こんにちは!学生編集部の高村大夢です。
韮崎から離れた地で活躍する同世代を学生編集部が取材しお届けしていこうと10月にスタートしたこの企画『にらヤンステーション!』
第二回目は、学生編集部の長田拓真くんを取材しました!(今回の記事は高村大夢が担当させていただきます!)
山梨県甲斐市生まれ。韮崎高校を卒業後、現在は日本大学理工学部に在籍。
大学ではまちづくり工学を専門的に学び、将来地方のまちづくりに携わるため尽力中。
学生のうちに経験を積むため、甲斐市のNPO法人が主催する「棚田保存」の活動に参加している。
現在「にらヤンステーション!」編集に携わり、韮崎の「まち」としての特徴や魅力を調査し考えながら、自身の学びの場とする。
今回の記事では、将来「地方のまちづくり」に関わるために大学でまちづくり工学を学びながら、実践の場として甲斐市にあるNPO法人の活動にも参加している長田拓真くんに行ったインタビューの様子をお届けします。
拓真とはこの活動を始めるまえに、韮崎高校サッカー部で同じ目標に向かって努力した仲。この関係性をいかしてガツガツふみこんでいきたいと思います!
三年間で身につけたものー高校サッカーの思い出ー
大夢:よろしく!拓真と韮崎の繋がりは韮崎高校だと思うんだけど、振り返ってどう?
拓真:よろしく!一番の思い出は、サッカー部の活動かな!
大夢:やっぱりそうか。サッカー部きつかったね(笑)
拓真:うん(笑)火曜日は走りの日だったから特に嫌いだったね(笑)でも、沢山のことを学べた貴重な時間だったな。
大夢:苦しい時もあったけど、やり続けて良かったね。
拓真:今の生活に活きていると感じるものがいっぱいある。上下関係や集団生活、努力することや諦めないことの大切さ…挙げたらきりがないけど、サッカー部の頃は毎日がキツかったから、今の生活で辛いことがあっても頑張れる。例えば、理系の大学生は課題が多く徹夜することも多いけど、高校時代の辛さに比べたら屁でもない(笑)あと、部活の集合時間には遅れることができなかったので、余裕を持って行動する意識は今でも染みついているね。授業やバイト、友達との約束の時間に遅れることはないね(笑)
大夢:楽しかった思い出もいっぱいあるよね?
拓真:あるね。試合で勝ったりしたことはもちろんだけど、部室にもくだらない思い出がいっぱいあるね(笑)
大夢:拓真はどのエピソードがお気に入り?(笑) 読者のみなさんに紹介しちゃってください(笑)。
拓真:同級生で公式戦に遅刻してしまった人(Y君)がいたんですけど、彼は坊主にして反省することを決意して、外で刈り上げることになりました。別の同級生がバリカンでY君を刈り上げていて、終わったようなので様子をみると、Y君の髪型がアリの触覚のようになっていました(笑)。ちょうど目の上あたりの髪の毛が残されていて(笑)。同級生で、すごいバカにしましたね。
大夢:あれは面白かったわ(笑)
拓真:同級生のミスを見て学んだね。アリみたいな頭は最悪だよ(笑)
まちづくりとは?ー人々の暮らしを支える憧れの仕事ー
大夢:充実した高校時代だったね。大学ではどんなことをしてるの?
拓真:「まちづくり工学」というものを学んでいるよ。
大夢:まちづくりってよく聞くけど、どういう意味?
拓真:これまでの日本では、人の居住空間をつくる建築と人の生活基盤をつくる土木の専門分野が、それぞれにまちをつくってきたんだ。だけど近年の日本は超高齢社会で、地方の人口減少と流出、大都市への人口集中などによる問題が多様化していて、これまでの建築だけ、土木だけの専門分野では解決できないんだ。だから、それらの問題に対応するために建築、土木に加え、造園、環境、防災、景観、観光、福祉、人間工学などの専門分野から多面的にまちを捉える必要がある。それがまちづくりなんだ。
大夢:具体的にはどんなことを学ぶの?
