「みんなの本棚」2022年1月号|大村記念図書館

あけましておめでとうございます。2022年寅年となりましたが、みなさま新年の抱負はもう決まりましたか?

さて、にらレバでは、本日より新連載『みんなの本棚』がスタートします!この連載は、韮崎市立大村記念図書館との初コラボ企画。加藤館長をはじめ、図書館司書のみなさんに「これは、ぜひ読んでもらいたい!」と感じた書籍を、5つのカテゴリーに沿ってご紹介していただく企画です。

あらすじ&担当者からの「ここがすごい!」のコメントと共にご紹介しているので、気になる本を見つけたらぜひ、手に取って読んでみてくださいね。

= 編集部のつぶやき =
上がってきた原稿を目にして、驚いたのが「どれも読んだことがない書籍ばかり」ということ。この企画がなかったら、タイトルも知らないまま今世を終えていたかもしれない…そう考えると、なんだか感慨深い気持ちになりました。

ところで…加藤館長って理系だったんですね(笑)。てっきり文系出身だと思っていました(ごめんなさい)。担当者が綴る「ここがすごい!」を読んでいると、皆さんのお人柄が見え隠れしてワクワクした気持ちになりますよ。それでは、「みんなの本棚」1月号を、どうぞお楽しみください〜。

 

加藤館長の今月のイチオシ!

ロウソクの科学

著者:ファラデー / 訳:三石 巌
出版社名:KADOKAWA/角川文庫

あらすじ

「ファラデーの法則」で知られるイギリスの科学者マイケル・ファラデーが、1860年に英国王立研究所で行った、全6回のクリスマス講演の内容をまとめたもの。老齢の科学者が若者を対象に、身近にあるロウソクを通じて様々な実験を行い、自然の法則の不思議や科学の楽しさを伝える。

なぜロウソクが燃え続けるのか、なぜ火のついたロウソクは短くなるのか、ロウソクが燃えることでどのようなものが生成されるのか、分かりやすく解き明かしている。一本のロウソクから始まり、我々を取り巻く水や空気の特性にまで話題を拡げ、最後は将来を担う若者達に希望のメッセージを伝えて結ばれる。

 

館長が語る「ここがすごい!」

図書館の館長を務めていると、多くの方は私のことを究極の文系人間のように思われているかもしれませんが、実は高校3年の一学期まではバリバリの理系でした。一方、確かに子どもの頃から本が大好きで、これまで多くの本を読んできたのも事実です。中学で科学部に入り、顧問の先生がお薦めの本として取り上げられた一冊が、『ロウソクの科学』でした。

近年、ノーベル賞を受賞された大隅良典氏、吉野彰氏が「科学者を志すきっかけになった」「科学に興味を持つきっかけになった」本として紹介をされていますが、理科の実験に憧れていた自分も夢中になって読んでいました。(結局、私は科学の道には進まなかったけれど…。)ページ数も少なく、気軽に手に取ることができる文庫本ながら内容は濃く、単に19世紀の科学者が科学の基礎について説明を行うだけでなく、科学的思考の中に「人として大切なことを忘れてはならない」と訴えるファラデーの姿がとても印象的です。

そのメッセージは21世紀の今読んでも、全く古びていません。理系・文系を問わず、この本から得られるものは大きいと思います。図書館では、大村智博士コーナーに置いていますので、是非手に取ってみてください。

 

場所 記号 資料コード
大村智博士コーナー O430.4フ 1211101983

 

親子で読みたい絵本

みんなでぬくぬく

文:エルザ・ドヴェルノア / 絵:ミシェル・ゲー
訳:末松氷海子 / 発行所:童話館出版

あらすじ

寒い冬の夜、はりねずみのうちのストーブが壊れて困っていました。するとリスが訪ねてきてストーブが壊れたから泊めて欲しいと言うのです。二人は体を寄せ合ってすわると、はりねずみのトゲが痛いとリスが悲鳴をあげるのでした。

真夜中に二人は、アンゴラうさぎのうちへ行き、ストーブにあたらせて欲しいとお願いしますがアンゴラうさぎのうちにはストーブがありません。けれども、アンゴラうさぎのふんわりした毛のおかげで3匹は体をくっつけて暖かく眠ることができました。

 

赤松さんが語る「ここがすごい!」

寒い夜に子どもと体をくっつけて暖かくして読んであげてください。動物たちの名前や表情、見返しのチェック柄に注目して欲しいです。

 

場所 備考
閉架1 Eゲ カウンターにてお問い合わせください。

 

ティーンエイジャー(10代)で出会いたい本

教室に並んだ背表紙

著者:相沢沙呼 / 出版社名:集英社

あらすじ

舞台はとある中学校。教室にいるのがつらい、読書感想文の課題をズルして書こうとしたけれど肝心の本がわからない、新しくできた友達に大きな隠し事がある…。様々な悩みを抱え、もがいている生徒たちに学校司書のしおり先生が伝えるメッセージとは?章ごとに語り手が変わる、6編からなる連作短編集です。

 

