【編集部のつぶやき】
アウトドアやレジャーにもってこいの夏。…子どもも大人も関係なく、誰もが待ち焦がれていたであろう季節がやってきました。
「山に行くか、海に行くか…」
大型連休前になると、頻繁にこのような会話を交わすようになるから不思議です。
(8月の季節の展示の書籍紹介文で松原さんもこのことについて語っています)
ちなみに私は山派。山梨県で生まれ育ったため、幼い頃から両親に連れられて川で遊んだり、昆虫採集したり、キャンプに登山…と、山の恵みに感謝しながら、その豊かさを全身で浴びる夏を過ごしていました。
その影響からか、四方を山に囲まれ身近に感じているからかはわかりませんが、暑い夏がやってくると無性に山や川へ行きたくなってしまうのです。今年も、とある川へ涼みに行くことをひっそり計画しています。
皆さんは、どんな夏を過ごすご予定ですか?「まだ、決まっていない」という方は図書館に訪れて「読書の夏」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
目次
加藤館長の今月のイチオシ!
風の谷のナウシカ(全7巻)
著者:宮崎駿 出版社名:徳間書店
日本を代表するアニメーション監督・宮崎駿の漫画作品で、1982~1994年まで徳間書店刊行のアニメ雑誌『アニメージュ』に連載されました。途中、1984年には自身で監督・脚本を手掛けたアニメーション映画が公開されて大ヒットとなり、国内外でも高く評価されています。また、2019年には尾上菊之助主演で歌舞伎化もされました。
単行本で全7巻にもなるこの作品は、人間にとって有毒な腐海の森が広がる世界の中で、小国の族長の娘・ナウシカが、争いを繰り広げる大国の動きに巻き込まれながらも強く生きる姿を描く壮大な物語です。やがて、ナウシカは自身が暮らす世界の成り立ちを知ることとなり、未来にも思いを馳せていきます。
館長が語る「ここがすごい!」
本作は多くの人と同様、私も映画でその存在を知りました。中学の理科の授業時間に観たのが最初です。アニメオタクのクラスメートが「映画は原作の途中までの内容で…」と熱く語っていたのを覚えています。
それから何度か映画を観ましたが、コロナ禍の中、ふと思い立って漫画を購入し一気に読みました。確かに映画は原作漫画2巻の途中までの内容で、一部設定変更もされています。
登場人物が整理されてストーリーが明快に進行し、純粋にナウシカの世界を楽しむには映画が最適だと思います。
漫画では、映画とはテイストも変わってダークな印象が強く、トールキンの『指輪物語』(ロード・オブ・ザ・リング)を彷彿とさせる複雑な内容となり、ある意味ディストピアとして描かれています。
科学技術の発達がもたらす災厄や自然保護等のテーマが詰め込まれ、無益な争いを続ける文明社会に対するダイレクトな批判が描かれていますが、それだけではなく、終盤では清濁併せ呑んで生きていくことが人間の宿命であるというようなことも読み取れるかと思います。
多くの個性的なキャラクターが登場する中、一番気になったのは土鬼(ドルク)の僧正。個性的な風貌ですが、作品内でとても良い味を出していました。
場所 | 背ラベル |
---|---|
閉架1 | 726ミ |
※ 上記のエリアもしくは、「みんなの本棚」特別ブースに展示されています。
親子で読みたい絵本
くまさん くまさん なにみてるの?
作: ビル・マーチン 絵: エリック・カール
訳: 偕成社編集部 出版社名:偕成社
「くまさんくまさん、ちゃいろいくまさん、なにみてるの?」「あかいとりをみているの」「とりさんとりさん、あかいとりさん、なにみてるの?」「きいろいあひるをみているの」…
最初からラストまで、「~さん、なにみてるの?」のくりかえし。シンプルな文章と、エリックカール独特の色鮮やかなイラストが、ページいっぱいにひろがる世界。
望月さんが語る「ここがすごい!」
全部ひらがなで短く書かれているので、字が読めるお子さまから、まだ字が読めない赤ちゃんにもおすすめ。
もちろんエリックカール好きにもたまらない世界です!絵を眺めているだけでも幸せ。
小さなお子さまがいれば、ぜひ、おひざの上にのせて一緒に呼びかけながら読んであげてください。兄弟姉妹で読みっこするのもおすすめ。
4歳の息子は、くまさんのページが特にお気に入りのようで、同じページを何度も眺めながら、「くまさんくまさん・・・」とつぶやいています。
英語版もあるので、ぜひそちらも借りてみてください。
場所 | 背ラベル |
---|---|
絵本創作外国 棚5 | Eカ |
※ 上記のエリアもしくは、「みんなの本棚」特別ブースに展示されています。
10代で出会いたい本
ハケンアニメ!