拓真:簡単に言うと、空間・施設を設計するための技術や知識かな。実際に今は、土木の測量の技術や建築図面の描き方、構造物の力学などを学んでいるよ。他にも、まちづくりでは欠かせない※1ワークショップを実践しているよ。
大夢:そうなんだ!ひとくちに「まちづくり」と言っても、こんなにたくさんの要素があるんだね。
(※1ワークショップ…⦅ここでは特にまちづくりワークショップを指す⦆学習や創造、問題解決の手法であり、参加者が自発的に発言を行える場であること。まちづくりにおいて利害関係者の合意とともに地元住民の主体的な活動が求められ、お互いの理解を深め合う重要な場となる。)
まちづくり工学に興味をもったきっかけは?
拓真:小さい頃から、TV番組の『大改造!!劇的ビフォーアフター』を見ることがすごい好きで建築士に憧れていたんだ。人が住む環境をより良く変えていくことに魅力を感じていて、高校で将来の進路を考える時に「自分のまちをもっと素敵なまちにしたい」と考えるようになって、大学ではまちづくり工学を学ぼうと思った!あと、叔父さんがまちづくりの仕事をしていて、それに憧れたのもきっかけのひとつかな。
大夢:叔父さんにも影響を受けたんだね!まちづくり工学を学んだ人は、将来どんな仕事に関わるの?
拓真:まちづくりという専門職はないんだけど、まちづくりに関係してくる業種で言うと、建設業、不動産業、調査・専門サービス業、公務員などかな。実際には行政が企画して建築・土木などの専門職の人たちが施工していくという流れが多い。このように幅広い選択肢があって、様々な進路が考えられるね。自分は今やりたいことが多くて、どのようにまちづくりに関わっていこうかとても悩んでいるよ。
大夢:まちづくりにおいて「活性化」ってよく言われているキーワードだと思うけど、具体的にどんな状態のことを指すの?
拓真:色々な要素はあるけど、分かりやすい指標の1つは人口が増えることだね。人口を増やすには、出生数を増やして若者を増やしていくことや移住者を増やしていく方法があると思う。ただ、増やすことを考えてもダメなんだよね!
大夢:なんでダメなの?
拓真:ある地方のまちなんだけど、駅前にタワーマンションを作り、都内より安く住めると売り出して移住者を増やそうとした例があるんだ。でも周囲の施設が伴っていなくて、移住者は集まらずこの計画は失敗となってしまった。ただタワーマンションを建てたり施設をつくっても、人口を増やすことに繋がらないどころか、多くのお金がかかって更なる投資も必要になり、まちにデメリットの方が大きくなるんだ。
大夢:住む場所は作ったけど、その後の生活まで考えられていなかったんだね。
拓真:そうなんだよ。いわゆる『ハコモノ』だけ造っても意味がないんだ。そのまちの歴史的背景や風土なども考慮する必要がある。まちづくりはすぐに結果が出るものではないから、目先の利益や長所だけ考えるんじゃなくて長期的な視点が重要になってくるんだ。
大夢:まちづくりやまちの活性化を進めていくには、幅広く多くの知識が必要なんだね!
にらヤンからの様々な可能性ーやる必要があること、やりたいことー
大夢:拓真が「学生のうちに何かしたい」と思っていることを知って、一緒に活動しようと誘ったけど、その時どう思った?
拓真:将来に向けて経験を得るためにも何か行動を起こさなければならないと思っていて、誘われた時は迷わず参加を決意したよ。何をやるとか内容よりも、機会を探していたからね。
大夢:拓真はまちづくりに興味を持っていて、「にらヤンステーション!」での活動はまちづくりのど真ん中の活動ではないと思うんだけど、どんなことを得られたらいいと思ってる?
拓真:この企画で記事を書くことは、自分自身のスキルとして大切にしていこうと思っている。そのうえで、自分たちの記事が多くの人に読まれるようになって、多くの人と関わりが生まれたら、まちづくり系のイベントを企画したいと思ってる!ワークショップとかやりたいね。若者だけでなく様々な世代を集めたいし、韮崎出身者だけでなく韮崎が好きな人にも参加してもらえるイベントにしたいね。色々な人との繋がりができたり、実際のまちづくりに近いことを行うために頑張っていこうと思う。
大夢:すごくいいと思う!
