「みんなの本棚」2022年2月号|大村記念図書館

 【編集部のつぶやき】 図書館や書店で本を選んでいる瞬間って、なんだかドキドキしませんか。なぜか、今の自分にぴったりの言葉を投げかけてくれる本を見つけることもあったりなかったり…。そんな不思議な出会いを体験させてくれる本って素敵だな〜と、しみじみ感じます。

さて、今月号のラインナップで編集部の目に留まったのは『生協の白石さん』。その巧みな語彙力と切り返しとはどれほどなのか…と、気になっています(笑)。それでは、「みんなの本棚」2月号のはじまりはじまり〜。

加藤館長の今月のイチオシ!

ぽっぺん先生と帰らずの沼

著者: 舟崎 克彦
出版社名:岩波書店/岩波少年文庫

あらすじ

大学で生物学を教えている「ぽっぺん先生」が不思議な世界に迷い込み、様々な冒険を繰り広げる児童文学シリーズの第2作目。大学の敷地内にある“帰らずの沼”のほとりで昼食をとっていた先生は、目の前を飛ぶ桃色のウスバカゲロウを追いかけていくうちに自身がウスバカゲロウになってしまう。

その後、鼻長魚、カワセミ、イタチ…と大学構内を舞台に自然の生態系に従って変身を続け、他の生き物と争い、恋をし、対話を重ねながら食物連鎖の輪を一巡するファンタジー。

 

館長が語る「ここがすごい!」

“異世界ファンタジー”の系譜に連なる作品で、子どもの時に「ぽっぺん先生シリーズ」のほとんどを読みましたが、しっかり記憶に残っているのはこのお話でした。元理系少年としては、主人公が生物学の先生という設定で、作中に生物学の知識がちりばめられているのが気に入ったのかもしれません。

物語は、帰らずの沼を中心に食物連鎖をキーにして、地上はもとより水中、空中、地下と、森羅万象が封入されています。改めて読みなおすと、子どもに分かるかな?という部分が結構ありましたが、長く読み継がれているのは、子どもに媚びない姿勢が支持されているのでしょう。児童文学作品ですが、大人が読んでも十分楽しめます。当時一番印象に残っていたのは、カワセミからイタチに変身するパートでした。

人間とは、人生とは、愛とは、老いとは、学問とは、自然とは…読み進めるうち様々な問題が提起され、子ども心に、人間関係の機微や社会の仕組みに疎いぽっぺん先生が自然の営みから多くを学ぶ姿に共感したのかもしれません。

とはいえ難しく考えず、次は何に変身するのだろう?どうやって元に戻るのだろう?…と、ワクワクしながらページをめくることのできる本となっています。

 

場所 背ラベル
児童 棚番号2 Fフ

 

親子で読みたい絵本

きんぎょがにげた

文・絵:五味太郎 / 発行所:福音館書店

あらすじ

金魚鉢から金魚が逃げます。部屋から部屋へ逃げては擬態して隠れます。最後はどこへ逃げつくのかな?

 

望月さんが語る「ここがすごい!」

「きんぎょは“どこへ”にげるのかな?」「きんぎょは“どこに”いるのかな?」と声かけをしながら親子で読んでみてください。文章は短文なので、読み聞かせに慣れていない人でも読んであげやすいです。

優しい色味でありつつ、色彩がはっきりしている絵本です。どこにいるのか見つけられた時には親子で一緒に喜んで楽しんでください。

普段読み聞かせをしないお父さんにもおすすめです!大型絵本コーナーにある大きなサイズで読むとより迫力があります。

 

場所 背ラベル
幼児コーナー・大型絵本コーナー Eゴ

 

ティーンエイジャー(10代)で出会いたい本

優しい死神の飼い方

著者:知念実希人/ 出版社名:光文社文庫

あらすじ

舞台はホスピス病棟。ゴールデンレトリバーの姿で地上に派遣された「死神」は、古い洋館を改装したホスピス「丘の上病院」に住むことに。そこでは7年前に、謎の“吸血鬼家族”殺人事件が起きていて…。現役医師が描くハートフルミステリー。