著者:辻村深月 出版社名:マガジンハウス
1クールごとに新タイトルに挑むアニメ制作の現場は新たな季節を迎えた。アニメプロデューサー・有科香屋子は憧れの天才アニメ監督・王子千晴とタッグを組むものの、彼に振りまわされる日々。
そして、同じクールには新人監督の斎藤瞳と敏腕プロデューサーの行城理が手掛けるアニメも放送される。果たして、ファンの心を掴むのはどの作品なのか。
坂本さんが語る「ここがすごい!」
きっと、多くの人が幼い頃アニメーションを観て、ドキドキワクワクした経験を持っていると思います。私もその1人です。
子供の頃さまざまなアニメを観ながら「仲間と一緒に冒険したい!」、「不思議な力を手に入れて悪と戦いたい!」と、何度も思いました。
そして、今やアニメは子供だけでなく、大人をも魅了するようになりました。
この小説ではそんなアニメを支える人達の姿が鮮やかに描かれています。アニメプロデューサー・アニメ監督・アニメーター…
それぞれの立場の人がいて、アニメに懸ける想いを知った時、私は胸がとても熱くなりました。
読んだ後、自分の仕事に誇りを持って働いている人達を応援したくなる、そんな1冊です。
場所 | 背ラベル |
---|---|
映画原作本コーナー | Fツ |
※ 上記のエリアもしくは、「みんなの本棚」特別ブースに展示されています。
大人が読みたい本
失敗の本質 日本軍の組織論的研究
著者:戸部良一 出版社名:中央公論新社
本書は、日本が第二次世界大戦に敗戦した要因を分析した本です。6名の研究者が分析した結果、組織としての日本軍の意思決定が敗戦に至る大きな要因になったと結論付けています。
その意思決定とは、戦術を重視したことでした。そのために戦略を見誤ってしまい、無謀な戦禍へと突き進んでしまったと分析しています。
本書では、「戦術を徹底しても、優れた戦略にはつながらない」と論じ、戦略の重要性を5つのカテゴリーに分け、現在の日本の組織が陥りやすい戦術的な思考傾向に警鐘を鳴らしています。
篠原さんが語る「ここがすごい!」
本書が説く、戦術と戦略の意味は何か。その違いが分かる例を、本書の内容から以下に挙げ、おすすめポイントとします。
戦術を重視した日本軍は、戦闘機のパイロットを徹底した訓練によって鍛え、優秀な人材として育成しようとしました。一方、戦略を重視したアメリカ軍は、操縦が上達しないパイロットでも、簡単に乗りこなせる戦闘機を開発することに重点を置きました。
また、日本軍は戦術を駆使して太平洋の島々をできるだけ占領し(最盛期には25島占領)その勝利で、アメリカに勝つ最終目的も容易に達成できる雰囲気になっていました。一方、アメリカ軍は戦略を立てることを優先して、最小で太平洋の8島を押さえれば、最終的に日本に勝てると見積もりを出し、そのことだけに集中しました。
本書では、目的を達成するには圧倒的に戦略が重要であると述べています。日本の組織は未だに戦術を重視する傾向にあり、正確かつ迅速な行動でマニュアル処理できる戦術的能力が評価されます。
戦略的思考の重要性は、どこにポイントを置いて行動すれば、本来の目的達成のために有効なのかを教えてくれます。本書は、個人が生き抜くうえでも、非常に役に立つ教訓が得られる1冊です。
場所 | 背ラベル |
---|---|
文庫 棚34 | B391.3シ |
※ 上記のエリアもしくは、「みんなの本棚」特別ブースに展示されています。
8月の季節展示から厳選!
あえるよ! 山と森の動物たち
著者:今泉忠明 マンガ:帆
出版社名:朝日出版社
日本の山で、がんばって生きている、身近な動物たち。かれらがどんなふうに毎日暮らしているか、じつは、まだまだ知られていないことがたくさんあるんです。『クマとたぬき』の帆さんによる、ほっこり、ユーモラスなマンガと、『ざんねんないきもの事典』の今泉先生による、びっくりの動物エピソード。
雨の日は、どうくらしているんだろう。動物たちはどんなふうに世界をみているんだろう。すぐとなりにある大自然をのぞいてみよう。
キャンプやハイキング、山登りが100倍楽しくなる「あしあとの見方」「山に残されたサイン」「フンの見方」なども収録!
松原さんが語る「ここがすごい!」
夏休みシーズン。これからお出かけを考えている方、すでにお出かけされた方、様々だと思います。
皆さんは海派でしょうか?それとも山派?
