【編集部のつぶやき】
頑張った時にかけられたい言葉、辛い時に乗り越える勇気をくれる言葉、大切な人にそっと渡したい言葉…。私たちが何気なく受け取ったり手渡したりしている言葉は、その時々に合わせて変化し人を感動させたり傷つけてしまったり、とても忙しない。
古くから日本には「言霊」という概念が存在しているが、不思議なもので年齢を重ねれば重ねるほど、その言葉の意味について深く考えさせられる瞬間が増えていく。せめて、自分が発した言の葉には的確な表現と優しい音を乗せたい 。そんな願いを抱きながら、今日も「新たな言葉」との出会いを繋いでくれる本を探している。
さて、今月も新たな世界を開いてくれそうなライナップが勢ぞろい!皆さんの心に響く一冊との出会いがありますように。
目次
加藤館長の今月のイチオシ!
魯山人味道
著者:北大路魯山人 |平野雅章 編
出版社名:中央公論新社
書道、篆刻、陶芸の道を究めた孤高の芸術家・北大路魯山人が特に追求したのが「美食」であった。愛弟子として知られる平野雅章が、魯山人自ら編集・刊行した雑誌の随想や談話の中から美食について書かれたものを取り上げ、編んだエッセイ集。
料理を芸術の域にまで高めた魯山人が、食材について、料理と器の取り合わせについて、そして、料理の真髄について語る一冊。中公文庫には、この『魯山人味道』以外に『魯山人陶説』『魯山人書論』があり、それらを通読すると、魯山人の多彩で広範な芸術活動の一端を垣間見ることができる。
館長が語る「ここがすごい!」
『美味しんぼ』の海原雄山のモデルとしても知られる北大路魯山人。その生涯は、書家を経て書画骨董収集から料理の道へ、果ては陶芸の世界に足跡を残した巨人で、人間国宝を打診されるも言下に断るなど、話題に事欠かない人物です。
自分が彼の存在を知ったのは1996年、セゾン美術館開催の「イサム・ノグチと北大路魯山人」展で陶芸作品に魅了されたのが始まりで、その後、関連本を読み漁りました。(2018年河口湖美術館で開催の「魯山人の宇宙」展他にも足を運んでいます。)
韮崎との繋がりでは、韮崎出身の実業家・小林一三と交流があり、2010年には一三宛の“怒りの手紙”が発見され、池田市の逸翁美術館まで見に行きました。また、陶芸に造詣の深い大村智先生が知り合いの編集者に勧めて執筆された『魯山人と影の名工 陶工 松島宏明の生涯』は、当館でも所蔵しています。
今回取り上げた本は、昭和初期、戦前に書かれた内容のものですが、今読んでもそれほど古い印象は受けません。中でも特に印象に残っているのは「山椒魚を食べた話」、「フランスのトゥールダルジャンで鴨を食べた話」等々。
読み進めると、傲岸不遜な主張にイラっとなりますが、調理の工夫なども書かれ、読後は美味しいものが食べたくなるエッセイです。
場所 | 背ラベル |
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文庫 棚34 | B596キ |
親子で読みたい絵本
わたしのワンピース
文・絵:にしまきかやこ / 発行所:こぐま社
ウサギの「わたし」は空から降ってきた白い布を使ってワンピースを作りました。ワンピースを着てお花畑に行くと、真っ白だったワンピースにはお花の模様が…!?次々と模様が変わる、すてきな「わたしのワンピース」のお話です。
宇佐美さんが語る「ここがすごい!」
「わたしのワンピース」は1969年に発行され、今や50歳を越える大ベテランの昔ながらの絵本です。
私が子どものころから大人気の絵本で、何度も模様が変わるワンピースを「にあうかしら」と尋ねてくるウサギさんに、なんとも夢のあるお話とだと感じ大好きだったことを今でもよく覚えています。
季節に関係なく楽しめる絵本ですが、お花畑や小花がちりばめられたワンピースは、どこか春を感じる部分も多く、少しずつあたたかくなってきた今の時期にこそ、ぜひ味わってほしい1冊です。
場所 | 背ラベル |
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幼児コーナー・日本創作絵本 棚5 | Eニ |
10代で出会いたい本
推しことば類語辞典 巧みな単語で「好き」を拡散!
