【編集部のつぶやき】
出会いと別れの春。ぽかぽか陽気が続き、とても気持ちのいい季節となりましたね。年々春らしさを感じる期間が短くなっているように感じているのは、私だけでしょうか?
おうち時間が増えている今だからこそ、日光浴をしたり、道に咲く花を愛でてみたり、鳥たちのさえずりに耳を傾けてみたり…季節を全身で感じられる時間って尊いな〜と感じています。
さて、今月のおすすめ書籍は、そんな春にぴったりなものばかり。春を感じる本を手にとって、新年度を軽やかにスタートしてみてはいかがですか?
加藤館長の今月のイチオシ!
ワイルド・スワン(上・下)
著者:ユン・チアン|訳:土屋京子
出版社名:講談社
清国末期からその滅亡と、続く中華人民共和国の成立。そして、中国共産党を率いた毛沢東の主導による大躍進政策と文化大革命…激動の中国史のうねりの中で、祖母・母・著者の3代にわたる女性の姿を通して、時代の流れに翻弄される人々を描く自伝的ノンフィクション。
祖母は北洋軍閥将軍の妾となり、母は共産党員として中華人民共和国建国とその創成期に力を尽くす。著者は紅衛兵となって荒れ狂う文化大革命に参加し、いずれも筆舌に尽くしがたい苦難の道を歩む。1991年に発表された本作は世界各国でベストセラーとなった。
館長が語る「ここがすごい!」
大学時代にゼミの先生の薦めで読んだ作品で、遠い昔の出来事ではなく、自分が幼い頃に隣国では文化大革命が発動され、多くの人が暴力によって亡くなるという悲惨な状況が起きていたという事実に大きな衝撃を受けました。
その後、なぜこのようなことになったのだろうかとの疑問から文化大革命に関する本を読むようになり、5、6年に一度、自分の中で文化大革命ブームが起きるようになっています。
改めて本書を読み返すと、毛沢東に対しての著者の嫌悪や憎しみの感情がありありと読み取れ、そのむき出しの感情にハッとさせられます。最近、同じく中国をテーマとしたパール・バックの長編小説『大地』を読んだのですが、ノンフィクションと小説の違いや、『ワイルド・スワン』とは描かれている時代がずれているものの、やはり親子3世代の生き様がつぶさに描きこまれており、様々なエピソードが自然とオーバーラップされてきました。
どちらの作品も日本人には思いも及ばない大陸的な苛烈さが印象に残ります。それは、このところのロシアによるウクライナ侵攻を彷彿とさせ、独裁的な為政者の考え一つで市井の人々が一番大変な思いをさせられるという点において心に迫るものがあります。
場所 | 背ラベル |
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一般 棚20 | 936チ |
※『大地』岩波文庫(全4巻)も蔵書あり。(場所:文庫 棚37 背ラベル:B933.7バ)
親子で読みたい絵本
うんちしたのはだれよ!
文:ヴェルナー・ホルツヴァルト 絵:ヴォルフ・エールブルッフ
訳:関口裕昭/発行所:偕成社
ある日のこと、もぐらくんが地面から顔を出したときそれは起こった。「だれだ、ぼくのあたまにうんちなんかしたやつは!」とんださいなんにみまわれたもぐらくんは、さっそく犯人さがしにでかけた。
「ねえ きみ、ぼくのあたまにうんちおとさなかった?」さてさて、こんなわるさをするのはいったいだれだ?
望月さんが語る「ここがすごい!」
3歳の息子と読んで大爆笑!もぐらくんが犯人さがしをするたびに、いろんな動物たちのうんちが出てきます。
動物によっていろんな形、いろんな色のうんちが次から次へと、もぐらくんのあたまに落ちてきます。なんて運の悪いもぐらくん。「つぎはだれのうんちかな~?」などと当てながら、楽しむのもおすすめです。
果たしてもぐらくんは犯人を見つけることができるのか!?ぜひ親子で犯人を推理してみてください。意外な結末にも、くすっと笑えます。
場所 | 背ラベル |
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絵本創作外国 棚5 | Eエ |
10代で出会いたい本
BTSオン・ザ・ロード
著者:ホン・ソクキョン|訳:桑畑優香
出版社名:玄光社
『LOVE YOURSELF(本当の愛は、自分を愛することからはじまる)』を掲げ、今や世界中を熱狂の渦に巻き込んでいるBTS。この東アジアの7人の少年たちはいかにして夢を掴んだのか?
