空き家を「妄想」デザイン。空き家の利活用がまちづくりに大事な理由


山梨県韮崎市の目抜き通りを歩くと、多くの空き家が目に付きます。かつては賑わっていたであろう、韮崎駅にほど近い韮崎中央商店街は、今や元気がなさそうに見えます。

そんな中で、商店街のシンボルとなっているのが「アメリカヤ」。ビルオーナーの死去と共に閉じられ、空き家となっていたビルをリノベーションし、かつての面影を残しながらも、モダンでスタイリッシュなビルとして2018年4月にグランドオープンしました。

このように空き家をもっと活用しようと、「妄想空き家マーケット」というイベントが開催されました。

ボトムアップ型のまちづくりの主役はまちの人たち

物件の前で解説する発起人の千葉さん

発起人は、アメリカヤのリノベーションを手がけ、韮崎のまちづくりに一石を投じている建築事務所イロハクラフトの代表を務める千葉健司さんです。

まちの人たちが、楽しみながら活用方法を考えて、空き家を活かしていくようになればと思っています。誰かが考えてくれるまちづくりではなく、まちの人たちが考えていくのが大事だと考えています。

と、今回の妄想空き家マーケットについて語ります。

韮崎市には、空き家バンクに登録されている物件だけでも70棟を超えており(成約済の物件を含む)、多くの空き家が活用されることを待ち望んいる状態だといえます。

そんな中で、空き家の利活用を身近なものにし、住民からのボトムアップ的な考え方でまちづくりにつなげようというのが今回の企画です。「これからの未来を支える中高生も巻き込みたい」と、韮崎市の中高生の拠点ミアキスとの共同企画となっています。

発見がいっぱいのフィールドワーク。ワクワク妄想ワークショップ

建物の全体像。このビルの活用を妄想する

妄想空き家マーケットの対象となるのは、韮崎中央商店街のアメリカヤの近くに位置する、もともとお茶屋さんとして使われていた空き家ビル。通称「茶舗」。当日は、小学生から大人まで様々な方が参加し、実際に空き家を見学するフィールドワークから始まりました。

ビル一棟がまるまる空き家になっており、どう活用するかのアイデアを考えていきます。

使えそうな大きな棚

味のある洗面台。参加者の多くが注目したポイント

部屋の中をくまなく散策しながら妄想していく

屋上からの景色も活かせそう。晴れると美しい景色が広がる。

住んでいた方の年代物の家具も残されており、この場でかつて営まれていた暮らしに思いを馳せ、韮崎市の駅前にどんな建物の活用方法が求められているのかを考えていきます。

空き家はまちの資産。「どう活かすか」が将来をつくる

話し合いながら形にしていく

フィールドワークの後は、実際に図面を前に、思い思いに妄想を書き込んで行きます。

できあがった図面は、全員の前でプレゼンテーション。各自のプランが披露されていきます。

ゲストハウスやごはん屋さん、学習スペースやくつろぎのスペースなど、妄想といいつつも、「いま韮崎に何が必要か」ということに必然的に向き合うことで、それぞれが現在の韮崎市をどう捉えているのかがわかる時間となりました。

空き家というと、まちの「負の遺産」のようなイメージを持たれがちですが、そのイメージは転換を求められているのではないでしょうか。

空き家の利活用とは、かつて暮らしと共にあった建物を、いまのまちに必要な機能を備えた建物として復活させること。それはつまり、ひとつの建物の活かし方から、まちづくりを考えていくことであるはずです。

活用できる空き家はまちの資産として捉えて、まちづくりの将来に活かしていくことが求められていると言えるでしょう。

今回の妄想空き家マーケットで妄想された利活用プランは、10月7日に開催される「妄想空き家マーケット 実行計画」にて、一部が形になります!詳しくは、こちらのご案内からご覧ください。