【寄稿】中高生のヨリドコロから、みんなの進化がはじまる。新施設長が語る、「Miacis」の毎日から見えてきた自分や地域のミライ。

寄稿

はじめまして。韮崎にある中高生のための拠点「青少年育成プラザMiacis(ミアキス)」のスタッフをしています。久保田光貴(クボタミツキ)です。

大学を卒業後、韮崎市地域おこし協力隊としてMiacisのスタッフになり、今年で3年目。

この4月からはMiacisの管理運営を行なっているNPO法人河原部社の社員として、Miacisの施設長をしています。

2年前、大学4年の卒業間近だというのに就職先も決まっていなく、卒業後に自分がどこで暮らすかも定まっていなかった私ですが、あの頃は、中高生たちに囲まれてくだらない会話で盛り上がって爆笑する日々や、やったこともないイベントの企画や中高生のプロジェクトのサポートをしたり、デザインという自分を表現する大切な手段を得ることができていたり、ましてや県内初の中高生の拠点の施設長をすることになるなんて、想像もしていませんでした。

2年前の私

この想像もしていなかったことが起きたのは、紛れもなくMiacisがあったから。この場所で働くことを選択して、たくさんの中高生たちや河原部社のみんな、地域の方々との関わりの中や、韮崎という環境から、あらゆる刺激をもらうことができたからだと思っています。

Miacisは、そんな”想像もしていなかったこと”が次々と起こる場所。

これは決して私だけではなく、中高生やMiacisに関わってくれるすべての人に言えることだと思っています。

いまこれを読んでくれているあなたにも、どこかでなにかがつながって、”想像もしていなかったこと”が起こるかもしれません。

だからちょっと、Miacisについてお話ししてみようと思います。

まちの中に中高生の居場所を

韮崎駅を降りてすぐ、ニコリという市民交流センターの地下1階、約200㎡の空間にMiacisはあります。

中高生が地域の中で安心して自分らしく過ごせる居場所、中高生一人一人にとっての”ヨリドコロ”となるような場所をつくりたいというまちの大人たちの想いがカタチとなり、2016年10月にオープンしました

毎日の利用者は30〜40人ほど。休日の多いときには、100人もの中高生が来てくれることも。

勉強している子もいたり、卓球をしにくる子たちもいたり、スタッフに恋愛相談や学校での出来事を話しに来たり。ただぼーっと時を過ごしている子や、中にはソファで寝ている子さえいます。

ここでの過ごし方は、ほんとうにその人次第。決まった使い方はありません。

何かしたければ何でもできるし、何もしたくなければ何もしなくていい。

どんな人もありのままの状態でいられるように、あえて決めつけないゆるさや余白を空間として残しておくことで、逆にその場にいる中高生自身が、Miacisでの過ごし方や使い方の幅を自由に広げていってくれるのではと思っています。

穏やかな空気が流れている日もあれば、騒がしいくらいにぎわっている日もある。

その日のMiacisの空気をつくりだすのはそこにいるすべての人たちなので、だからこそ毎日変化があってとても面白いです。

あなたは何に進化する?

施設の名前になっている「Miacis」は、古代に生息していたといわれている生き物の名前。

樹の上で生活していた中で、大草原を目指したものはイヌ科へと、そのまま樹の上に残ったものはネコ科へと進化したといわれています。

まさに中高生も、ミアキスのように自分の選択次第で何者にも進化できるし、世の中にその選択肢は無数にある。

これからを生きる中高生がなにものにも進化できるように、という想いが込められています。

毎日変化のあるMiacisにも、中高生にとってそんな進化につながるスパイスがあったらいいなと思い、スタッフで企画をしたり、他の団体や大人とコラボをしたりしながら、あらゆる形のイベントを中高生向けに実施しています。

大人の仕事を間近で見て体験できる機会を作ったり、

学生団体として活動している大学生を招いて話を聞いたり、

技術をもつ大人に教えてもらいながらみんなで使えるものを自分の手で作ったり。

中高生と大人が混ざって対話をしたり、

時には地下を飛びだして外でキャンプをしたり。

イベントを通して学校の違う同世代や少し先輩の大学生、地域の大人との新しいつながりが生まれるのはもちろん、そうやって誰かと一緒に何かをやることで、相手の中から自分が見えてきたり、相手に対する新しい発見があったり。

大人の生き方や世の中の見方の一つを知って、「こういう大人もいるんだ」とか「こんな世界もあったんだ」と感じることもできます。

選択肢がぐんと広がって、これまでみていた日常が違う景色に見えてくる。

中高生それぞれの中で何かが動かされる瞬間がきっとあって、「もっと知りたい」とか、「自分もやってみたいな」という想いが湧き出てくるきっかけになるんじゃないかと思っています。

ミアキスを活用して何か始める中高生も

そんな「やってみたい」をカタチにする場として、中高生がMiacisという場所を活用する動きも生まれています。

勉強と部活以外だけではなく、毎日の生活の中にも案外面白いことは転がっている。

そんなことに、中高生たちも気付き始めているのかもしれません。

 

例えば、中高生同士でアイデアを出し合ってイベントを企画したり、

中高生が実社会に出て自分のやりたいことを企画し実践したり、

自分が取り組んできた活動を同世代や大人に知ってもらう機会を作り出したり、

学校や学年を超えた仲間たちと自分を表現しあったり。

そんな中高生たちの取り組む姿を見ていると、人はなんでもできる力をもともと持っているのだと思うほど、私たちが想像もしていなかったことを簡単に実現させていくし、いろんな表情やいろんな姿を見せてくれて、中高生の可能性はほんとうに無限だと思えてしまいます。

