韮崎駅のすぐ側にある『喫茶店 ひよこ豆』は、私が韮崎に暮らし始めてから何度も通っているお店の一つ。
和食から洋食までさまざまなメニューがあり、どれを選んでも美味しいので、複数人でランチに行っても誰もが満足できる安定感のあるお店だ。
店主の仲山奈鶴さんは、「お母さんとして子どもたちにいつも家で出している料理と同じものしかできないんだよね」と謙遜するが、ひよこ豆の常連客は皆、その“家庭の味”と、“仲山さんとの楽しいお喋り”を求めて足繁くお店に通っている。
今回は、そんな地域の人に愛されるお店、『喫茶店 ひよこ豆』を紹介しようと思う。
目次
定番からおすすめまで!ひよこ豆の人気メニューを大公開
店主のイチオシは『ひよこ豆カレー』!家庭的な味がうれしい一皿
ひよこ豆では、生姜焼きやブリの照り焼きなどの和食定食から、ミートソースパスタやキッシュといった洋食まで、和洋折衷さまざまな料理をたのしむことができる。
仲山さん一推しのメニューは、完成までに4日を要する「ひよこ豆カレー」。手羽先がホロホロになるまでじっくり煮込まれたカレーは辛さを抑えた優しい味わいで、ひよこ豆が入っていてとても美味しい。
大人でも大満足!白米が進むジューシーな煮込みハンバーグ
日替わりの定食の一番人気は、「煮込みハンバーグデミグラスソース」なのだそう。私も食べたことがあるけれど、ボリュームたっぷりジューシーで、ご飯が何杯もいけちゃいそうなくらい美味しかった。(ひよこ豆ではごはんのおかわり一杯無料なのでご安心を!)
親子で楽しめるランチタイム
子どもには、ミートソースパスタが大人気。「いつもの」と言って席に座る小学生もいるそうで、常連客が多いお店ならではのエピソードがなんとも微笑ましい。
プラス200円で、すべてのメニューに飲み物が付けられるので、デザートも追加で注文してアフターを楽しむ!なんて贅沢な時間も過ごせちゃう。
もちろん最初からお茶のみの利用もOK。黒板に書かれている果汁ソーダは、暑い夏の日にぴったりなので、ぜひお試しあれ。
ケーキ類は事前予約すると、ホールでの注文も可能(3,000円〜)。フルーツと生クリームがたっぷり乗ったこちらのタルトは、税込3,500円。
チョコレートのメッセージプレートも添えられるので、誕生日や記念日などにもってこいだ。
こんなに華やかなケーキが目の前に現れたら、私なら感激して笑顔が止まらないと思う。なんと前日まで受付可能なので、急なサプライズにも対応できるのもうれしいポイント。
常連客のお目当ては、仲山さんとの楽しいお喋り?
ひよこ豆がオープンしたのは2013年。その前はお母さんの田鶴子さんが、別の場所で一人で飲み屋を経営していたが、お母さんの手首の骨折をきっかけに、仲山さんもお店を手伝うようになったという。
今は世代交代し、無尽や団体予約などがあって忙しいとき以外は、仲山さんが一人でお店を切り盛りしている。
仲山さん:「最初は渋々やり始めてね。怪我をするまではお店を手伝おうなんて考えてもなかったんだけど、実際やってみたらすごく楽しくって。もともと接客は好きだし、おいしいって言ってもらえるのもうれしい。」
窪田:「料理も接客もできるから、向いてたんですね。今日のひよこ豆カレーもおいしいです。」
仲山さん:「おいしい?いえーい!ひよこ豆って夏場の栄養補給にぴったりで、女の人の体にすごく優しいらしいよ。最近一気に暑くなって、夏バテしてる人が多いみたいだね。
私なんて真夏でもいつでも元気だから、食欲無くなることなんて全然ないんだけど。朝から天ぷらだって食べられちゃう!(笑)」
窪田:「それはすごい・・・私には無理かもしれません(笑)」
仲山さん:「ところで、いくみちゃんは何歳になったの?」
窪田:「5月に30歳になりました...。」
仲山さん:「えー!この間まで20代だった子たちがもう30歳になるんだね。そりゃ私もいつの間にか歳を取るわけだわ...」
まるで親戚の集まりでするような会話についつい吹き出してしまう。少し人見知りをする私でも、仲山さんとはいつも自然体で話すことができる。だからこそ、何度もここを訪れてしまうのかもしれない。
私のように、常連客の中には、仲山さんとの会話を目的の一つにしている人も多い。その証拠に、カウンター席にはいつも誰かしらお客さんが座っているのだ。
