ライター。2019年6月加入。韮崎で働く人や会社を紹介するコーナー『ニラサキのシゴト』を主に担当。地元ではない韮崎に移り住んできた立場だからこそ見える『移住者視点』を率直に伝えることを大切にしている。1990年生まれ。妻と2歳児の息子を持つ。とても親ばか。
八ヶ岳や金峰山の青々とした山並みを望む「幸福の小径」。
そんなのどかな遊歩道を少し登ったところに、今回取材する「旭陽電気株式会社」はありました。
牧歌的なロケーションの中にありながら、一歩足を踏み入れてみると、そこはまるで「宇宙船」のような近未来的な雰囲気。入り口では人型ロボットが出迎えてくれたり、まだ身近には普及していない「顔認証」や「スマートグラス」が体験できたり。ワクワクと心が高ぶるような未知の体験が待っていました。
旭陽電気株式会社とは、どのようなことを手掛けている会社なのか、どのような方がどのような思いで働いているのか。
取締役の金山雄一郎さんと、現場で働く若手社員の方2名にお話をうかがいました。
会社概要
- 事業:電子部品製造・EMS・社会インフラ(販売・施工・保守)
- 設立:1968年(株式会社化は1970年)
- 所在地:山梨県韮崎市神山町鍋山300
- 従業員数:400人
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旭陽電気について
韮崎本社にあるショールームにて、取締役である金山雄一郎さん(現在は専務取締役・総務本部長)にお話をお聞きしました。
———本日はよろしくお願いします。
今日はショールームで取材させていただいていますが、ここはどういった場所なのでしょうか?挨拶してくれる人型ロボットがいたりと、近未来的な雰囲気でワクワクしています…!
ーーー旭陽電気さんのホームページやFacebookも拝見させていただいたんですが、製品自体はもちろん、「見た目の印象」にもこだわりを感じます。次世代感というか、洗練されていてかっこいいですよね。
ですが、「次世代感」と言っていただけるような雰囲気は、つい数年前までの当社にはありませんでした。
むしろ、古くからある「町工場」と呼べるような会社だったんですよ。
―――え!今の雰囲気からは想像がつきませんね。
それでは、会社が創業して「古い町工場」だったころからの沿革も含めて、当社について会社のことを紹介していきますね。
ーーーいっそう興味が湧いてきました。よろしくお願いします。
要望に応えてきた結果「一貫した製造」ができるように
―――旭陽電気の成り立ちについて教えてください。
当時、日本中の公安や土木などで使われている通信機器は、ほとんどがNEC製のものでした。NEC様としても販売の人手がほしいという状況があり、「製造に加えて販売代理店もやってくれませんか?」という提案をしていただけたんです。
ーーー自分たちで業務を広げたというよりも、まずお客さんから求められる要望があったんですね。
ーーーそうした結果、どのような業務を手掛けるようになったんでしょうか?
- 製品の企画設計
- 資材の調達
- 製造
- 販売
- スタートアップ(ユーザー先での製品の取付や調整)
- 稼働後の保守点検・修繕
※【EMS】
Electronics Manufacturing Service の略。工場を電子機器の受託生産を行うサービス、それを行うメーカーの意味。
当時、社員から出た声は「末端冷え性」。改善のカギは
思いを文章に、文章を言葉に
ーーーなるほど。それでは、業務が広がり会社が大きくなるにつれて、「古い町工場」という雰囲気は変わってきたんでしょうか?
それまでの当社はというと、経営者層は熱い思いを持っているんだけど、一方、現場はどこか冷めているというか。そんな雰囲気がありました。
会社の雰囲気について社員にヒアリングする機会があったのですが、その際に出てきた印象的な言葉が「末端冷え性」。上は熱いんだけど下は冷めている、と。思いや熱量に大きなギャップがあるという空気感は、社員の方も感じていたようです。
ーーーそういった空気感が変わっていったのは、何かきっかけがあるんですか?
