特色」をテーマに集計したSNSアンケート


の2つのパートで韮崎市の特色を探っていこうと思います。

(なお、私個人が日本に来て感じたことをベースにしているため、韮崎市や南昌市に限らず日本と中国との比較になっている部分もあるかと思います。ご了承ください)

今回の記事が皆さんにとって、韮崎市の特色を考えたり見直したりするきっかけになればいいなと思います。

留学して気づいた南昌市と韮崎市との違いを比較

1.宗教

①仏像の違い

私が初めて韮崎市に来たときに一番印象的だったのが、電車から降りてまず目に入ってくる巨大な平和観音様でした。韮崎市の中でも特徴的な建築の一つと言えるでしょう。

仏像の姿を見てみると、全体は神聖な存在を象徴する白色をしており、女性を象徴する乳房も、女性だと分かるようにはっきりと彫塑されています。

韮崎平和観音の写真

(出典:韮崎市観光協会HPより)

南昌市では、韮崎のように野外に建造されたものはあまりなく、観音像の多くはお寺の中にあります。また、観音像本体の色は白ではなく、金色をしています。さらに、性別を表す箇所は、隠してある、もしくは目立たなくなっていて、観音様の性別は像の顔や服装などから判断します。

②「神社」の違い

参拝にも違いがあります。

日本ではお寺と神社の二つが似たものでありながらも区別されていますが、そもそも「神社」という概念自体、中国ではほとんどありません(ほかの多くの国でもそのようです)。

お寺は仏教、神社は神道のものであり、インドの方角から日本に伝来してきた仏教に対して、神道は日本独自の宗教です。神道では、山、森、石などの、自然や実在する特定の人物を「神」として信仰しているのが特徴です。

韮崎において言えば、韮崎の有名な観光地の一つとして武田八幡宮がありますが、ここでも、武田信玄の先祖であり実在した人物、武田信義が氏神として祀られています。

ちなみに、「八幡」は、実在した最古の天皇である「応神天皇」のことだと言われており、「八幡宮」と名の付いた神社は全国におよそ4万もあるそうです。

2.食文化

①朝ごはんの違い

中国には、ほとんどの地域で、その地域特有の朝ごはんがあります。南昌市の朝ごはんは、南昌米粉と瓦罐汤(陶器にいれるスープ)です。

(米粉と書いて「ミーフン」と読みます。日本の「こめこ」とは別物です。瓦罐汤は、ワーグァンタンと読み)

私が南昌市にいた頃は、ほとんど毎朝これを食べていました。どこにでもあるものだと思っていましたが、中国の他県に旅行へ行ったとき、他の地域の朝ごはんは米粉ではないということを知り、びっくりしました。南昌市しか食べられない朝ごはん。今でも、一番懐かしいと感じる味です。

南昌市の朝ごはん「南昌米粉」

南昌市の朝ごはん「南昌米粉」

瓦罐汤の写真

瓦罐汤(ワーグァンタン)大きな窯の中に写真のような小さな壺を入れてつくるのが特徴です。興味のある方はこちら→ https://www.youtube.com/watch?v=OiHhrcj88SE

私の見てきた限り、韮崎含め日本では、地域ごとに違った独自の朝ごはんはあまり見かけません。

私が朝ごはんの味を通じて故郷を思い出すように、韮崎にも、「地域特有の朝ごはんの味」があれば、郷土愛をより感じられそうだなと思います。

※もし特徴的な「韮崎の朝ごはん」をご存知の方がいましたら、ぜひにらレバのSNSへDMなどで教えてください!

➁夕食の違い

日本は居酒屋に入ってお酒やご飯を楽しむ文化があります。韮崎市で言えば、駅前にはアメリカヤ横丁があるほか、遅くまで営業しているお店もいくつかあります。

花見や花火大会、お祭りなど特別な日を除いて、飲み会や宴会などは基本的に居酒屋の店内で行われるのが一般的です。

一方南昌市では、お祭りなどの期間だけでなく、日常の風景として路上に屋台を広げている光景を見ることができます。

美しい景色の近くに座って食べるのが人気です。また、屋台では食べ物のほかに服や生活用品など、いろいろな物が売られています。

南昌市前进路

南昌市前进路にある屋台通り

屋台通りの様子

屋台通りの様子

上の写真は、南昌市の「秋水広場」という噴水広場の中にある『美食街』の様子です。通りすべてのお店が屋台を出して食べ物を売っているため、地元の人々はその街を『屋台美食街』と呼んでいます。

