お散歩気分で大自然を満喫!生き物好きライターと登る「甘利山ハイク」

生き物が好き。アウトドアが好き。山が好き。すべて極めているわけではないけれど、ゆるっと自然が好き。そんなライターが、甘利山へと向かった。

山頂付近まで車でアクセスできる甘利山は、とても歩きやすく、植物や動物たちを愛でながらお散歩感覚で登れる素敵な山だった。

今回の旅では、初めて訪れた韮崎で体験した、甘利山登山の様子をお届けする。

初・韮崎、いざ甘利山へ!

立川駅から特急あずさに乗り、韮崎へ向かう。実は、あずさに乗って、山梨で降りるのは初めてだ。

長野県の大学に通っていた私は、東京からあずさに乗るときは、たいてい松本まで行っていたので、「のんびり朝ごはん食べてコーヒー飲んで、ゆるりとあずさを楽しもう」と思っていた。

すると、あっというまに着いてしまった。立川から1時間強…意外と近いな、韮崎。

いつもは通り過ぎていた韮崎に、初めておりたった。

程よい田舎感のある、この感じ、久しぶり。初めて来たけれど、「帰ってきたなあ」という気持ちになる不思議な感じ。

初めて来る土地では、駅周りを地図など見ずにウロウロして雰囲気を感じたりするのが好きなのだが、今回の目的は山なので、うろつくのは我慢してレンタカー屋へ直行。

さて、今回、目指す先は、甘利山!

甘利山は、標高1,731メートルの山で、山梨百名山の一つ。頂上のすぐ下に駐車場があるため、そこからは30分程度の徒歩で山頂へアクセスできる、気軽な山として知られている。

低山とはいえ、山に登るのは久々なのでドキドキワクワクだ。しかし、山の方はガスっている。やや複雑な気持ちで登山口へと、車を走らせた。

 

出会いながら、山頂までゆっくり登ろう

自然からのあたたかい歓迎

天気が心配な気持ちがありつつも、久々の運転は楽しい。山道に入る前までは、甘利山方面を示す青い看板がいくつかあり、特に迷わずに進めた。これだけ看板があるということは、やはり地元の人も頻繁に登る山なのかな?と感じる。

山道に入っていくと、だんだんと道が狭くなる。運転にも緊張が走る。「いやぁ、急カーブが多いな〜」あまり対向車と、すれ違わなかったことに感謝しつつ、40分ほど山道を走らせると駐車場に到着。

土曜日ということもあり、そこそこの車が停まっている。やはり週末のお出かけスポットとして広く知られていることは、間違いなさそうだ。

急いで準備をすませ、いよいよ出発!

「うわぁ、ガスっている…」

下から見ていて予想はついていたけども、登り口でこれだとテンションが上げづらい。しかし、ガスの日にはガスの良い点がある。

暑すぎず、歩きやすい。そして、景色以外の森の魅力に気づきやすくなる。…というわけで気を取り直して出発!

登り口の最初のところには、お店と植物が保護されている区域がある。そして、ボランティア団体の方々の活動で、植物の名前がわかるプレートがたくさんあった。これはありがたい。

「よく山で見かける花ってこんな名前だったのね〜」とか、「こんな植物がいるんだ〜」とか、歩きながら自然のことがわかるので楽しくなる。

花を観察していると、マルハナバチを発見!

足のつけ根に花粉団子をつくっている。なんて愛らしいんだ。そしてせっせと花粉をあつめるマルハナバチ。

「たくさん集めてるねえ」

足の根本に白っぽい丸いものが見えるのが、花粉団子だ。ハチの仲間は仲間の栄養源のために花粉をあつめるが、こんなふうにまるくお団子状にして巣に持って帰る。ちなみに、マルハナバチの仲間は1回の飛行で6〜7種類の花から花粉をとって帰るらしい。

さっそく色んなものを発見してしまい全く進まなくなってしまったので、仕切り直してしっかり歩き始めた。

10分ほど歩きすすめると、東屋がある。そこからの景色が絶景!!なのだそうだが、ガスっていて全く見えない。

終始視界はガスっている。

心の目でまちと山々を想像し、歩みを先にすすめる。すると、両脇にたくさんの植物たちが!

マルバダケブキ

コシジシモツケソウ

メイゲツソウ(イタドリの高山型)

タカネナデシコ(?)

やっぱり、高山植物って可憐だよね。

ちっちゃくて、カラフルなんだけど、上品な感じが漂ってて好き。この感覚、伝わるかしら…?