たとえば、昨年2020年が設立50周年という節目にあたることもあって、企業理念をあらためて定め直したんです。県内のブランディング会社に力をお借りしながら、なるべく多くの社員の方に考えを聞いて回りました。「ぼくたちの使命って何だろう」「どんな価値観を大切にしていきたいんだろう」と。
これまで言葉にしてこなかった思いを、一つずつ文字にしていったんです。
《使命》
電気を繋ぐ技術とものづくりで、 社会の進歩を支える。
《目指すべき姿》
社会の進歩には、 「旭陽クオリティ」が必要だ。
《価値観》
- 私たちは、未来づくりのビヨンドパートナー。
- 課題解決のアイデアは、常に現場にある。
- 「できない」を「やる」から意味がある。
- 見えないところで、かっこいい仕事をする。
- 「はやさ」は、クオリティのひとつ。
《行動規範》
- 2S(整理・整頓)ができれば、すべてできる。
- やる前に考える。やりながら考える。やった後に考える。
- 「それだけの人」に収まらない。
- ひとりより、みんなでやる。
- まずは、自分が幸せになる。
《合言葉》
「旭をのぼらせ、陽をあてよう。」
(旭陽電気HP『企業理念』のページより抜粋)
———クレドの内容もですが、カードの見た目も素敵ですよね。
ーーークレドを読んだ社員の方の反応はどうでしたか?
「自分たちの会社は古い町工場かと思っていたけど、あれ?実はなんだかおしゃれなんじゃないか?」と、良い意味で浮足立ったような雰囲気が見られるようになりましたね。
ーーー素敵な雰囲気ですね。会社の思いを知れると、自分自身の仕事にも誇りを持てそうです。
わたしたちは、最先端の技術を扱っていると自負しています。ただし、世の中に直接届く製品ではないので、見られることも知られることもほとんどありません。けれど、ハード機器や半導体などに形を変えて、みなさまの生活を支えるのに確実に役に立っている。わたしたちはそういった仕事をしているんです。
クレドをご説明した際には、そういったお話もしました。
制服っぽくない制服を「うちはこれで良い」と言える優越感
―――涼やかで働きやすそうですね。反面、「そんな制服あり?」という気もしてしまいます(笑)
―――どういう意味ですか?
―――たしかに一般的な制服っぽくないからこそ、「それで良い」と言ってくれる会社のことを自慢したくなりますね。
変化はどこから生まれるか
―――会社を変えていく提案に対して、反対する意見は出ませんか?
でも元々、変化することをどこか期待して待っていた部分も、会社の中にあったように思うんです。
―――どういうことですか?
―――なるほど。変えていくことを、みなさんは歓迎してくれましたか?
だから、少し経って打ち解けてきたころに聞いてみたんです。「どう思った?正直うざかった?」って(笑)
―――率直ですね(笑)返事はどうでしたか?
「やっとうちの会社が変わり始めたね」「体育会系の古い町工場だったのが、きっとこれから変わっていくね」と、社員間ではそんな会話がされていたと教えてくれたんです。
―――それは嬉しい会話ですね!
元々、社長にも会社の中にも「変わっていかなきゃいけない」という熱や思いはあったんです。僕が変えたことの多くは、実は、社長が何年も前から提案してきたことでした。ただ、「変え方」が分からなかった。社員の方も「動き方」が分からなかったんです。
―――なるほど。
社長の言葉を噛み砕き、「いつまでにこれをこういう方法でやりましょうよ」と具体的な提案に変換して社員のみなさんに伝える。一方で、社員から社長に直接は伝えづらい意見があれば吸い上げて会社に反映する。そういった役割を担えていると思っています。
――—お互いを結びつける翻訳家のような役割ですね。
―――2年間で色んなことを変えてきたんですね。
社員の方と話す中で「こういった部分に困っている」という声があれば「だったら、今のままより変えた方がいいよね」いうことになりますよね。それを一つずつ実行してきたんです。
だから、多くの変化のアイデアは、社員の方から生まれているんです。
———さまざまな変化を経験してきたことで、社内の雰囲気には変化はありましたか?
それまで「制度が悪い」「会社が何もしてくれない」というどこか他責感のあったところが、「自分たちで変わっていこう」という、前向きな当事者意識をもつように変わってきている感じがします。
―――素敵な雰囲気ですね。
特徴・強み
築き上げてきた『一貫した製造システム』
――—成り立ちについて教えていただきましたが、今、旭陽電気にはどのような強みがあると思いますか?
きっとお客様の中には「旭陽といえば製造の会社だよね」という認識の方もいれば、「いや、販売の会社でしょ?」という方もいると思います。
―――そもそも、「お客さんの望むことに応えること」をそれほどに大切にしているのは、どうしてですか?