「秋水広場」にある音楽噴水は、アジアの噴水の中でも2番目の規模があり、地元ではもちろん地域外からもとても人気があります。音楽噴水は無料で見ることができるので、訪れた方のほとんどが、美しい景色を見ながら屋台での食事を楽しんでいます。

音楽噴水の写真

コロナの終息の目処が立たない今は難しいですが、韮崎市内でも、商業地や観光地の光景や野外の風景と食事を掛け合わせることができると、ひょっとしてまた新しい魅力が生まれるかもしれません。

特に夏の夜に、きれいな星空を見ながら、ビールを飲んだり、薫風に吹かれたり。

そんな、韮崎ならではの景色の中で地域の人が一緒に集まる場所を野外にも作っていけると、きっと韮崎を盛り上げる力になっていくように思えます。

③メニューの違い

南昌市の夕食では、さまざまな串料理が登場します。例えば、牛肉串、羊肉串、鶏足の串、豚しっぽの串、豆腐の串、野菜だけの串……など、店主さんのアイディアで生み出された、オリジナリティーに富んだ多くの種類の串が屋台には並びます。

さまざまな串料理の写真さまざまな串料理の写真2

韮崎市で串料理を食べるとしたら、居酒屋や焼き鳥屋などでしょうか。モモ、ねぎま、つくね、ハラミなどが定番となっていますが、自分の店の特色に合ったオリジナリティの串が食べられたら、ひょっとしたらすごく人気の看板メニューが生まれるかもしれませんね。

3.日常生活やまちの景色

①スーパー、コンビニの違い

南昌市のスーパー

南昌市のスーパー

南昌市のコンビニ

南昌市のコンビニ

南昌市では、日本に比べて、スーパーが遅い時間まで営業しています。ほとんどのスーパーは8時~22時まで、朝8時~夜2時まで営業している小型スーパーも多く見られます。その一方で、24時間営業しているコンビニは少ないという違いがあります。

韮崎市では、南昌市のスーパーに比べると営業時間が短いです。駅周辺のスーパーであれば、10時~21時までの時間帯が主な営業時間のようです。

スーパーの営業が長くない代わりに、24時間いつでも利用できるコンビニは多くあります。スーパーに比べるとお店の規模は小さいですが、必要なものがいつでもほとんど揃えられて、便利ですよね。

➁山登り

南昌市は、周囲が山に囲まれており、登山が非常に人気です。

安全のため、登山道はほとんど整備されています。

韮崎市も、同じように四方に山を望み、自然に恵まれた地域です。鳳凰三山や甘利山など名山が韮崎市に位置しています。

甘利山での写真

甘利山の登ったときの写真

実際に山を登ってみましたが、必要以上に整備するというよりは、自然をそのまま残しながら道にしているという印象を受けました。自然への距離が近く、大自然を肌身で感じられるところが、南昌市での登山との違いだと感じました。

③温泉

日本の温泉は、男女別々、裸で入浴するというのが一般的ですが、南昌市では多くが男女混浴で、水着で入るのが一般的です。

中国人は人前で裸になることに抵抗感があり、同性の温泉といっても人前で裸になることはあまりありません。伝統的な温泉の多くは水着を着て入りますし、南昌市のほとんどの温泉でも、水着を着て入ります。

南昌市の温泉の写真

南昌市の温泉の写真2

出典:人民交通网 江西交通(http://jxjt.rmjtxw.com/2021/glf_0104/2300.html)

④お墓との距離感の違い

中国人の多くは鬼神説を深く信じて、お墓が家に近いと良くない出来事が起こりやすいという考え方が一般的です。南昌市では、すべてのお墓が市内から遠く、車で2時間ほどかかります。距離があるため、一年に2,3回だけ墓参りに行く人が多いです。山の上に霊園があります。周りの環境はきれいに整備され、公園のように、出入口があり、一部の霊園には湖もあります。

山の上にある霊園の写真

韮崎市のお墓は、市内にも多くあることにはじめは驚きました。住宅街の近くにも関わらず霊園があり、一軒家の場合には庭の中にお墓を建てる場合もあります。故人を偲び、霊を慰めるために、家の近くに建てるのでしょうか。

出身者が市外に出て気付いた韮崎の特色

私が韮崎と南昌市を比較して気付いたたこと以外にも、きっと韮崎には離れてみないと気付けない魅力があるだろうと思ったので、読者の方に呼びかけてSNSでもアンケートを行いました。
現在の居住地問わず韮崎に居住されたことのある方を対象にし、14名の方から返答をいただきましたので紹介します(掲載の都合上、一部改変しています)

