「みんなの本棚」2022年9月号|大村記念図書館

 【編集部のつぶやき】 

8月もあっという間に過ぎ、暦は9月へと変わりました。とはいえ、夏の暑さが尾を引いているので、まだまだ気は抜けませんね。

さて、今月10日(土)には「十五夜」がやってきます!別名「中秋の名月」とも呼ばれるこの行事の起源は、なんと平安時代まで遡るそうです。平安貴族たちが、秋の夜空に浮かぶ月を眺めながらお酒を飲んだり、詩歌や管弦を楽しんでいたとかいないとか…。

その文化は、江戸時代になると庶民の間へも広まり、「無事に稲を収穫できた喜びを分かち合い感謝する日」へと変化し、今日まで続いているそうですよ。

十五夜に、ススキ・月見団子・農作物の3点セットを飾り、月を眺めながら先人たちへ思いを馳せつつ、自然へ祈りと感謝を捧げる…なんともロマンティックな伝統行事ですね。

 

加藤館長の今月のイチオシ!

木村伊兵衛 写真に生きる

著者:木村伊兵衛  出版社名:クレヴィス(定価2,970円)

あらすじ

多くの人に愛されるカメラ・ライカを手に、日本各地や世界各国の日常、著名人のポートレートなどを多く撮影し、“ライカの神様”とも称される、日本を代表する写真家・木村伊兵衛。彼の生誕120年に刊行された写真集です。

巻末には木村伊兵衛自身が写真関連雑誌に寄稿した文章や対談他の資料も付されており、“木村伊兵衛”を知らなくても、その作品の魅力を味わうことができる内容となっています。

 

館長が語る「ここがすごい!」

木村伊兵衛の存在を知ったのは、都築響一、蜷川実花、梅佳代他、注目の写真家が「木村伊兵衛写真賞」を受賞しており、賞名の人物は誰?というところからでした。その後、いくつか写真展を見に行き、作品の存在感に圧倒されました。

章ごとのテーマでは、まず、幸田露伴、泉鏡花、谷崎潤一郎、永井荷風といった作家の肖像写真に眼が留まりました。

他の作品も、歴史的記録としての価値以外に、当時の人々の様子がリアルに感じられ、日本各地の日々の暮らしや習俗が活き活きと切り取られています。それはパリの街並みや中国の旅も一緒。レンズを通した木村の眼差しは世界のどこでも変わらず、人の営みは共通だということが強く感じられます。

数ある作品群の中で、やはりライフワークとした秋田の民俗を撮影した作品が魅力的。代表作「板塀」は、初めて見た時に色々な意味で衝撃を受けました。じっくり鑑賞すると、その構図が凄い。また、表紙の「秋田おばこ」は、時代を超越した涼やかな美しさに満ちています。

今年6月に亡くなった写真家・田沼武能氏が、師の木村について書いたエピソードも面白く、人となりが良く分かる内容。木村伊兵衛のエッセンスを凝縮した一冊、お薦めです!

 

場所 背ラベル
一般 棚5 748キ

※ 上記のエリアもしくは、「みんなの本棚」特別ブースに展示されています。

 

親子で読みたい絵本

でんごんでーす

文:マック・バーネット 絵:ジェン・カラーチー
訳:林木林 出版社名:講談社

あらすじ
お母さん鳥は、小さなピーターへ伝言を送りますが、つぎつぎと鳥たちが伝えていくのは、自分勝手でちんぷんかんぷんなことばかり。

さあ、ピーターは、夜ごはんの時間に、家に帰ることができるでしょうか。 子どもたちが大好きな「伝言ゲーム」の楽しさが、そのまま絵本になっていて、読みきかせにもぴったりです。

 

内藤さんが語る「ここがすごい!」

みなさんも一度は「伝言ゲーム」 をしたことがあるでしょうか?言い間違いによるゲームの面白さがあり、最初の人から最後の人まで正確に内容を伝えるのが難しいと思います。

間違って伝わった言葉を答え合わせするとおもしろい回答になっていて面白いです。この絵本ではお母さん鳥から色々な鳥たちへ、そして、子ども鳥のピーターへ伝言していくのですが、ユーモアたっぷりな鳥たちがどんどん話をかえてしまって…。果たしてピーターにきちんと伝わるのでしょうか?