ーーー『ビヨンドパートナー』とは、一体どのような意味でしょうか?
さらには、お客さんが期待するレべルを越えて「要望のさらに先」を提供できるようなパートナー企業になることを目指しています。ビヨンドパートナーとはそんな思いを込めた言葉です。
ーーー「お客様の要望に応える」の根底には、そのような価値観があったのですね。
相乗効果が生み出される設備と空気
―――「試す」とは、具体的にどのような意味でしょうか?
つまり、システムが実際に稼働する様子を確認できるのは、クライアント先の工場に実際に導入してもらってから、というわけなんです。
―――なるほど、たしかにそうですね。
製造業でありながらシステムを作れる、作ったシステムを自社内で試してさらに昇華させられる。
このような相乗効果は、製造から幅広く業務を広げてきた当社だからこそ発揮できる大きな強みだと思いますね。
―――最初から、相乗効果を狙っていたわけではなく、後からつながりが生まれてきたというところが面白いですね。
たとえば、今いるショールームにある『顔認証システム』。NEC様、ソフトバンク様の技術を組み合わせたもので、セキュリティや勤怠管理などに利用されています。
この顔認証システムを手掛けてみたのも、はじめは「ちょっと面白そうだから試してみようか」という興味からでした。顔認証自体、当時は世間からもあまり注目されていませんでしたから、試してみたものの、どう転ぶかは分かっていませんでした。
―――「試してみた」程度だったものが現実に活躍する光景を目にしたのですね。
視察から戻った後、今後日本で販売していく前段階として、まずは当社で取り扱っている顔認証システムがどのようなものかを知ってもらおうと考えました。その目的で作られたのがここのショールームなんです。
ただ「扉が開きます」と説明するだけでは魅力が伝わらないから、最新感も合わせて体験してもらいたいと思って見た目などにもこだわりました。
―――洗練されていて、まさに最新感ある雰囲気です!
「あれ、これって製造現場でのセキュリティにも使えるんじゃない?」「勤怠管理にも使えそうだよね」と、当初想定していなかった使い方について、私たちの中から新しいアイデアが出てきたんです。どう転ぶかは分からなかった「点」をまずは試してみたところから新しく考えが広がっていったんですよね。
―――「試してみること」の大切さが分かるエピソードですね。
顔は貸し借りが出来ないものだからセキュリティ上の精度も高いですし、ドアや機械の操作を非接触で行えることへの需要は、食品や衛生などの分野に限らず今後高まっていくだろうと考えています。
まずは多くの方にこちらのショールームへ足を運んでもらって、体験してもらえれば嬉しいです。
会社の理念・考え方について
自分の幸せをまずは優先すること
―――ここまでもいくつか登場しましたが、旭陽電気の企業理念や大切にしている考えについて、あらためて教えてください。
―――それはどうしてでしょうか?
―――なるほど。たしかに、そうかもしれないですね。
“ Well-being ”
という言葉が近いですね。直訳すると「良く在ること」。自分らしく、健康的であり、周囲に感謝し感謝され、自分が自分のままで良いんだと認められる状態を言う言葉です。
―――自分で自分を認めることはつい後回しにしがちだけど、とても大切なことですね。
そして、自分自身が幸せになった後には、周りの誰かを幸せにしていってほしいですね。
そういった気持ちが自分自身を幸せにするし、会社にも社会の中にも幸せをつないでいくと考えています。
すべての社員に陽の当たる会社を。
―――採用において、入社される方に求めることはありますか?
―――こだわらないのには、何か理由がありますか?
旭陽電気の社名は、「すべての社員に旭(朝日)の陽があたるように」という想いに由来しています。真上から照らす太陽は地面にたくさんの日陰を作りますが、昇っていく太陽の光は、隅まで届いて照らします。
そんな朝日のように、たとえ他の組織や会社では日の目を見なかった方でも日陰者にしないような会社でありたいんです。だから、はじめから「こういった人だけに来てほしい」という考えは持っていません。
―――なるほど。設立からの思いがあるからこそ、こだわらないということですね。
クレドカードの結びのページには、わたしたちが掲げるスローガンを載せてあります。
旭をのぼらせ、陽をあてよう。
そんな好循環の生まれる会社を目指しています。
韮崎市との関係性
企業ができる最大の地域貢献は
―――最後に地域との関係性についてお聞かせください。
「地域未来牽引企業」にも選ばれていらっしゃいますが、韮崎市の中でどのような役割を担っていると思われますか?
