自己紹介
はじめまして。齊木美和と申します。
にらレバ世代の少し下、中学生と小学生のお母さんをしています。
私の職場は韮崎駅前のニコリ3階にある韮崎市子育て支援センターにら★ちび。
子育て支援センターとは名の通り、子育て中の方がそのお子さんと過ごす場所です。
地域みんなが一緒になって子育てする場を提供し、たくさんの子どもたちとその養育者の笑顔のために日々仕事をしています。
人を笑顔にするなら自分も笑顔で!がモットー。
おかげで笑いジワは年々深く刻まれていますが…私が親子からパワーをもらって生き生きと仕事をしている証でもあります。
韮崎市の教育委員をしています。
そんな私ですが、時々きちんとした服装をして、別のお仕事をすることがあるんです。
一年前に韮崎市の教育委員に就任させていただきました。
委員の半分以上が韮崎市で長く教員をされてきた先生方です。知っている先生だ!と思う方もいるかもしれませんね。私は保護者という立場で委員をさせていただいています。
ところで皆さん、教育委員って何をしている人たちか知っていますか?
お恥ずかしながら、私も委員を引き受けるまではよく知らず、学校行事などの来賓として招かれている人、くらいの認識でした。
教育委員会という言葉はニュースなどで聞いたことがあるなという方も多いかもしれません。
教育委員会は「学校教育」「社会教育」「文化」「スポーツ」に関する仕事をするところであり、私たち委員はその委員会に所属をしています。
韮崎市の教育の大きな方針は教育委員会の中の話し合いで決まっているんですよ。
例えばどんなことかというと、学校の必需品である教科書。現場の先生方と一緒に、たくさんの教科書の中から使いやすさや学びやすさを検討し、決定されています。
他にも委員は教育の現場を知るために様々な研修や会議に出かけたり、市内のすべての小中学校を訪問し授業の様子を見たり、意見を伝えたりしています。
このような役を引き受けた理由として、自分が子育て支援の仕事をしていることが大変大きかったと思います。
はじめに紹介した韮崎市子育て支援センターは基本的には6歳までの未就学児が利用できる施設となっています。しかし、子育てってまだまだその先何年も続いていくものですよね。
その先の子どもたちの育ちを見る機会は、我が子以外となると大変限られたものです。
実際に教育現場へ出向き、韮崎市で生まれ育った子どもたちが、どのような環境で、どういった過程を経て成長していくのかを知ることは大変意義があることだと感じています。
視察研修:千代田区立麹町中学校へ
さて先日、教育委員の視察研修で東京都千代田区立麹町中学校へ行ってきました。後半はそのレポートを書いてみます。
千代田区というと皇居や国会議事堂、東京駅などがひしめく日本の中心ともいえる場所。高層ビル群の中に麹町中学校はあります。
校舎も6階建て、スポーツジムのような室内プールや広い和室も完備。
屋上に庭園があるのもなんとも都会らしい雰囲気です。
設備ももちろん立派ですが、注目されているのはその取り組みです。
それらをリードしているのは工藤勇一校長先生です。
工藤校長先生はこちらの学校で、宿題や定期テスト、頭髪や服装検査、固定担任という多くの学校で当たり前とされてきたことを廃止し、一から問い直す改革を行ったのです。
実際に校内を見学をして、麹町中学校の子どもたちは、自分に必要な学習課題を自ら見つけ取り組んだり、その日の活動内容や体調に合わせた服装をしたり、相談したい内容によって教員を選んだりと、ひとつひとつの行動に自分の意思が感じられるような学校生活を送っているんだなということが伝わってきました。
これらの取り組みのすべては、子どもたちが【社会の中でよりよく生きていけるようにするため】。その目的を達成するために学校はあるのだと工藤校長はいいます。
学校がやるべきことは、生徒が自ら考え、判断し、決定し、自ら行動できる、つまり自律する力を身につけさせること。
ところが、学校は手取り足取り丁寧に教え、壁にぶつかれば手を差し伸べ、けんかをすれば担任が仲裁に入り仲直りさせる。
このような教育をされた子どもたちは、大人になってからも、何か壁にぶつかると、「先生が悪い」「学校が悪い」「社会が悪い」と人のせいにするようになってしまう。
何も考えずに「当たり前」ばかりをやっている学校教育が、自分の頭で考えずに、何でも人のせいにする大人をつくる。
(以上引用 工藤校長より)
誰のための【当たり前】?
私、この言葉にガツン!と衝撃を受けてしまいました。
通常、学校生活というのは様々なことをきっちりと規則として決められていることが多いですよね。授業をきちんと聞く、決められたルールを守る、など大人に言われたことをやることが評価となるし、自分の学生時代を振り返ってもそのような生活を送っていたなと思います。
しかしやがて学校を卒業し、社会に出ると求められることは「自ら考え行動すること」ではないでしょうか。
人に言われたことだけやっているのでは、社会の中ではなかなか評価されません。
またこれは学校だけでなく地域や家庭の課題でもあることに気づかされます。
大人がいつも「ああしなさい」「こうしなさい」と言っていれば、子どもが自分で考える機会はどんどん減っていきます。
大人が作り出した慣例だったり、ルールであったり、世の中の当たり前というものに縛られた結果、未来の子どもたちが苦労していく。これは本当に悲しいことです。
なぜなら多くの大人は子どもたちの幸せを願っているんですもの!
もちろん韮崎市の学校の先生方もそうでしょうし、私たちのような親もです。
子どもとかかわる中で、そのやり方なにか違うな、もっとこうしたらいいのではないかな?という場面に遭遇した時、「それが当たり前だから」と流してしまうことは、子どもの未来をより良く変化するチャンスを逃してしまっているということでもあるのだと思いました。
子どもたちが【社会の中でよりよく生きていけるようにするため】。
その目標や目的に照らし合わせてみて、最適ではないならば変えていく。
誰のための当たり前なのかをいつも見つめなおす。
こういった柔軟な考え方の必要性を学びました。
地域の環境も人口も韮崎とは違うこの学校ですが、私たち大人が子どもたちのためにできることってまだまだあるんじゃないかなと期待を感じた研修となりました。
小さなことでも声をあげてみよう!
しかしながら社会を変えようとすることはとても大変なことです。
思いがあっても何をどうしたらよいのかわからなかったり、様々な理由で行動に移せないこともあるでしょう。
私も同じです。
そんな時、ただ黙っていたら何もしていないのと同じですよね。
私は、どんな小さなことでも声に出してみよう、話をしてみようと思っています。
にら★ちびの現場でも、声をかけるということはとても大事にしています。
今の子育て世代は、ワンオペ育児という言葉が流行したように、核家族だったり地域社会とのつながりも薄かったり、孤独と隣り合わせなことが多いです。困っていることはない?とこちらから声をかけることはもちろん、母親自身からも声をあげることを大事にしたいなと思うのです。
声に出せば同じ思いの人に出会えるかもしれない。何かの動きが始まるかもしれない。たとえ反対の意見が出ても自分と違った考えを知ることができるかもしれない。
たくさんの声はたくさんの可能性を生むのではないかなと思うんです。
批判やクレームということではなく、子どもたちの最善を考えたときにはどんな風にすればいいかな?ということを学校も保護者も、地域の大人もみんなが一緒に話しができる社会になれば、子どもたちの未来も今よりもっと明るくなるはず!と感じています。
私自身も子どもたちの未来のためにできることは何なのか。
韮崎の子育てや教育の現場がこうなるといいな!と声をあげていこうと思っています。