 

笹島さんが語る「ここがすごい!」

本業が医者である著者の作品は、犯罪事件のミステリーが多く、その中でこの本は心温まる内容となっています。ゴールデンレトリバーと死神の組み合わせがユニーク。

知念さんの著書を初めて読む人には、最初に読んでほしい読みやすい本だと思います。中高生は、きっとはまるのではないでしょうか。

 

場所 背ラベル
一般 棚番号13 Fチ

 

大人が読みたい本

生協の白石さん

著者:白石 昌則/東京農工大学の学生の皆さん
出版社名:講談社

あらすじ

とある国立大学の生協で働く職員が、買い物に来る学生や教員らからの、要望や相談や質問に生真面目に答える「ひとことカード」。それらの中から厳選したものが本書である。真剣な相談から、実にくだらないものまで様々だが、白石さんの軽妙且つ心温まる回答がネットで評判となり、出版社の目にとまり書籍化され、瞬く間にベストセラーとなった1冊である。

 

鈴木さんが語る「ここがすごい!」

著者である白石さん、新卒で大学生協に入り、大学では27年間働いていたそうです。 何といってもその語彙力と切り返しのスゴさ。いったいどこでそんな力をつけたのか?と、とあるラジオ放送を聞きかじったところによると、小さい頃に、よくある週刊の少年マンガを読みあさっていたらしいです。

当然読めない漢字や理解出来ない言葉なんぞもあったでしょうが、逆に勉強にもなったようです。 自分より年上の輩からの無理難題に、言葉で成敗?していたとか…。白石少年の語彙力の根源はそんなところからきているのかもしれません。

後の生協での「ひとことカード」の回答では、遊び心半分、されど、お店の売れ残り商品を全部売り切るぞ!という使命感に溢れています。

さて、生協への投書。 「あなたを下さい。白石さん」 これに白石さんは何と答えたのでしょうか。

気になる方は、P125を是非読んでみてください。

 

場所 背ラベル
一般 棚番号21 049シ

 

 2月の季節展示から厳選!

まんがでわかるカーリングの見方!! 市川美余がとっておきの話をデリバリー。

(C)市川美余・深山雪男/小学館 2021

あらすじ

ストーンを投げたあと、一体何を叫んでいる?何を考えてストーンを置いている?そもそも何でカーリングという?カーリングにまつわる疑問や観戦ポイントを元・カーリング日本代表市川美奈監修、深山雪男作画のまんがで紹介する。

 

内藤さんが語る「ここがすごい!」

カーリングのルールというと石を滑らせて円の中に入れる、石を滑らせるためにブラシをゴシゴシすることくらいしかわかりません。

この本では元日本代表の市川美奈さん監修でカーリングのチームの役割やカーリングストーンの投げ方、ルールや見方がまんがでわかります。

また北京五輪が2月から開催されますがこの本を読めばよりカーリング観戦を楽しめます。

 

2月の季節展示は「冬もスポーツが熱い!」
種目を紹介します。また雪を感じられる絵本や2021・22年に引退したスポーツ選手に関する本も展示します。[展示期間:1月29日(土)~2月24日(木)まで]

 

大村記念図書館からのお知らせ

山梨県からの要請を踏まえ、今後のイベントについて中止、または延期とさせていただきます。
詳細は以下の通りです。

中止となるイベント

おはなし会 ( 2月12日 開催回)
●放送大学公開講座「金属入門 歴史・工芸・工業」( 2月12日 開催回)
●朗読のつどい (2月19日 開催回)

 

延期となるイベント

三ツ星シネマ上映会「悲しみより、もっと悲しい物語」(2月20日 開催回)
※ 振替日時は未定です。決まり次第お知らせします。

 

大村記念図書館の基本情報

所在地 : 〒407-0015 韮崎市若宮1丁⽬2番50号
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