仲山さん:「みんなカウンターが好きだね。それぞれの指定席があって、他の人が座っていると残念そうな顔してる。
お客さんは0歳から96歳までいるけど、平均年齢は70歳くらいかな。もっとキャッキャした若人にも来て欲しいんだけどね(笑)」
明るくて笑顔が素敵な仲山さんと定期的に話したくなる気持ちはよくわかる。会話をゆっくり楽しみたい人は、忙しいランチタイムが過ぎた頃に訪れてみるのがおすすめ。
「酒場から笑い声が溢れるまちであって欲しい」
仲山さんは韮崎市の出身で、現在は旦那さんの実家がある北杜市に住んでいる。韮崎に住んでいたこともあり、今は隣の市から通って韮崎でお店を営んでいる仲山さんに、まちの印象を聞いてみた。
仲山さん:「私が峡北農業高校(現・北杜高校)に通ってた頃は、北杜市は何もなくて、韮崎は都会だなって思ってた。ヨーカドー(現・NICORI)に行くのなんて、今の子達がラザウォークやイオンモールに行くみたいな感覚だったのよ。」
窪田:「そうだったんですね。私も高校生の頃、よくヨーカドーでプリクラ撮ってました。懐かしいなぁ。その頃まちの様子はどうでしたか?」
仲山さん:「商店街はもう廃れてて、活気がなかったイメージ。つい最近までこの辺でお昼ご飯を食べられるところなんて、うちか一勝さんかふじえさんくらいだったからね。みんな駅の向こうのファミレスに行っちゃって、この辺を歩いている人なんてほとんどいなかった。」
窪田:「新しいお店が増えてきて、ようやく人が歩くようになってきたと思ったらコロナですもんね...。」
仲山さん:「みんな大変だよね。うちもコロナが流行する前は夜営業もしていたけど、今は予約がないと18時頃には閉めちゃう。
このマルハクビルには他にも3軒のお店が入ってるけど、最近は電気が付いていないことも多くてすごく寂しいよ。酒場から聞こえるみんなの楽しそうな声が、まちの活気につながると思うんだけどね。」
新型コロナウイルスが流行する前は、夜にマルハクビルの前を通ると、お客さんの笑い声やカラオケを楽しむ声がいつも聴こえていた。しかし、コロナをきっかけに、この辺りのスナックはどこもカラオケの導入をやめてしまい、看板に電気が付かない日が続くお店も増えた。
仲山さんは、「コロナが終息したらまた夜営業を始めたい」と話してくれたが、最近の感染者数の増加傾向を見ると、まだまだ以前のような生活に戻るのはむずかしそうだ。
マルハクビルの一帯は、昔ながらの雰囲気が残っていて、赤提灯がよく似合う。この辺りは駅からも近く、活気が溢れていてほしいと感じる場所だ。
まだまだ、世間は落ち着かず飲食店の経営は本当に大変だと思うが、たくさんの人の笑い声で溢れているこの場所で、また堂々と飲み歩ける日が待ち遠しい。
よりみちのかえりみち
帰り道には、パンパンになったお腹をさすりながらも、「次に来た時は何を食べようかな」とさっそく考え始めていた。一番人気のハンバーグも久しぶりに食べたいし、日替わり新メニューに油淋鶏があったのも気になった。
飽きることのない家庭の味で、料理の種類も豊富なので、またすぐにでも食べに来たいと思うことができる。そう思えるお店は、けっこう貴重だと思う。
仲山さんの娘さんが韮崎高校に通っていた頃は、よく友達を連れて来ていたそうで、「あの子たちは、ライフガーデンのオギノにいくことを『オギる』、ひよこ豆にいくことを『ピヨる』って言っててね。」と当時のエピソードを懐かしそうに語ってくれた。
今は学生のお客さんは少ないそうだが、栄養とボリュームたっぷりなひよこ豆のご飯は、食べ盛りの若者にもオススメだ。
昭和の雰囲気に慣れていない世代は、初めは入りにくいかもしれないが、扉を開けると気さくな仲山さんが温かく出迎えてくれる。
ぜひ勇気を出して『ピヨって』みてはいかが?
『ひよこ豆』の基本情報
- 所在地:山梨県韮崎市中央町1−4 マルハクビル 1F
- 営業時間:11時〜18時頃まで(夜は予約のみ)
- 定休日:水曜日
※毎月最終日曜日には手相占い実施中!(食事と飲み物付きで2,500円) - 電話番号:090-4818-7382
- Instagram:@hiyokomame726
※新型コロナウイルスまん延防止等重点措置のため、9月12日まで臨時休業となります。