日向さんが語る「ここがすごい!」

6編それぞれ、語り手の生徒たちは性格も趣味も、家庭環境もさまざまです。どこか「私と似ている」「こういうこと、考えたことある」と感じる部分があるかもしれません。共通しているのは悩みを抱えていること。他の人からすると「そんなこと」と感じるかもしれませんが、本人にとってはどうしようもなく苦しい。私自身、読みながら学生時代を思い出し「そうそう、この気持ちわかるよ!」と何度感じたことでしょうか。

「なぜ、本を読むのだろう?」「本を読んで、いったい何になるの?」そんな疑問への一つの答えがしおり先生の言葉として書かれています。

図書館には無数の本があります。物語も、実用書も、絵本も、伝記も。ふと手にした1冊が、今日のあなたを動かすきっかけに、明日のあなたを作る礎になるかもしれません。そういっても、何を読んだらいいかわからない、そんなときはぜひ、図書館にお越しください。私たち司書は、人と本・人と情報とを結びます。
「こんな本を探している」「このことについて、何から調べればいいの」なんでも、お尋ねください。皆さんのお越しをお待ちしています。

 

場所 記号 資料コード
ヤングアダルトコーナー 棚番号38Fア 1211257330

 

大人が読みたい本

スープ屋しずくの謎解き朝ごはん

著者:友井羊 / 出版社名:宝島社文庫

あらすじ

職場でお気に入りのポーチを紛失した理恵は、同僚の誰かに持ち去られた可能性を考えて眠れずに朝を迎えた。気分が重いまま普段と違う時刻・違う駅に降り立つと、どこかから鼻腔をくすぐるいい香りが漂ってくる。元を辿るとOPENと書かれたお店の看板が。CLOSEの間違いではないかと声をかけにいくと、そこには何故か早朝からお客を待っているスープ屋があり……。

 

宮川さんが語る「ここがすごい!」

私はパンが好き。スープが好き。さらにはモーニングも好きだし、バイキングも大好き。まさにこの本を手に取ったきっかけは表紙に私の“好き”が詰まっていたからに他ならない。

本作は昨今ブームになっている食×連作ミステリーのひとつで、正直ミステリーとしては物足りなさが残るものの、なんといっても食べ物の描写がおいしそうでたまらない。料理が給仕されるところから客人がスープをその口にいれる瞬間まで、シーンごとの空気感や味わいがそのまま脳裏に浮かんでくる。食材や調理・味覚の描写が非常にリアルで、言わば“飯テロ”といっても過言ではない程である。

さて、身体が冷え切った季節も心が凍え切った瞬間も、口の中に広がるスープの温かさが人をほっとさせると私は思う。それを文学から感じることができる1冊として、ぜひ、この作品をあなたに勧めたい。

大村記念図書館には所蔵なし。相互貸借(県内図書館からの取り寄せ)可能。
2014年発売の本につき、現在は入手困難です。

 

1月の季節展示から厳選!

カレンの台所

著者名:滝沢カレン / 出版社名:サンクチュアリ出版

あらすじ

“言葉の魔術師”と言われているモデルでタレントの滝沢カレンさんによる料理本。「鶏の唐揚げ」「サバの味噌煮」「ハンバーグ」をはじめとした定番メニューから、「スペアリブ」や「アクアパッツア」まで、29のレシピを掲載。オールカラーで、それぞれの料理レシピをかわいいイラストと写真で紹介しています。

 

有井さんが語る「ここがすごい!」

「第8回料理レシピ本大賞in Japan 大賞」を受賞!今までの料理レシピ本とは全く違う、新しいアプローチで料理を紹介しています。
例えば「ブリ大根」。“旅の思い出を消すように熱湯でバシャンとお湯をかけます”「麻婆豆腐」。“生姜とにんにくをレディファーストしてあげます”などなど、レシピ本とは思えないほど詩的でユーモア溢れる独特の文章が、「作ってみたい」という気持ちに油を注ぎます(笑)

朝晩のお料理ルーティーンに疲れた人にはぜひ、読んでいただきたいです。初めて料理をした時の“ワクワクする気持ち”をもう一度思い出させてくれる、そんな素敵な本です。

1月の季節展示は「読んでみま賞~賞に輝いた本たち~」
文学の世界には、直木賞や芥川賞以外にも優れた作品を讃える様々な賞があります。そんな知る人ぞ知る賞を受賞した本たちを一挙展示します。[展示期間:1月4日(火)~1月27日(木)まで]

 

大村記念図書館からのお知らせ

こんにちは。図書館司書の宮川です。

  • 新年の開館は、1月4日(火)10時からとなります。
  • 1月18日(火)~1月23日(日)は蔵書点検のため休館となります。
    ※ 学習室1もご利用いただけません。
    ご返却は1階本の返却口・2階返却BOXをご利用ください。
    ※ 1月17日(月)、1月24日は、通常休館日です。
    ※ DVD 、他館から借り受けている資料は本の返却口・返却 BOX に入れることはできません。
    1月25日(火)より図書館カウンターにご返却ください 。

ご不便をおかけしますが、ご協力をお願いいたします。

 

大村記念図書館の基本情報

所在地 : 〒407-0015 韮崎市若宮1丁⽬2番50号
営業時間: 平日 10:00~19:00、土日祝日 1:00~17:00
電話番号: 0551-22-4946 (FAX)0551-22-4950
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