現在図書館では皆さんがどっち派かの投票を受け付けています。ぜひお気軽にご参加くださいね。
今回、山派の私が紹介するのがこの書籍です。動物たちの知られざる生態が文章と漫画でわかりやすく紹介されています。
「タヌキの夫婦はなかよし」へぇ~。
「モグラは現在、東と西で戦争中!」ほおぉ。
「母クマの最大の敵は、オスのクマ」ひぇーーー。
……私の語彙力が吹っ飛んでいるのはさておき、本書を読めば思わず「へぇ」と言ってしまうこと請け合いです。
ほとんどは見開き1ページで一つの生態を紹介しているので、「今日はこのページ!」と決めて少しずつ読み進めるのも楽しいかと思います。
特に私がグイグイ惹き込まれたのは、最後に紹介されている「会えたらうれしい!レアな動物たち」です。山梨とも縁の深いライチョウについて触れられていて、実に興味深く読了しました。
どのページを読んでも楽しい、盛りだくさんの1冊です。
あなたは海派?それとも山派?皆さんがどっち派なのか投票で調査します!それと同時に、よく話題に上がる、いぬ派・ねこ派も大調査!
海・山、犬・猫に関する資料を展示しますので、それらの資料を参考にしてお気軽に投票にご参加ください。
[展示期間:7月30日(土)~8月30日(火)まで]
にらレバ編集部のおすすめ
「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考
著者:末永幸歩 出版社名:ダイヤモンド社
6つの作品をめぐる知的冒険が「ものの見方」を一変させる! アートを通して「ものの見方を広げる」ことに力点を置いた授業を展開する中学校美術教師が、「アーティストのように考える方法」「自分のものの見方」を伝える。
窪田が語る「ここがすごい!」
以前写真講座に参加した際に、講師の方が紹介していたのをきっかけに手に取った本です。
「本によると、日本人は美術館に行っても絵を観ている時間より解説を読んでいる時間の方が長いそうです。写真もシャッターを押す前に、まず対象をよく見ることが大切で…(略)」
講師の方の言葉に、「確かに思い当たる節があるような…」とドキッとしたのを覚えています。
解説を読んでなんとなくわかった気になって、チラッと絵を観て「ほぉ〜」なんて思ったりして、家に帰る頃には結局どれもぼんやりとしか思い出せない…それってなんだか、すごくもったいない鑑賞方法ですよね。
「13歳からのアート思考」は、アートを楽しむための方法を1から丁寧に教えてくれる本です。
授業のような構成で話が進んでいくのでわかりやすく、アートの見方や自分なりの視点でものを考える大切さを教えてくれます。
文中にはさまざまな知識も散りばめられていて、「肖像画などのリアルな絵を『芸術』としていた時代があり、写真の登場によりその価値が覆り、『アート』という新たな価値が生まれていった」という時代の流れなども解説されるので、読んでいて純粋に知らなかったことを知る面白さを感じられます。
タイトルには「13歳からの」と入っていますが、大人の方にもおすすめです。
この本を読んでから涼しい美術館でアート鑑賞を楽しむ。そんな夏の過ごし方はいかがでしょう?
場所 | 背ラベル |
---|---|
ヤングアダルト 棚38 | 704ス |
※ 上記のエリアもしくは、「みんなの本棚」特別ブースに展示されています。
大村記念図書館からのお知らせ
15秒以内に箸であずきをお皿からお皿へ何個運べるかチャレンジしよう!挑戦するだけで参加賞が貰えます。ボードにて年代別の最高記録を紹介します。
期間中の日付で5冊以上の貸出レシートを図書館カウンターへお持ちください。1回挑戦できます。同一人物の貸出レシートを複数枚で5冊以上でも可能です。どなたでも参加可能。
【開催期間】7月23日(土)〜8月30日(火)開館時間中
図書館読聞かせコーナーにて季節の絵本の読み聞かせを行います。
また、おはなし会に参加された方にはおりがみと折り方の解説をプレゼントします。おうちでおりがみを楽しんでください。
【開催期間】8月13日(土)14:00〜14:20
※対象は、対象は、マスクの着用が可能な「2歳~小学校低学年」のお子さん(申込み不要)
ニコリ3階「多目的ホール」にて、市内3つの朗読ボランティアグループの方々にご出演いただき、成人一般、学生、目の不自由な方などに向けて朗読会を行います。(申込み不要)
【開催期間】8月20日(土)14:00〜15:00
※コロナウィルス感染拡大防止に伴う利用規則として入場者は、氏名・連絡先・住所の記入が必要となります。予めご了承ください。
上記イベントについての詳細は、チラシ、またはホームページをご覧ください。
※新型コロナウイルス感染拡大の影響により内容が変更になる可能性があります。
最新情報は図書館まで、お問い合わせください。(韮崎市立大村記念図書館:0551-22-4946)
大村記念図書館の基本情報
所在地 : 〒407-0015 韮崎市若宮1丁⽬2番50号
営業時間: 平日 10:00~19:00、土日祝日 10:00~17:00
電話番号: 0551-22-4946 (FAX)0551-22-4950
休館日 : カレンダーはコチラ
Twitter :@NirasakiOmuraL
Instagram:@nirasakiomural
YouTube :公式チャンネルはコチラ