拓真:他にもやってみたいことがあるんだけど、実現が難しいかなと思ってて…
大夢:どんなこと?
拓真:空き家を活用した企画とかやってみたいなぁ。特に山梨県は空き家率が全国1位だからね。
大夢:韮崎駅の近くにあるアメリカヤも、空き物件を活用した建物だよね?
拓真:そうだよ!アメリカヤは全国でも注目された事例で、リノベーションを手がけた株式会社アトリエいろは一級建築事務所は、たしか賞も受賞してるはず。リノベーションをするには、しっかりとした計画とお金が必要だから難しいと感じてるな。
大夢:アメリカヤすごいね。にらヤンが軌道に乗ってきたら、空き家活用の企画についても考えてみたいね。
棚田の景観を守っていくー生涯の活動と巡り会うー
大夢:今、甲斐市のNPO法人でも活動していると聞いてるけど、どんな団体なの?
拓真:『NPO法人 敷島棚田等農耕文化保存協会』といって、基本的には美しい棚田の景観を取り戻すためにお米を作る活動をしている団体だよ。田の草取りから始まり、田植え、稲刈り、そして脱穀をする。他には畔に花を植えることもしているよ。
大夢:企業や行政、非営利団体などの様々な団体がある中で、まちづくりの実践の場としてどうしてNPO法人を選んだの?
拓真:団体の形態にはこだわっていなかったな。山梨でやりたいということと、続けられそうな活動を探していたんだよね。この団体は実家から近く親近感があって、ボランティアとして関わり始めたんだ。企業や行政は、自分にスキルや自信がなかったからハードルが高いと感じていたかも。活動を始めるときにボランティアからという方法は、自分にとってハードルが低かったと思うな。
大夢:何か始めるときは、自分にとってハードルが低いと感じられるところからスタートするのは良いかもね!このNPO法人の活動は以前から知ってたの?
拓真:知らなかったよ。自分で活動を探している時に見つけて、自分の身近な存在だった棚田を守るという部分に共感したんだ!それで、直接連絡をとったよ。
大夢:身近なものを守っていく活動はやりがいがあるね。行動を起こす時に勇気が必要だったと思うけど、どんな想いだったか教えてほしい!
拓真:大学の友達が将来のために動き出してることに刺激されたのもあるけど、単純に、大学に行ってバイトをして…なんだか充実しない日々を送っていたからこそ、自分から行動を起こして刺激が欲しいって気持ちが一歩前に踏み出すことに繋がったと思うな。以前までの自分なら「まぁ明日やろう。いつかやろう」で先延ばしにしてたけど、この部分が変化したかな。
大夢:これからこの団体との関わりの中でやっていきたいことはある?
拓真:あるよ。団体の活動の中に、会費を払ってくれた個人に棚田を貸して収穫したお米をその人に送る「棚田オーナー制度」というものがあるんだ。今その準備を進めていて、自分なりにアプローチできないか模索中だよ。その他にもお金を得るためのアイディアはいくつか持っていて、例えば、棚田で採れたお米を使用してもらえるよう飲食店と契約を結ぶ、さらにその飲食店を利用したお客さんにもお米を購入してもらう。他には、棚田の景観を写真スポットとして定着させて観光資源にするとか、色々と案は浮かんでくるよ!ただ、いまは学生だし団体にも関わりだしたばかりなので、こういう話をしても真面目に受け止めてもらえないから、いろいろな活動をしてまずは成長したい!
大夢:受け止めてもらえないのは、いまは仕方ないのかもしれないね。自分が勉強している資金調達の分野にも共通する話だから、すごい興味を持てた!お互いに実績を作れるように頑張ろうね。
拓真:うん!棚田を守る活動は生涯続けていくと思うから、アイディアをどこかで実現したい。今は参加するので精一杯だけど、何かを生み出せる人になっていきたいね。
山梨のまちづくりー大好きな故郷を考えるー
大夢:まちづくりの観点からみると山梨ってどうなの?