名前もたくさん知っているわけではないけれど、「うわぁこれキレイだなあ」と、癒やされたらそれでいいと思うのです。

パシャパシャと撮影に夢中になっていると、あっという間に時間が経ってしまう。さて、そろそろ山頂に向かおう。

 

チョウとの出会いにワクワク

木道をてくてく歩き、少し階段をのぼると、すぐに山頂につく。

山頂は360°ひらけており、きっとパノラマビューなんだろうなあと思いをはせていると、目の前をひらひらと浮遊するものが…チョウだ!

曇っている日に飛んでいるのはめずらしい。

曇りから雨になってしまうと羽が濡れてしまい飛べなくなってしまうし、基本的には温かい気候を好むため、太陽が出ている日に見かけることが多いのだ。今日は曇りにも関わらず、何匹かが優雅に飛んでいた。

動いているものを見るとつい追いかけてしまう習性のある私は、チョウに引きつけられるように追いかける。そして、写真に収めようとするが、ベストな姿を撮れない。昆虫の仲間はよく動くので撮影が難しい。

アゲハの美しい羽が全部写っていないところとか、色々と納得いかない点はあるが、一旦撮影タイムを終了。

その後も何頭かチョウを見かけた

 

物足りなければ、その先へ

甘利山を登頂し、いろんな植物や動物をパシャパシャ撮影しているのも楽しかったけれど、普段から登山する身としては少し歩き足りなかったので、その先まで行ってみることにした。

現地の地図を見て初めて気づいたのだが、この先いくつかピークもあるし、コースもたくさんあるじゃないか。

時間の関係もあり複数ピークに行くのは難しかったので、とりあえず最も標高の高い千頭星山を目指してその先にいってみることにした。少し歩くと、道が細くなり山らしい道に。

相変わらずのガスで、ミステリアスな感じの空気の漂う林内…。

でも、こういう雰囲気もまた良い。映画とかアニメのワンシーンにいる気分になったりする。

ところどころ眺望が良さそうな、開けたところがあったが、今回は、まったく見えなかった。ガスった林内も味があってよいが、やっぱり眺望も見てみたい。これは、リベンジ確定である。

そんなガスの中を1時間半ほど登っていくと、山頂に到着。

思っていたより急な坂だった。ここまで来ると、トレーニングにもいい感じに使えそうだなあ。天気予報では午後から天気が崩れそうだったので、山頂でひと休憩し早めに降りることにした。

千頭星山山頂から、足元をすべらせないよう気をつけて下ると、自然と目線が足元へと行く。

すると、足元をとびかうバッタや葉上で休憩するセセリの仲間を発見。

そして…なんと!カミキリさんではないか。

こんなマッドな赤色したカミキリ、かっこいいな。といろいろなものに目を泳がせながら降りてきた。

登山となると、山頂を目指すことに夢中になってしまいがちだが、山道でふと見かける自然をひとつ一つ愛でる時間もまた、山登りの醍醐味である。

トンボも発見!

 

さいごのごほうび

コースを周回し、甘利山の山頂まで帰ってくると。

おお!ガスが晴れてきた!

甲府盆地が見下ろせる。向かいの山々までは見えなかったが、韮崎の街の景色を見ることができた。

そして、高原を歩いている感がすごい。

これが駐車場から徒歩30分以内で楽しめるとは…。

「今日は天気いいし山でも行くか!」という感じで、気軽に訪れることのできる山なので、こういうところが近くにある山梨県に住んでいる人がうらやましい。

甘利山は、とっても歩きやすくお散歩感覚で登れる山。

でも、そのお手軽さだけでなく、尾根線を歩いているような開けた道があったり、展望を望める場所も多く高原を歩いている感じも味わえる。そして、何より植物が豊かですばらしかった。

個性豊かなキノコたちもひっそりと

ふだん登山をするときは、コースタイムを気にして植物や写真に没頭できないことが多いけれど、甘利山は駐車場から山頂までが30分程で歩けるため、その心配もなく存分に植物を愛でることができた。

6月は一面にレンゲツツジが咲いてキレイという情報も目にしたので、「違う季節にも来てみたいなあ〜」とリベンジを決意して下山してきたのであった。

コロンとした姿が愛らしい野鳥の姿も

 

かえりみちのこと

駐車場から、街へ向かって山道を下っていると、なんだか動きの鈍い鳥が、道路からテクテクと道の脇へ逃げている。

ん???こんな動きをするのは、ヤンバルクイナとかだぞ。…いや、ここは山梨だ。

…ライチョウ???

「え?ライチョウって、こんな道路にいる??」と頭の中は大混乱。いや、でも、あのフォルムはライチョウしかいない。(一瞬のことで写真が撮影できず無念)

曇りの日だし、確かに気候的には彼らにとっては良い日なのかもしれないが、まさかの場面で出会ったライチョウであった…。

甘利山、なんとも奥深い山である。