最後の方では連想ゲームのようになってしまいますが、ある鳥が機転をきかして伝言するところが見どころです。また読み聞かせで楽しめる絵本です。

 

場所 背ラベル
絵本創作外国 棚5 Eカ

※ 上記のエリアもしくは、「みんなの本棚」特別ブースに展示されています。

 

10代で出会いたい本

10代の「めんどい」が楽になる本

著者:内田 和俊 出版社名:KADOKAWA

あらすじ

いつの時代も、その年齢に特有の「生きづらさ」というものがあります。特に10代は、今まで遭遇したこともないような「めんどいこと」が次々と目の前にあらわれ、心がザワザワしやすい時期です。

本書には、10代の皆さんに「知っておいてほしいこと」と「実践してほしいこと」を中心に、意外と見落としがちな「考え方」や「対応方法」を、マンガに登場するキャラクターたちによる例を挙げながら、たくさん紹介しています。

 

有井さんが語る「ここがすごい!」

10代に向けて書かれた本ですが、その内容は普遍的であり、どの年代にもお薦めできる良書です。

本書では、精神科医であるエリック・バーンが提唱している、「人生脚本」について触れています。

「人生脚本」とは自身の性格を決める3大要素のひとつである「思考」のクセのことです。恐ろしいことに人の「思考」には自己暗示能力があり、自分の「思考」が作り出した脚本通りに人生は進んで行くのだそうです。

本書には自身の「思考」のクセが分かる質問表が掲載されています。4つのパターンのうち自分がどのタイプかを知ることで、より良い人生の脚本が書けると思いました。

尚、著者の内田氏は無類の猫好きで、ご自宅で20匹の猫を飼っているそうなのですが、氏が溺愛していたというペルシャ猫について書かれたくだりに、思わず涙が出ました。

「あなたはあなたのままでいい。というかあなたのままがいい。」ぜひ読んでみてください。

 

場所 背ラベル
ヤングアダルト 棚37 159ウ

※ 上記のエリアもしくは、「みんなの本棚」特別ブースに展示されています。

 

大人が読みたい本

花屋さんが言うことには

著者:山本幸久 出版社名:ポプラ社

あらすじ

24歳、ブラック企業勤務。身も心も疲れ果てていた紀久子が深夜のファミレスで出会ったのは、外島李多と名乗る女性でした。彼女は「川原崎花店」という花屋さんを駅前で営んでいるらしく、酔っぱらった勢いで働くことに。

花を求めるお客さんの事情はそれぞれで、誰かを祝う花もあれば、少し切ない花もあります。いろんな想いが詰まったお花を届けているうちに、紀久子は自分の心にもう1度向き合いはじめ…。

 

宮川さんが語る「ここがすごい!」

私事ですが実は今月が誕生月なので、誕生日といったらプレゼント、プレゼントといったら花束、花束といったら花屋さん、と連想してこちらの書籍を紹介します。

あらすじにもあるように “花を求めるお客さんの事情はそれぞれ”ですが、花を買うという行為は私の中で少なからず特別な意味をもっている気がします。

本書はひょんなことから花屋さんで働くことになった主人公が、花を通して色々なやさしさや愛に触れていきます。

花屋さんの仕事や花の特徴、花言葉なども登場しますが、時にはちょっと不思議な展開もあり“お仕事小説” というほど、かしこまらずに読み進めることができます。

私は20代の主人公よりも上の年代ですが、人との出会いや環境の変化で前向きになったり、これからの未来に希望を抱いたりする主人公の姿が少しまぶしく映りました。

自分も花屋さんに寄って花を眺めたくなる、さらには店員さんに話しかけたくなる、そんな小説です。

 

場所 背ラベル
一般 棚16 Fヤ

※ 上記のエリアもしくは、「みんなの本棚」特別ブースに展示されています。

 

9月の季節展示から厳選!

SketchBookのすべて

著者:MdN編集部
出版社名:エムディエヌコーポレーション

あらすじ

誰でも1度は手にしたことがある「マルマン図案シリーズ」SketchBook。スケッチブックとしてはもちろん、絵と文字でアイデアを書き留めておく「アイデアの受け皿」、旅先の出来事を書き留める「世界一周の思い出帳」、仕事にも妄想にも使える「万能ブック」など、多数のクリエイターたちの、さまざまな使い方を紹介!