拓真:特に交通機関が弱いのが課題だと思う。高校生になるときに自分の地元でも、唯一の公共交通機関であった路線バスが廃止されたんだ。高齢者や子どもなどの車が利用できない人たちは不便な生活をしていると思うし、県内で共通の悩みを抱えている人は沢山いるんじゃないかな。
大夢:どうやって対策したらいいかな。
拓真:路線バスより経費がかからないミニバスはどうかな。一回に乗る人数がそこまで多くない地域なら合っていると思うな。あとは、タクシー会社と配達業者の業務提携も考えられるよ。タクシー会社が配達も行うという提携の仕方なんだけど、これは双方にメリットがあって、タクシー会社にとっては「乗客がいなくても仕事ができる」、配達業者にとっては「店舗ごとの配達物が減ることで人手不足が緩和される」ということになるんだ。タクシー会社の収入が増えてサービス料金が下がれば、利用される交通手段のひとつになっていくと思うな。実現には困難な問題も多いと感じるけど、有効な手段だと思う。
大夢:交通機関が充実すれば、生活だけでなく観光にも良い影響が出そうだね。
拓真:交通面以外にも、観光を良くできる方法があると思うんだ。実は山梨は観光客の数が全国でも多い方なんだよ。でも、全国のトップではなくて。これからさらに上位に持っていくためには、豊かな自然をもっと活かしていくべきだと思う。大学に入って全国の様々な地域の出身の人と関わる機会があるけど、山梨の自然の魅力はまだまだ知られていないと感じるな。韮崎でいったら登山の観光客がいて、実際に山梨の自然に魅力に感じて足を運んでくれる人がいるから、もっと多くの人に知ってもらえたら良いと思う。山梨のように自然が豊かな都道府県は他にもたくさんあるけど、同時に都心からアクセスしやすいということは山梨の強みだよね。
大夢:都心から近いことと自然が豊かなことは、別々に考えがちだけど、かけ合わせると新しい見方ができるね。
拓真:あと、観光客を増やすにともなって、フリーWi-Fiや観光案内所も充実させていくべきだと思う。山梨のフリーWi-Fiと観光案内所の数は、観光客数と比較して、全国の中でも少ない。外国人観光客に対しては特に、これらは欠かせないものだと思う。
大夢:俺もそうだけど、やっぱり山梨のこと好きだね。
拓真:そうだね。東京に出て、無機質な空間よりも緑がある空間で生活したいと感じてるな。それに、地元には東京とは違った人との繋がりがあると思うんだ。例えば、ご近所さんに野菜を届けたりね(笑)だから、将来は山梨でまちづくりに携わりながら生活出来たら幸せだな。
新たな発見と今後への期待ー取材を終えてー
今回の取材では、まちづくりや山梨に対する拓真の強い思いが伝わってきました。サッカー部で高校生活を共にした仲ではあったものの、心の中にはこんなに熱いものを秘めているとは知りませんでした。拓真の今後の様々な挑戦を、同級生として、そして同じにらヤンメンバーとしてバックアップしていけたらいいなと思っています!
これからもこんな風に、にらヤンの企画を通していろいろな人の心の中に秘めているものを探っていくことが楽しみです!
そして、拓真が活動する、NPO法人 敷島棚田等農耕文化保存協会が先日からクラウドファンディングに挑戦しているということなので、皆さん応援してください!最終日が10月15日になっているので、最後の一押しです!
https://faavo.jp/yamanashi/project/3893
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最後に、現在は大学生3人で編集作業をしていますが、韮崎への思いがある人、執筆活動に興味がある人、「学生としてこういう企画をやってみたいな」という構想がある人……、どんな風にでもいいので、この企画に関心を持ってくださった方は、是非お気軽にご連絡ください。カメラマンおよびライターも随時募集しています!「にらヤンステーション!」をみんなで作っていきましょう!
次回は稲場理乃ちゃん!学生編集部を紅一点で盛り上げております!理乃の心の中に秘めているものとは…次回もお楽しみに!