ただ、そういった直接的な貢献活動ももちろん大切にしていきたいんですが、企業としてもっとも重要な役割はやはり「雇用創出」と「納税」だと思っています。
———たしかに。表には見えてこないことだけど、それがなくなると地域全体が弱っていってしまいますね。
雇用に関して言うと、やはり工業系出身の方が多いですか?
———そうなんですね、専門的に学んでいないとできない職種なのかと誤解していました。
男性女性の数で言うとどうですか?工業というと、どうしても男性の力仕事というイメージがあります。
工業出身でないとか性別がどうとか、そんなことはまったく関係なく大歓迎ですので、少しでも興味のある方にはぜひ来てほしいですね
———なるほど。こんなにも頼もしい企業が地域で活躍しているなんて、すごくわくわくするお話をたくさん聞かせていただきました。今後の活躍も応援しています。
最後に求人情報も掲載しています!
若手社員さんに聞く、旭陽電気でのシゴト
秋山さん
社歴: 入社1年目
出身: 南アルプス市
担当: 製造部で半導体製造装置の各種調整作業
島津さん
社歴: 入社10年目
出身: 韮崎市
担当: 社会インフラ部で山梨県内の防災無線全般の保守点検
※取材を行った2021.2時点のものです。
———よろしくお願いします。若手社員のお二人が感じる社内の雰囲気について教えてください。
あと、親切な方が多いですね。私はまだ1年目でできないことも多くあるのですが、困ったときにはすぐやり方を教えてくれたり、資料を新しく作ってきてくれたりすることもあります。
部下や新人をそっと観察して、困った時にはさりげなく手を差し伸べてくれてくれる。そんな優しい雰囲気がある会社だと思います。
———仲の良い雰囲気がありながらも、部下や新人の成長をサポートしてくれるんですね。島津さんはどう感じますか?
さらに付け加えるなら、上司の方が、部下やチームのメンバーの声によく耳を傾けてくれていると感じます。「こんなものがあったら便利」と雑談の中で何気なく口にしたことが、後日採用されていたりと、意見を聞き入れてくれるような雰囲気が好きですね。
きちんと話を聞いてくれていることも、意見を尊重してくれていることも、チームの一員として認められていることが伝わってきて、すっごく嬉しい気持ちになりますね。
———仕事の中で、やりがいや達成感を感じる部分はどのような場面ですか?
———製造技術や工業について、お二人は元々どこかで専門的に学ばれたり経験されていたんですか?
———ありがとうございます。
取材を終えて。求人情報も!
「まずは自分の幸せを優先して、ありのままの自分でいてほしい」
「すべての社員に陽の当たる会社でありたい」
取締役として、旭陽電気がこれからも大切にしている理念を熱を込めて語る金山さんの言葉が特に印象的でした。(現在は専務取締役・総務本部長を務められています)
また、その後の若手社員の方へのインタビューの中で、「会社の一員として、意見を尊重して聞き入れてもらえることが、ほんとうに嬉しいんです」と、旭陽電気で働く嬉しさについて、充実感に満ちた笑顔で話してくださった秋山さん。
社員一人ひとりが輝ける場所を作ろうとしている会社の理念が、実際に製造現場の社員の方にも届いていることをうかがい知ることができました。
世界最先端の技術を磨きながら利益を追求する、企業としての役割を大切にすると同時に、社員一人ひとりの気持ちにとても丁寧に向き合う、温かい人間味を感じられる企業だと感じました。
今回訪問したショールームの見学と、求人情報は次のとおりです。
ご興味のある方はぜひ下記より問い合わせください。
ショールームの見学
求人情報
現在募集中の求人は下記の通りです。
- キャリア人材
- 2022年新卒
- 登録派遣社員
旭陽エンジニアリング株式会社にて採用
応募・問い合わせは随時お電話より(0120-970-560)
こちらは韮崎本社にあるショールームで、当社が手掛けている製品を展示している場所です。具体的には、人の顔を見分ける「顔認証システム」や、遠隔からでもリアルタイムで映像を映し出すことができる「スマートグラス」などを体験していただくことができます。