河原部社で関係人口創出に取り組むのは、片上隆三(かたがみりゅうぞう)さん。福岡県出身の片上さんは、電気系講師を経て東京消防庁での勤務を経験し、2022年から地域おこし協力隊として韮崎市に移住しました。
現在は河原部社に勤務し、関係人口創出プロジェクト「エンクル」の企画・運営や外部との連携を担当。地域の新たな可能性を開拓する活動をしており、地域と人をつなぐ取り組みを続けています。
今回は、地域の未来を見据えて関係人口創出に取り組む片上さんに、活動への想いと地域の魅力について伺いました。
地域おこし協力隊、そして韮崎を選んだ理由
――「地域おこし協力隊」の制度を活用しようと思ったきっかけは何ですか?
もともと移住に興味があったんです。韮崎市に来る前は東京にいたのですが、生まれたのが自然豊かな場所だったこともあり、やっぱり自然と身近な環境で暮らしたいなと。移住を調べる中で「地域おこし協力隊」という制度を知りました。
――単純な移住ではなく「地域おこし協力隊」として移住することにした決め手は何だったのでしょう?
やりたいことの準備ができることですね。街の課題に向けた取り組みを、行政のサポートを受けながら行えるのが魅力だと思います。
正直、誰も知らない場所に私一人がポッと来たところで何もできないじゃないですか。やりたいことを実現するためには、街の課題に取り組みながら街の人とのつながりを広げることも重要だと感じています。
移住や制度について前向きに語る片上さん
――地域おこし協力隊はおすすめできますか?
おすすめですね!なんでみんなこの制度を活用しないのかと思うくらいです。
一定の給与を支給してもらえますし、協力隊の活動では市や街の人との交流の機会も多くて楽しいです。
街の人との交流が増えればやりたいことが実現しやすいし、自分の経験やスキルを地域の方たちにも提供できるので双方にメリットがあると思うんですよね。非常にいい制度だと思います。
――どんな人に向いていると思いますか?
コミュニケーション力がある人ですかね……!
街の人からしたら知らない人が急に来るわけですから、自分から交流しようという積極性は必要になると思います。いろいろな場所に行ったり話をしたり、自ら動くことが好きな人には最適です。
会社が運営する施設では学生のサポートもおこなう
――地域おこし協力隊の制度は他の市町村でも募集していますが、なぜ山梨に?
移住をするにあたって、もともと興味があった農業を調べたのがきっかけです。いろいろな農業がありますが、大切な人の笑顔が浮かんだのがフルーツでした。フルーツといえば山梨!首都圏に行きやすいこともあり、第一候補になりました。
――山梨の中でも韮崎市に決めた理由はあるのでしょうか?
協力隊を受け入れている先を見る中で、活動内容や就業規則など希望と合致したのが韮崎市にある河原部社でした。ここは副業OKですし、週4日勤務かつ時間単位の働き方なんです。協力隊の任期は最長3年なので、任務期間中にその後の計画や準備も進めなくてはなりません。やりたいことへの準備がしっかりとできそうだと感じました。
韮崎に降り立ちピンときた。自然と利便性がちょうどいい
桃の花が咲き誇る韮崎市の春
――最初に韮崎に来た時の印象はどうでしたか?
山が近くて雰囲気がいいなと思いました。JR韮崎駅に降り立ち、ホームでぐるりと見渡して「ここならいける!」とピンときましたね。全国9箇所くらいの街に行きましたが、こういった感覚になる場所はそう多くありません。韮崎市は下見もなく1回目で決めました(笑)。
――移住を検討するにあたって他に候補地はあったのでしょうか?
そうですね……果樹栽培をベースに考えたときに一度山形県も頭に浮かびましたが、やはり関東圏がいいなと思い山梨に決めました。そこから協力隊、河原部社とつながったので迷いなく韮崎にたどり着いたという感じです。今はいろいろな街に行きますが、韮崎でよかったと感じています。
休日は趣味のサウナで充実した日を過ごすそう
――韮崎でよかったと感じる理由はなんでしょう?
住みやすさ、交通の利便性、面白さの3つですね。
1つ目は、自然が身近でありながら生活しやすいところです。
移住を検討するうえで、やはり「自然」は優先度が高かったので。韮崎市は山が近いだけでなく、富士山や八ヶ岳など壮大な景色が眺められるのも魅力だと思います。それだけ自然が豊かでありながら、生活も不便ないのがいいですね!スーパーも駅もあるので、本当に住みやすいです。
2つ目は、各地に行きやすいこと。韮崎には駅もインターチェンジもあります。特に私は東京に行くことが多く、韮崎駅から特急列車に乗れるのは大きいです。1時間40分くらいで、乗り換えもなく行けるのは便利ですね!あと30分ほど車を走らせれば、北杜市や甲府市に行けるのも便利だと思います。日常のお出かけもしやすいし、本当にちょうどいい場所だなと感じます。
3つ目は、面白さですね!韮崎市は今いろいろな人が来たり取り組みをしていたりするので見ていて面白いです。この進化を見ていきたいし参加したいと思っています。すでに発展が進み、仕上がっている都市の場合は、このような変化はなかなか見られないじゃないですか。こうやって街が変わっていく様子が見られるのも韮崎市の魅力だと思います。
ビジネスと農業の二刀流を目指す
セミナーやイベントでは人前で話すことも
――地域おこし協力隊の任期が終了したあとのビジョンはありますか?
将来的には、韮崎での桃栽培を目指しています。ただすぐに形になるものではないので、やりたい農業に向けた活動をしつつ、前職で培った電気分野でのビジネスを展開する予定です。韮崎にはこのまま定住するので、今までの経験が街の活性化に役立ったらいいなと思っています。
将来の目的を明確にして活動する姿は、地元の人にも力をくれる存在なのではないかと強く感じました。
運営するMiacis(ミアキス)と市の活動を通じて、積極的にイベントの企画・運営に携わっている片上さん。その情熱的な姿勢に多くの方が共感し、周囲には賛同者が集まっています。これからの韮崎市がより一層活気づいていくのではないかと楽しみです。
『NPO法人河原部社』の基本情報
- 住所:〒407-0015 山梨県韮崎市若宮1‐2‐50
- 電話番号:0551‐45‐9919(運営施設:Miacis)
- ホームページ:https://kawarabe.com/kawarabesha/