また、BTSにとってなくてはならないArmy(アーミー)の存在。彼らが歩んできた道のり、そしてこれから歩む道とは?1つのポップカルチャーをあらゆる観点から入念に分析した1冊。
有井さんが語る「ここがすごい!」
今のティーンエイジャーの多くがBTSをはじめとするKポップカルチャー(K-POP/映画/ドラマ/美容/芸術)に幼いころから慣れ親しんできたのではないかと思います。
かくいう私も30代の後半からいわゆる韓流にハマりっぱなしです(笑)。しかしながら、一体なぜBTSが世界中から受け入れられ支持されているのか?その本質的な理由について知る人は、あまりいないのではないでしょうか。
私もこの本を読んでなるほどと唸りました。気軽に読めるというよりは、とても濃い内容となっております。でもきっと、この本を読む前と後では世界が違って見えるでしょう。
場所 | 背ラベル |
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旬の本・話題の本コーナー | 767.8ホ |
大人が読みたい本
イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」
著者:安宅和人/出版社名:英治出版
本書のタイトルの「イシュー」とは、「答えが出る問題設定」という意味です。 本書の内容は、目標を成し遂げるために必要な要素は何か、具体的にどう行動すべきかを解説しています。 しかし、本書は目標達成の啓蒙書や便利なツールを紹介するノウハウ本ではありません。
副題にもある、知的生産の「シンプルな本質」は、誰でもできる思考内容です。具体的に述べると、目標達成までの過程を段階的に分け、どこで挫折するのかを明確化し、効果的な行動をどのようにとるのかを考えていくことです。 本書は、問題が解決に向けて動き出す手応えを実感できる一冊です。
篠原さんが語る「ここがすごい!」
新年度が始まり、仕事や勉学で、新しい課題に取り組まなければならない時期でもあります。そんなとき、本書が役に立ちます。
本書のおすすめポイントは、「悩むこと」と「考えること」を区別せよと説いている点です。それは、考えているようで、実は悩んでいるだけの状態に陥っている場合が多いためです。悩んでいるだけでは、問題は解決しません。自分は悩んでいるのか、考えているのかを明確にする必要があります。
本書では、その問題に10分以上同じことを思っているのなら悩んでいるだけの状態としています。 次に、悩んでいる状態から、考える状態になるように問題を設定し直します。その問題設定の方法が、つまりイシュー(答えが出る問題設定)から始めることなのです。
このイシューを得る過程を、本書では様々なシチュエーションを想定して漏れのない説明で解き明かした後、行動すべき事柄を図解で的確に示しています。 変化を伴う行動のみが、知的生産(問題解決)につながります。本書で、新年度の快適なスタートをきりましょう。
場所 | 背ラベル |
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一般 棚15 | Fヒ |
4月の季節展示から厳選!
出会いなおし
著者:森絵都/出版社名:文藝春秋
出会い、別れ、再会し、また別れ…。「出会いなおし」は、ある人と再会するたびに、その人の知らない顔を見て、その人を立体的に捉えることができる…。
誰もが共感できる表題作をはじめ、人生の大切な場面が詰まった6つの物語からなる短編集です。気まずさや衝突、痛みも超えて…、ほろ苦い思い出がちょっとだけ好きになれるような一冊。
望月さんが語る「ここがすごい!」
タイトルに惹かれて思わず手に取りました。森絵都作品は初めて。 再会でもなく、めぐり逢いなどでもなく『出会いなおし』。 誰しも人生において、心のどこかにひっかかっている人、モノ、できごと・・・必ずあるはずです。
『出会いなおし』たときに相手はもちろん、どんな自分になっているのか、なっていたいのか。そんなことをふと考えました。ひとは何度も出会いなおせる。自身のほろ苦い思い出と重ねながらぜひ読んでみてください。
個人的には、表題作と『カブとセロリの塩昆布サラダ』が好きでした。「カブと塩辛のパスタ」食べてみたい・・・!
春に関連した小説や料理の本など様々なジャンルで春をお届けします。お好きなジャンルで『春』を是非感じ取ってみてください! [展示期間:4月1日(金)~4月27日(水)まで]
大村記念図書館からのお知らせ
「こどもの読書週間」にちなみ、本のエピソードを募集します。どなたでも参加可能です。
小さい頃の思い出の本、人生を変えてくれた本などをメッセージと一緒に紹介してみませんか?
●開催期間:4月29日(金)〜 5月29日(日)図書館内に展示
●受付方法:4月 1日(金)〜 4月27日(水)図書館内児童コーナー応募箱にて。
「こどもの読書週間」にあわせて、期間限定図書館オリジナルキャラクター「にらっこ」の特製しおりをプレゼントします。
●開催期間:4月16日(土)〜5月8日(日)(どなたでも参加可能)
※期間中の日付で5冊以上の貸出レシートを図書館カウンターへお持ちください。
ぬいぐるみたちはおはなし会の後、図書館におとまりして夜の館内を探検します。お迎え時にはミニアルバムとともにぬいぐるみが選んだおすすめの本を貸出します。
※おはなし会参加はぬいぐるみのみ。お預かり時に写真撮影あり。
●開催日時:4月29日(金・祝)10時~17時(定員ぬいぐるみ20体/無料)
●お預かり:4月29日(金・祝)10時~17時
●お迎え :5月 1日(日)以降
※図書館に利用登録をしている小学生以下の子どもを対象として、4月9日(土)より図書館カウンターまたは電話にて受付。
上記イベントについての詳細は、チラシ、またはホームページをご覧ください。
※新型コロナウイルス感染拡大の影響により内容が変更になる可能性があります。
最新情報は図書館まで、お問い合わせください。(韮崎市立大村記念図書館:0551-22-4946)
大村記念図書館の基本情報
所在地 : 〒407-0015 韮崎市若宮1丁⽬2番50号
営業時間: 平日 10:00~19:00、土日祝日 10:00~17:00
電話番号: 0551-22-4946 (FAX)0551-22-4950
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