だからMiacisは、中高生たちのそんな進化のためのきっかけを生み出し、中高生自身の進化の起点にもなれたらいいな、と思っています。

何かをやれば劇的に何かが変わるというわけでもないとも思うけれど、何かしら行動を起こすことによって、自分はなにが楽しくて、なにが嬉しかったり悲しかったりするのか、どんなことを知りたいと思うか、どんなことに惹かれるのかとか、そういう自分の感覚と出会うことができるんじゃないかと思います。

自分の可能性や進化を楽しみにできるように、いろんな世界を見て、自分を知って、自分らしさというものを広げていってほしい。

そのために私たち大人ができることはサポートしたいし、中高生の未来を楽しみにしながら、温かく見守っていきたいと思っています。

日々関わるという選択

自分が中学生や高校生のとき、どんな大人と関わっていただろうと思い返してみると、親や学校の先生くらいしかいなかったなと思っていて。

そもそもそれ以外の大人と関わる機会がなかったから、知ろうとさえもしませんでした。

あのとき、もっといろんな大人をみて、話して、大人という目線から見た世界を少しでも覗くことができていたら、いまの自分はきっと違った自分になっていただろうと思います。

だから、私たちスタッフは、親という関係でも、学校の先生という関係でも、かといって友達でもない、信頼できる大人の一人として中高生と関わりたいと思い、Miacisという空間で「日々を通して中高生と関わる」という選択しました。

H31年度スタッフ(4月現在)

中高生はもちろん、私たちもMiacisの空気をつくりだす一人。

私たちもできるだけ自然体でここにいて、その人らしい関わりを中高生たちとすることを心がけています。

無理に話しかけるのも、中高生に何かしてあげなきゃと思うのもなんだか不自然だし、そもそも私たちは教育者でもないから、何かを教えようとも思わない。

だからこそ、単純に「人対人」として関わるのが一番自然じゃないかと思っています。

私たちも迷うことや不安もあるし、わからないこともたくさんある。

でもそういう日々の中に、自分なりの豊かさや楽しみを見出し、自分はどんな人間か、どうありたいか、どうなりたいかを模索しながら、自分や人を大切に生きたいと思っています。

そんな迷いや不安定ささえも、私たちは中高生たちにありのままに伝えています。

私たちと関わることを通して、「こういう生き方をしてもいいんだ」「こんな大人もいるんだ」と感じて、大人も悪くないなと思ってくれたら嬉しいです。

私たちは日々Miacisにいるから、中高生たちも「Miacisに行けば誰かがいる」と思ってくれていて、そんな少しずつの関わりや会話を通して関係性を生み出すことができています。

ほんの少しのきっかけから、つながりはきっと生み出せる

にらレバ編集部のいくみさんや岡ちゃんのように、最近はフリーランスや多拠点生活をしている人など、生きるということの選択肢が本当に多様にあって、暮らしや仕事と向き合い、自分らしく生きる大人たちが世の中にはたくさんいるなと感じます。

何がよくて何が悪いのかとかではなくて、10人の大人がいれば、10通りの生き方があって。

確実に言えるのは、そのどれもがこれからを生きる中高生にとって、貴重な刺激やきっかけになる可能性を秘めていることです。

中高生たちと生きることや働くということなど、ちょっと哲学的な話をしてみると、中高生たちもちゃんと自分なりの考えを持っていることがわかります。

遊び方も考え方も柔軟で、私たち自身が「そんな視点もあったのか」とハッとさせられることも度々あります。

中高生と関わるのは、とっても面白いんです。

そんな頭の柔らかい中高生という時期に、様々な大人の価値観に触れるのは本当に大切なことで、同時に大人が中高生の価値観に触れることも、同じくらい大切なことなんじゃないかなと思います。

これからの教育は、地域の力が大切になっていく

2020年には、教育改革が起こります。

地域の子どもたちを地域で育てていくという「社会に開かれた教育課程の導入」がなされ、地域やそこで暮らす大人たちが、子どもたちとどう関わるかを選択するときが近づいています。

そんなタイミングを前に私たちは、”中高生と大人が混ざりあって一緒ににぎわう風景”を、これまでMiacisのなかでつくりだしてきたように、まちの中にも生み出せたらいいな、ということを考えています。

そういった機会を、まちのみんなで一緒に考えて、カタチにしていきたいと思っています。

だからまずは、より多くの人にMiacisや中高生のことを知ってほしくて、今回にらレバで記事を書かせてもらいました。長々と話してしまいましたが、ここまで付き合っていただいて、本当にありがとうございます。

Miacisは本当に毎日違う空気が流れているから、ここでは伝えきれないこともまだまだたくさんあります。なのでもし、この記事を読んで中高生やMiacisに少しでも興味を持ってくれる人がいたら、まずは実際の雰囲気を感じにMiacisに来てみてほしいなと思うし、きちんと顔を合わせてお話しできたらなと思います。

みなさんと私たちとで中高生のために一緒にできることを見つけられたら嬉しいです。

きっと”想像もしていなかったこと”をこの場所に、このまちに、生み出すことができるんじゃないかなと思っています。