著者:山口謠司/ 出版社名:笠倉出版社
自分の気持ちを伝えたいのに「大好き」「ヤバい」「すごい」しか言葉が出てこない…。そんな語彙力を変えるヒントをくれる一冊。自分ならではの「好き」の伝え方、そのための言葉を発見するためのライトな辞典。類語を掲載する他にも有名著書の表現方法なども紹介。口語調の文体で用例が書かれており、気軽に読める内容になっています。
小野さんが語る「ここがすごい!」
「推し活」「推し、燃ゆ」(宇佐見りんの小説)など、最近よく目にする“推し”という言葉…。
もともとは「推薦する」という意味の「推す」からきており、今では「人にすすめたいほど気に入っている人物や物」という意味で使われているそうです。“一押し”という言葉がさらに変化した感じでしょうか?…日本語は日々進化していますね。
そんな言葉の変化が垣間見えるのがこの一冊。「今、推し活してます!」という人は共感しながら楽しく、「推しことば、とは一体…?」という方には、現在の日本語の変化を知ることが出来る内容になっています。
自分の「好き」を伝えたい。でも、気持ちがいっぱいで何も言えない……そんな時に、読んでみると自分の感性を伝えるためのヒントが見つかるかもしれません。気軽に楽しめつつも、言葉選びについて考えさせられる不思議な一冊です。
場所 | 背ラベル |
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ヤングアダルト 棚38 | 814.5オ |
大人が読みたい本
野球が好きすぎて
著者:東川篤哉/出版社名:実業之日本社
事件の鍵を握るのは、野球界の実際の出来事!捜査一課の刑事である神宮司つばめは、同じく捜査一課に所属する警部である父、神宮司勝男と殺人事件の捜査に当たる。勝男は娘に『つばめ』と名付けるほどの、大のスワローズファン。そんな親子鷹ならぬ≪親娘燕≫が、ベースボール・バーで出会った謎のカープ女子と事件を解き明かす!カープファンである著者が全力投球した痛快ミステリ。
松原さんが語る「ここがすごい!」
「3月」野球好きがまだかまだかと待ち望んでいる日があります……そう、プロ野球開幕日!
私も開幕を楽しみに待つ野球ファンの一人です。そんな私が今回おすすめするのがこの本。タイトルからグッと心を掴まれます。
謎のカープ女子をはじめ、登場人物は野球好きばかり。さらに、事件の鍵は実際に野球界で起こった出来事なので、「そうそう。こんなことあったよね〜」とプロ野球ファンならついニヤリとしてしまうことでしょう。(冷蔵庫殴打、懐かしいなあ。)
一話ごとに事件は解決し、軽快なテンポでサクサク進むので、普段小説を読まない方にもおすすめです。
場所 | 背ラベル |
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一般 棚15 | Fヒ |
3月の季節展示から厳選!
誤嚥性肺炎を防ぐ! おうちでできる「のど筋トレ」
著者:東 哲一郎
出版社名:ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
誤嚥性肺炎は死に至ることもある怖い病気。誤嚥を防ぐために、のど、声帯、肺を動かす筋肉を鍛える「のど筋トレ」について紹介している。
笹島さんが語る「ここがすごい!」
のど、声帯、肺を動かす筋肉を鍛える「のど筋トレ」について、イラスト入りで分かりやすく書かれています。
付録DVDのオリジナルソングのリズムに乗せて発声しながら体を動かし、手軽に楽しくトレーニングができる本です。ぜひ、お手に取って実践してみてください。
長引くマスク生活のために表情が硬くなってしまっているのを改善するための本や、気持ちを明るくする本等を展示します。また、いい声を出すためのトレーニング本や、歌に関する本も展示します。[展示期間:2月26日(土)~3月30日(水)まで]
大村記念図書館からのお知らせ
開館10周年記念企画の最後に、10年後の自分へ向けた手紙を募集します。
●開催日時:3月12日(土)10時~17時(先着50名程度/無料)
●申込方法:3月5日(土)より図書館カウンター及びお電話にて受付。
●開催日時:3月20日(日)15時〜(先着40名程度/無料)
●特別講師:佐藤健臣氏(㈱サン.フーズ エノログ/ソムリエ)
●申込方法:3月5日(土)~3月15日(火)まで図書館カウンターまたはお電話にて受付。→こちらのイベントは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期となりました。
上記イベントについての詳細は、チラシ、またはホームページをご覧ください。
最新情報は図書館まで、お問い合わせください。(韮崎市立大村記念図書館:0551-22-4946)
大村記念図書館の基本情報
所在地 : 〒407-0015 韮崎市若宮1丁⽬2番50号
営業時間: 平日 10:00~19:00、土日祝日 10:00~17:00
電話番号: 0551-22-4946 (FAX)0551-22-4950
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