土地や景色の特徴に関する意見

  • 坂道が多い
  • 冬は「八ヶ岳おろし」と呼ばれる北風が強い
  • 四方どこを見ても山が見える
  • なんだかんだ言葉に表せない素朴な夜景と自然
  • 韮崎の特徴はやはり北に八ヶ岳、南に富士山、西には南アルプス、東には茅ヶ岳が一望できる点でと思います。実際にさまざまな山へのアクセスも非常によく登山好きには最高の環境だと思います
  • 「八ヶ岳おろし」という冬になると八ヶ岳から吹き下ろしてくる強風が冷たくて凄いです。朝から吹く時もありますが、大体は午後になると吹き始めます。特に夜吹く時は家がガタガタ揺れるくらいの強風です。私は今笛吹市に住んでいますが、こちらはほとんど風が吹かないので同じ山梨でもこうも違うのかと驚いています
  • 自然が豊か。な割に市民はそれほど自然で遊んでいない
  • こんなに小さい町なのに駅が3つもある
  • 日曜日に登山客でにぎわう駅前
  • クワガタの三大聖地に数えられている

まちの雰囲気や住民の人柄に関する意見

  • 道を歩いていると挨拶してくれる
  • 人がすごくやさしい
  • すごい人にすぐ会える
  • 先輩との繋がりが強い
  • 何個上の先輩でも、仲良くしてもらえる。今では飲みに連れてってくれる先輩もいる
  • パン屋が多い印象
  • 山梨に帰ってきたら安心感が半端ない
  • 最近は駅前が少しずつ新しいお店などが増えてきて、これからが楽しみ
  • 派閥感が強いから、新しい物を取り入れない
  • 韮崎高校の先輩後輩関係の強さ。特にサッカー部

文化や教育、風習に関する意見

  • 武田節を踊ることができる
  • 自校式の給食(給食センターではなく、学校の中で給食を作っているからあったかいしおいしい)
  • 穂坂小学校のICT教育が進んでいる(スケートリンクもある)
  • 北東小学校はグラウンドがそもそも広い上に、小さな丘になっている小グラウンドもあって楽しい
  • 幼い頃からサッカー教室に通う子が多い。また、サッカーに力を入れている
  • 「無尽」と呼ばれる風習

思い出に関する意見

私の母校は韮崎小学校で、今はもう無いかもしれませんが、給食に「韮小ステーキ」と言うメニューがありました。今でも記憶に残っているくらい強烈で、凄く固い豚肉のソテーに(子どもの時の記憶なので曖昧ですが)たぶん生姜と味噌を使ったソースがかけてありました。何しろ固くて噛み千切るのに苦労した思い出があります(笑)ですが、出来るならばまた食べてみたいと思う思い出の給食メニューです

そのほかのご意見

  • 平成の大合併をしなかったこと(合併せず小さいままの町だからこそできることがきっとあるはず)
  • 東京エレクトロンという会社があること。「半導体や液晶パネルを作る装置」を作っている会社です。日本のみならず、世界中のスマホのICチップや、テレビ・PCのディスプレイはここの会社の装置で作られています
  • ローカルメディアがある

まとめ

記事の前半では、留学してきて私自身が感じた韮崎市と私の故郷との違いを、記事の後半では、読者の方から寄せてもらった意見を元に、韮崎市の特色を紹介してきました。

住んでいる地域や地元の特色について考える機会はあまりないかもしれませんが、「言われてみれば、たしかに」とうなずけることもあったのではないでしょうか。

私にとっても、日本に来てから感じていた他国と自国との違いや、各地域それぞれの特色をあらためて考える機会となりました。

韮崎は決して大きなまちではありませんが、韮崎市ならではの特色を持っています。

私は、インターンに来てからの半年間しか韮崎市のことを見れていません。韮崎市出身の方や長く住んでいる方は、韮崎市についてきっと私よりもずっと多くのことを知っていることでしょう。

「当たり前」に見えていることも、見る人や見る場所、見る角度が変わると、地域ならではの特色なのだと気づくことがあります。自分たちの地域をあらためて見直したり、ときには外からの視点を取り入れたりしながら、韮崎市ならではの身近で特別な魅力を見つけていけると素敵だなと思います。

また、みなさん一人ひとりが今取り組んでいること、続けていることが、子どもや子孫の世代になったとき、韮崎の大きな特色になっているかもしれません。そんな気持ちで今ある「当たり前」も大切にしていけると、自分たちの地域のことをもっと誇らしく思えるのではないかと考えています。