また、SketchBookの描き味へのこだわりを実現する宮崎工場の工場見学など、あらゆる角度からSketchBookの魅力に迫ります。

 

小野さんが語る「ここがすごい!」

深緑と山吹色の2色表紙が印象的なマルマンのスケッチブック。絵を描く方もそうでない方も、どこかで1度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

こちらの本はスケッチブックの60周年を機に発売された公式ブックです。絵を書いたり、文字を書いたり、スクラップ帳にしたり…思わず自分も試してみたくなる様な色々な使い方が紹介されています。

かくいう私もこのスケッチブックの愛好者の1人。書きやすく発色の良い紙、めくりやすく外れたりしないリングの使いやすさは絶妙です。大きさも様々で、今はルーズリーフタイプもあったりします。

真新しいスケッチブックを手にしただけでもわくわくするものです。自身のスタイルにあったサイズを手に取り、作品作りにチャレンジしてみるのはいかがでしょうか。

こちらの本も創作意欲をくすぐられる1冊になっていますので、ぜひ一緒に手に取ってみて下さい。

9月の季節展示は「「メイド・イン・ワタシ~つくる秋~」展示」
芸術の秋、世界にたったひとつのオリジナル作品をつくってみませんか? 様々なハンドメイドな秋を楽しむための本を一挙展示します。 ぜひ、お立ち寄り下さい。

[展示期間:9月1日(木)~9月29日(木)まで]

 

にらレバ編集部のおすすめ

雲の名前、空のふしぎ

著者:武田康男 出版社名:PHP研究所

あらすじ

気象予報士であり「空の探検家」でもある著者が30年にわたり撮影した感動の空模様231種類を収録。雲の名前と共に「うろこ雲が広がると3日以内に雨」など各地に伝わる「観天望気(天気のことわざ)」も紹介しています。美しい写真と解説で空のふしぎが丸わかり!な楽しい1冊です。

 

松野が語る「ここがすごい!」

「空が近いな〜」「空・雲がきれいだな〜」

東京から山梨へとUターンしてから、頻繁に空を見上げるようになりました。そして、おもしろい形の雲や鮮やかな夕焼けなどを見つけては「あの雲(空)は何と呼ばれているんだろう?」と、考えるようにもなりました。

この書籍は、美しい空と雲たちがオールカラーで231枚も掲載されている「まるで写真集」のような雲の図鑑。雲や空の名前はもちろんのこと、気象予報士の武田康男さんが、わかりやすく解説しているので、思わず本を片手に外へ出かけたくなります。

高い建物が少なく視界が開け、東西南北の空と景色をぐるりと見渡せる。これは山梨の魅力の1つだと思います。中でも、韮崎市は富士山・南アルプス・八ヶ岳などの名峰と共演する、多彩な雲に出会える素敵なまちなので、是非多くの人に自然の豊かさを感じていただきたいです。

日常に追われ、山梨の風景を当たり前に感じてしまうと、空を見上げる機会はグッと減ってしまいますよね。そんな時こそ、急ぐ手を止めてゆっくり空を眺めてみてはいかがでしょうか。

きっと、たくさんの雲たちが、いろいろなことを語りかけてくれると思いますよ。

 

場所 背ラベル
一般29 451.6タ

※ 上記のエリアもしくは、「みんなの本棚」特別ブースに展示されています。

 

大村記念図書館からのお知らせ

\おはなし会/
図書館読聞かせコーナーにて季節の絵本の読み聞かせを行います。
また、おはなし会に参加された方にはおりがみと折り方の解説をプレゼントします。おうちでおりがみを楽しんでください。
【開催期間】9月10日(土)14:00〜14:20

※対象は、対象は、マスクの着用が可能な「2歳~小学校低学年」のお子さん(申込み不要) 

\大人の為の朗読会・朗読のつどい/
ニコリ1階「会議室5・6・7」にて、市内3つの朗読ボランティアグループの方々にご出演いただき、成人一般、学生、目の不自由な方などに向けて朗読会を行います。(申込み不要)
【開催期間】9月17日(土)14:00〜15:00

※コロナウィルス感染拡大防止に伴う利用規則として入場者は、氏名・連絡先・住所の記入が必要となります。予めご了承ください。 

上記イベントについての詳細は、チラシ、またはホームページをご覧ください。

※新型コロナウイルス感染拡大の影響により内容が変更になる可能性があります。
最新情報は図書館まで、お問い合わせください。(韮崎市立大村記念図書館:0551-22-4946)

 

大村記念図書館の基本情報

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電話番号: 0551-22-4946 (FAX)0551-22-4950
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